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人のすばらしさは、状況は変えられるという「越境」を信じられるところに、きっとある。

 一年を振り返って、白黒の星取表を作ったとする。そうして、どれだけ自分自身やクライアント組織が思うようにできたか、成果をあげることができたかを想像してみる。

 2022年は果たしてどうだったか。印象としては一進一退。おそらく、白星、黒星は拮抗しているに違いない。組織変革の遠さを途方もなく感じるときは数知れず。一方で、思いがけない突破や前進を得られたときもまた、存在する。

 とはいえ、あまり分は良くないだろうと想像する。一日一日目一杯の労力を注ぎ込み、その結果としてどうか?と問われると、果たしてとなる。もっと上手くやれたのではないか、もう少しハレーションを防げたのではないかと、自問自答が深まっていく。

 年を重ねる割には、上手くやれている感じがあるわけではない。それもそのはずだ。遭遇する課題は、組織ごとに微妙に変化する。「組織としてアジャイルに取り組む」として、その出発点、切り口(アングル)が組織ごとに異なる以上、常に課題は新手の変化球として目の前に現れる。
 どこからどこへ向かうのか。たとえ向かう先が同じようであっても、「どこから」は組織の数だけ異なる。だから、常に活きの良い課題に向き合うことになる。もちろん、頭を悩ますことになるし、一方で、常に挑戦に他ならない。それは自分を奮い立たせることにも繋がる。日々、維れ新たの充足もある。

 組織の行く手を阻む、ぞくぞくするような課題。あるいは待ったなしで求められる組織の新陳代謝。いずれも一筋縄ではいかない。その組織においては前人未到。まだ足跡の無い、試みになる。
 だからこそ、その道中をともにする人たちとの「とき」の重ね合わせにおいて、ときに歓びを見出すことがある。

 目指すべき同じ焦点を持ち、苦難をともにする。他部署の協力を得られることは考えられない、という諦念。あるいはまず役員の理解を得られないだろう、という絶望。
 その瞬間こそ、不確実の極みだ。どれだけ手を尽くしても、人が相手なのだから、上手くいくかいかないかを予言することはできない。しかし、そうした淵から、思いがけない突破を得ることがあるのだ。

 そのとき、私はともに越境した相手と顔を見合わせる。ときの運としか言いようのない、不確実性を乗り越えたとき。私も良い顔をしているのだと思う。それは、相手の顔を見れば分かる。そして、飽くことなく、また次へと同じ方向を見据える。

 私達がどこまで辿り着けるかは分からない。だが、この道中を、互いを信じながら進んでいけるならば。何度でも、この先を信じ直すことができる。人のすばらしさは、状況は変えられるという「越境」を信じられるところに、きっとある

(本稿をDevLOVEアドベントカレンダーの25日目に捧げます)


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