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PERFECT DAYSを観た感想


映画PERFECT DAYSを観たなぐり書き感想です。

PERFECT DAYS(あらすじ)
こんなふうに生きていけたなら
東京・渋谷でトイレ清掃員として働く平山(役所広司)は、
静かに淡々とした日々を生きていた。
同じ時間に目覚め、同じように支度をし、同じように働いた。
その毎日は同じことの繰り返しに見えるかもしれないが、
同じ日は1日としてなく、
男は毎日を新しい日として生きていた。
その生き方は美しくすらあった。男は木々を愛していた。
木々がつくる木漏れ日に目を細めた。
そんな男の日々に思いがけない出来事がおきる。
それが男の過去を小さく揺らした。

introduction/story | PERFECT DAYS 公式サイト (perfectdays-movie.jp)

公開まえから絶対に観ようって思ってたけどとあるゲームにどはまりしてタイミングを失い今年初映画でレイトショーで一人で観てきました。

よかったーーーーー(泣)


映画としては短編映画のような、長いけどめっちゃいいCMみたいな、読み切れる小説のような感じに思った。
上の公式サイトに「思いがけない出来事がおきる」って書いてるねんけど大事件に巻き込まれたり異世界いったりモンスターを倒したり~とかTHE映画って感じの出来事は一切ないです。
ないからこそリアルで、さらに深い部分が見えへんから観た人の感想や妄想にひっぱられたりネタバレになりうる。だから観る予定の人は私の感想は見ずにまず映画を観てほしいかもです。(でもなんかほんま淡々としてるから付き合い始めのカップルとかは違うやつ観たほうがええかもやで

以下私目線の感想です。※微ネタバレあり

平山(役所広司)はセリフがとにかく少ない。
途中あれ?もしかしてそういう人なんかな?って心配になるレベルで少ないんやけどそれもまたリアル。セリフはなくとも役所広司の表情で語る感じがすごいよかった。

平山が毎日何気ない日々を過ごす中、空を見たり木を見たりして、なんかいいなとか、なんかおもしろいなとかそういうのを感じるんやけど、たぶん平山と私好きなものが同じで「わかるわかる」ってなりながらずっと一緒にニヤニヤした。
その「なんかいいな」ってときによく写真を撮るから映画を観ながら写真を撮ってるような感覚。普段日常写真を撮ってる人ならみんな共感できる部分があるのでは。
実際に平山もフィルムカメラで写真を撮ってるんやけど、現像と写真の受け取りを同時にするのめっちゃいいなーと思った。(私やったら写真すぐ見たくなって現像出したらその日に受け取りしちゃう。けど現像と受け取り同時って1本撮り終わってから前の分を受け取るってことやからゆったりしてて余裕のある感じがまたいい。)

1日が終わると夢の映像があるんやけどあれはまるで写真展で見た映像みたいやった。(語彙!
でもあれがリアルかも。その日見たものや過去や想像がモノクロでどんどん進んでいく。朝起きて街の音を聞いたころにはどんな夢を見てたかなんてほとんど忘れてしまう。夢ってあんな感じやんなーと。

そういう日々を繰り返す中で平山がいろんな人と交わりまた感情がうまれる。
過去の出来事が影響してトイレ清掃をやってるっぽい感じやし、無口やからきっとあんまり人と関わりたくない(かといって人が嫌いなわけではない)、関わらなくても自分なりの幸せを見つけられてる状態やけど、人と関わることでしか生まれない感情が間違いなくある。
それは一瞬の出会いや、不思議な出会い、会ってはいない出会い、感情は良いものや良くないものがあったとしても、人と人、影が重なった部分は何かがおこり心がゆれる。そしてそれは二度と同じ形にはならず今は今しかないんやなーと。そう思うと全てが儚く愛おしく感じた。
同じ日々を過ごしてるようで毎日新しく違う日々。

人生のセーブデータは1つしかなく、ロードしてやり直すことができひん。(今やってるゲームはやり直し放題やのになぁ…)
だからつい正解を求めて誰かの生き方を羨ましく思ったり悩んだり過剰にいろんなことを求めてしまう。でもどんな人生や暮らしが正解かなんて全く無い。小さな幸せを拾い集めながら、どう過去と向き合いどう未来を進むのか、時には人と交わったり離れたりして今を嚙みしめながらそれぞれの世界を生きていくのがPERFECTってことなんかな。

映画は明確な出来事がないからこそ、平山のその後を想像してしまう。
たぶん会いにいったと思うしあの方とは長期的な付き合いになるのでは。植物たちも成長するやろうなぁ。
脇役の人たちも全員、主人公を引き立てたりするだけの存在ではなく、映像にはないけど裏では何かがあって何かを思っていて、それぞれの世界があるように感じられたのもよかった。
幸せのかたちってほんまそれぞれあるけど、他人に求めたり委ねたりするわけではなく淡々と自分の暮らしの中で見つけていく平山みたいな人をつい応援したくなる。

平山が掃除してたトイレがTHE TOKYO TOILETのトイレなんやけど、ちょうどこのサイトを少し前に見てて、すんごいトイレいっぱいあるやん東京すごーって思ってたから映画で出てきた瞬間ああーー!これ見てた!って嬉しくなった。トイレの予習してから映画観るのもおすすすめです。

つい長くなってしまった。
じんわりと暖かく優しい気持ちになれて、なんとなく忘れられない映画になりました。

余談やけどレイトショーって時間遅くて疲れる。
でも一人で来てる人が多くてなんかそれがいつもちょっと好きやねん。
たまたま同じ映画を選び、同じ時間に同じ場所で観るために集まった人たち。みんな生活や人生があって、そこに交わりこそないけどきっと同じことを感じたりもして、映画が終わるとまたみんなそれぞれの生活に消えていく。その瞬間ももう二度とないねんなぁって思う。


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