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桃源郷は、誰かにとっての地獄かもしれない

最近、ロフトのバレンタイン広告が炎上したという記事を読んだ。


ロフトのバレンタイン広告が炎上、謝罪し広告停止 「女性に喧嘩売ってる」「ユーモアも通じない」賛否両論
http://news.livedoor.com/article/detail/15976899/

この広告では、一見仲良くみえる女の子たちが、裏では髪をひっぱったりスカートをめくったりしていて、本当に仲が良いのかわからない、というイラストが起用されたが、このようなイラストをバレンタイン広告に利用する意図がわからない。というところだろう。
一連の流れについてTwitterではいろいろな意見がみられるが、「女の友情はドロドロしてるって言われがちだけど、それは違う」という意見も多い。
その中で、「自分は女子校育ちだがドロドロなどしておらず、ゴリラとオタクの桃源郷だった」というようなツイートを見かけた。

これだ。これが大量にリツイートされているのをみて私はムズムズした。
私の女子校生活はまったく桃源郷ではなかったからだ。
この方の価値観を否定しているわけではまったくない。
確かにみな異性の目を気にすることなく好きなように生きていた。「女らしくしなさい」とか「そんなの女の子のやることじゃない」という風潮とは無縁で、みんなが好きなことを楽しんでいた。
スポーツのできる同級生に人気が集まり、部活の先輩をこっそり待ち伏せしてキャーキャー騒ぎ、雨の日は濡れた靴下をロッカーの扉にひっかけて乾かし、暑いときはスカートをぱたぱた仰いで涼み、男性教師の授業が始まる前は「まだ着替えてま〜〜〜〜す!!」と始業時間を遅らせた。
共学の大学に進学し、何の気なしに「花粉症の子たちはマイボックスティッシュを机に置いてデコってたよね」と話したら、「それは女子校だからでしょ…共学だったら男子の前で鼻なんてかめないよ……」と引かれたこともある。
これらはみんな、懐かしく楽しい思い出だ。今でも会う友達もいるし、一緒にいて気を使わず、楽しい時間を過ごすことができる。

でも私にとっての女子校は、桃源郷ではなかった。つらいこともたくさんあった。私が誰かを傷つけたことも少なくなかったと思う。
当時はこんな言葉なかったけど、私は根が陰キャなのに背伸びしてキョロ充を目指すがなりきれず、さらにネット弁慶だった。クラスで決めたスローガンについての文句をブログに書き綴ったりしていた(知らぬ間に回覧されて笑われていたらしい)。
反対に、私にとっては進学先の方が桃源郷だった。どちらに戻りたいかと問われたら大学だと即答する。


「居心地のよい場所は人それぞれ、自分にとって居心地のよい場所が他の人にとってはそうでないことがある」

という当たり前のことに気づいた日だった。
ヘッダーの画像は、私にとってのこの写真は桃源郷だけど、魚卵嫌いな人や通風の方にとっては下手すりゃ地獄だな、と思ってのチョイス。



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