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そのチャット、コミュニケーションツールとして成り立っている?

 チャットで呼びかけても一向に反応が無い。明らかに、チャンネル参加者全員に向けた内容で、かつ @channel (全員への報知) をしたとしても。という経験をした人は少なくないはずだ。

  @channel をそもそも多用しないようにする、チャットに慣れていない組織だからそう簡単に返信はない、などなど@channelへの過度な期待を持つことがないよう、もちろん自分自身で期待値調整を十分行っている。だが、それにしてもさすがに反応無さすぎではないかと、ある時思った。もはや、これはコミュニケーションツールとして成り立っていないのでは?と

 チャットで返信ができない、しないメンタルモデルはどういうものなのか、自分の頭で捉えなおそうと思い立った。個別の事象に対する打ち手をぽろぽろ打っても今いち結果が出ない場合は、構造を捉え直すことをした方が良い。

 この文章でも構造だけ捉えて、個別解決策は提示しないが、構造を理解すれば後は個々人の文脈にあわせて、何をするべきかが見えてくるはずだ。なお、こうした自分の関心については、他人による結論ありきで捉えるのではなく、自分の思考と感性を働かせて自分なりの言語化や概念化をすると、構造を見通す力が鍛えられていく。

 @channelへの返信、反応が無いモデルを整理すると、下図のようになった(これもまた「他人による結論」)。ただし、最初に断っておくと、以下のメンタルモデルのパターンが問題だと言いたいわけではない。問題とは、Gapのことだが、この手の「これまでと違うやり方や考え方」に伴うGapを一方的に問題と決めつけると、二項対立に陥る。

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 最初にあるのは「そもそも見ていない」。情報自体が存在していないことになる。リテラシや前提についてのGapがある状態。

 次にあるのは「私は答えなくて良い」。@channelによる働きかけが存在していることは認識しているが、「これに私は答えなくよい」と判断し、処理している状態。「この全員宛先になっているのは、自分宛ではない」「誰かが返信するだろう。最初の返信は少なくとも私ではない」というメンタル。例えるなら、学校や講演で前に立つ人が「質問やコメントある人いますか」という問いに誰も手をあげることがない、アレに近い。

 三段階目は、「答えたいけど答えられない」。「みんなが見ているから、変なことはかけない。曲解されたくない。だから返信したくてもできない」というメンタル。加えて、チャットでのコミュニケーション自体についていけない状態でもありえる。メールに比べればあきからにテンポがよくなり、情報の流れる速度も早い。これは単にリテラシの問題ではなくて、チャンネル量やそこで流れる情報量次第では誰にでも置きうる。

 最後は、「限定されるなら答えられる」。この段階にくると「返信」ができるようになる。ただし、限定された空間や内容にのみ。いわゆるDirectMessageを多用してしまう問題が代表例。この結果、組織の中で情報の分断が置き、様々な不都合へと発展する。

 こうしてみると、前段階2つ「そもそも見ていない」「私は答えなくて良い」と、後の2つ「答えたいけど答えられない」「限定されるなら答えられる」では、アプローチが異なることになる。前者2つは、そもそも相手に届いていないので、全員の場でいくら書き立てても仕方ない(働きかけ自体がスルーされる)。まずは、全員の場に入ってこれるよう、個別に働きかける必要があるだろう。一方、後者2つは、全員の場に対する働きかけが必要であり、理解をあわせていきたい内容といえる。

 もちろんこれらのメンタルモデルパターンは人によって違う。ここが、この手の取り組みのコストを高める要因となる。そういう点で、チャット利用一つとってみても、簡単でもポリシーやガイドで言語化していた方が、動きがよくなることを期待できる。やってはいけないことの、ではなくて、やってよいこと、やってほしいことのね。

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