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カナダの多国籍なテーブルに座って多様性について考えた

カナダのオンタリオ州トロントから車で1時間のWaterlooの北部、St. Jacobs という小さい町に今私はいる。妻の友人であるカナダ人の女性が挙げる結婚式に参加する予定だ。結婚式前日である昨日、St. Jacobs のビアガーデンに結婚式の参加者が集まった。妻と私はそれに参加した。

まだ空が明るい18時ごろ、オープンエア店の同じテーブルに座った方々はカナダという国の多様性を象徴しているようなメンバーだった。シリアからの移民で英語の先生をしている女性、インド人だがケニアで育った女性、北京出身でカナダに留学している中国人の男女。そもそも花嫁からしてカナダ人だが日本で育って日本語がペラペラなのだ。みんな花嫁の大学時代の友人だ。

同じ大学出身のため大学近くのあの店が好きだなどと内輪ネタもあったが、その中でもカナダについての面白いエピソードをたくさん聞いた。

  • 元々 St. Jacobs はドイツからの移民が開拓した町だからビールがうまい

  • 街を外に出ると熊が出る。しかし性格はおとなしい。ゴミを漁るが人はあまり襲わない

  • カナダを観光するならバンフがおすすめ。6月末か9月頭の夏の始まりか終わりは人が少ない。ロッキー山脈が見れる。3つの国立公園にまたがっている。オーロラも見れる

  • カナダでは、ホッキョクグマを見かけたら一番近くにある誰かの車の中に入れてもらえるとのこと。それが法律で決まっているとのこと

参加者たちのエピソードも面白い。

  • 宗教について、中国人男性の留学時代に宗教勧誘の人が家に来た。中国人だから英語がわからないふりをしたら、宗教勧誘の人が「中国に5年いたから話せますよ」と返してきて困った

  • 一度聖書を genesis から読んだけどみんな名前がJから始まるしややこしいから読むのをやめたとインド人女性

  • 大学の時は階段の下で寝たことがあると花嫁。図書室は24時間開いている。熱心に勉強している学生がいる

あとは金融関係の仕事をしているという中国人が、日本円が今安いから旅行のしどきだと言っていた。確かに旅行するには丁度いいしオススメだ。しかし、円安は devalue といあ単語を使う。このため、円の価値が毀損されていることがはっきりわかってなんだかもやっとした。いや、日本にはぜひ来てほしいのだが。

そして、街中に充満するにおいの原因がわかった。風に乗って飛んでくるのは牛糞や馬糞のにおいだった。メノナイトの人々が昔と変わらない暮らしているので、この地域ではこのにおいが特徴的らしい。20ozもあるアンバーのビールを飲みながら歴史に思いを馳せた。

フィッシュタコス。タコスの皮より魚が大きい

もちろん会話は英語で進む。ただ、会話の内容は大体理解でき、またジョークもいくつか笑いどころで笑えたので、自分の英語のリスニング力はまあまああることはわかった。しかしどうも受け答えはまだそれほどうまくできない。こちらから質問はできるが、質問されるとスムーズに返せないことがもどかしい。話題があちこちに飛んでしまうため、そもそも自分は日本語でも5人以上で会話するのが苦手だ。英語を流暢に話せる妻に感謝している。

それにしても、この記事を書くにあたり「カナダ人の花嫁が」とか「インド人の女性が」と書くことに少し違和感と難しさを覚えた。花嫁は日本育ちで妻いわく中身が日本人なのだそうだ。インド人の方はケニア育ちで、話を聞いているとどうもアイデンティティはケニアの方にあるらしい。

グループの中で一番異なる指標を使って人を区別することは一般に行われているため今回は人種を識別に用いた。しかし、彼女たちのアイデンティティがもし育った国にあるのならば、「この国の人がこういった」という表現はおかしなものになってしまう。

多様性とは、人は一言で表せないという至極当たり前だが日常の中で忘れてしまいそうになる事実にスポットライトを当ててくれるのだろう。ホテルに戻り、酒に酔った頭でぼんやりとそんなことを考えていた。

明日の土曜日には、St. Jacobs のマーケットが開催される。どんなものか楽しみだ。

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