ネタニヤフ_リーベルマン

総選挙 ネタニヤフ VS リーベルマン

●4月の総選挙
●もう投票はしない
●連立失敗
●9月再総選挙

4月の総選挙

2018年12月にネタニヤフ首相が国会解散を決定し、本来の任期より8カ月も早く総選挙となりました。そして、2019年4月9日に第21回イスラエル議会のイスラエル総選挙の投票が行われました。


・国会議席数:120議席
・名簿式比例代表制
18歳以上の選挙権
・有権者数 6,339,729
・投票数 4,340,253
・投票率 68.5

イスラエルでは選挙を平日に行い、社会全体が休日となります。(サービス業は通常営業)同国では週末はシャバットのため、日本のように日曜日の休日投票はありません。(ユダヤ教の安息日に当たるため、平日投票となる)これは実はすごく良くて、投票後に子供と過ごしたり、買い物に行ったりできます。

自分は選挙権がないので朝から家の掃除、片づけをしました。
本来選挙に関心が無いのでニュースも見ませんが、嫌われ者のネタニヤフがやっと退陣するだろうと言う希望の様なものを抱いていました。
但し前回の総選挙でも出口調査ではネタニヤフ劣勢が伝えられる中、結局勝利するということがあったので、今回もどうなるのかを気にしていました。

またネタニヤフ首相はいくつかの収賄容疑で警察から取り調べを受けています。
2019年2月に28日検察当局が収賄容疑で起訴する方針を発表していました。
次から次へと出てくる首相の収賄その他の容疑、日本だったら簡単に退陣に追い込まれているでしょうけど、彼はなんだかんだ逃げ道を見つけて捕まらない。

↑ネタニヤフ首相とガンツ氏

この数年言われているのはネタニヤフに対抗できる本命が居ない事。
カリスマ政治力外交汚職どれをとっても彼に太刀打ち出来る人物が居ないのが現状です。

しかし今回はベニー・ガンツ氏(元参謀総長)と更に元イスラエル軍参謀総長2人にヤイール・ラピッド氏を取り込んだ、中道のカホール・ラバン(意味は青と白、これはイスラエル国旗の色で”made in israel”の意味がある)がリクード拮抗するという見通しでした。

ヤイール・ラピッド氏はイエッシュ・アテイード(未来がある)の党首で、元人気ニュースキャスターです。今回は対ネタニヤフを打ち出すガンツ氏の要請でカホール・ラバンに合流しました。

開票結果はリクード、カホール・ラバンが各35議席で引き分け。
ただし全体で見ると、右派政党の総獲得議席が65議席になる。
イスラエルは建国から1政党が過半数を獲得することはなかったので、毎回連立政権で国会を回しています。
今回もリクードを中心に右派の連立が固いという事で、4月18日にリブリン大統領が組閣を要請しました。

↑ガンツ氏と筆者

もう投票はしない

前述したように国民の間に政治不信と選挙に対する期待が無くなってきています。
4月の選挙期間中に出された驚きの広告。
なんと政治家たちが中指を立てる巨大ポスター。

白文字で「今回は政治家には投票しない」と言うキャッチコピーが入っています。
赤に白文字の所は「後でお返し票がくるから
このポスターはヘブライ語の言葉遊びで成り立っています。
投票はマツビア(מצביע)で指を立てるも同じマツビアとなります
ポスターの言わんとするのは、「今回は政治家に投票しないでおこう、なぜなら選挙後には政治家は国民をゴミのように扱うからと言う感じです。
まぁ国民が足蹴にされるのはどの国も似てると言うところでしょうか?

連立失敗

組閣には期限があります。今回は5月29日の夜中12時までに連立政権を成立させなければいけませんでした。
結論から言うとネタニヤフは連立交渉に失敗しました。
建国始まって以来の組閣失敗で、ネタニヤフ自身も5期目の政権を取ることができませんでした。

↑リーベルマンとネタニヤフ首相

では連立交渉の失敗は何が原因だったのでしょうか?
前置きとして、イスラエルは普通に宗教政党があり、自分達のライフスタイル、聖書の教えを遂行出来るように政治界でも活動しています。
ですから好き嫌い関わらず宗教政党の議席も重要な連立のカギとなります。
今回は宗教政党シャスがなんと8議席で3番目の議席数獲得、ユダヤ・トーラー連合も8議席と大きく伸びてきました。

ポイントになったのは極右政党のイスラエル・ベイテイヌ(イスラエル我が家)です。ロシア系のリーベルマンが率いる党で今回は5議席にとどまりました。
しかしこの5議席はネタニヤフにとっては連立成立に超重要な数です。
交渉の焦点になったのは、ホーク・ギユースという徴兵義務/免除に関する法案でした。

イスラエルでは18歳になると男子約3年、女子約2年の徴兵の義務があります。
但し超正統派ユダヤ教徒は徴兵が建国以来免除されてきました。
近年、世俗派のイスラエル人がユダヤ教徒の徴兵免除に反対し世論が割れていました。
リーベルマンは連立入りの条件として徴兵免除廃止を訴えていました。
当然これに宗教政党は反対し、結局ネタニヤフは両者の溝を埋めることが出来なかったというのが背景です。
この数年ネタニヤフとリーベルマンは連立を組みながら、つかず離れずの関係を保って来てました。ですから今回の出来事はサプライズでした。

9月再総選挙

組閣に失敗すると法律上、再選挙となります。
大統領が他の党に組閣を命じるケースもあるようですが、今回は9月に再選挙をする方向になりました。自分の友人達は呆れてる人が多いと言う感じです。
大方の予想では、ネタニヤフ首相が再び勝利して組閣するだろうと言われています。

ただ、誰と連立を組むか?基本は右派系の政党と手を組むことになりますが、リーベルマンが今回の様に頑なに姿勢を変えないようであれば、中道のカホール・ラバンとの連立もありえなくは無いでしょう。
リーベルマンは今回の一件で、「自分勝手」「連立を乱した」と言う意見と、「国民の真意を反映」「良くやった」という意見もあります。


4月の選挙は政策を打ち出すと言うよりは、お互いのあらを探す幼稚な選挙戦でした。果たして9月の選挙では、国民を第一に考える政策などを打ち出してくるのか、サプライズが起きるのかが見ものです。

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