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Vol.45「サザンの無観客ライブはドキュメンタリーだったのか」

こちらは冴沢鐘己 公式メルマガを記事ごとにアップしたものです。
価格:¥550/月(税込)
毎週 火曜・金曜日(年末年始を除く) 発行予定
形式: PC・携帯向け/テキスト・HTML形式

先週日曜(7/12)は、京都の老舗ライブハウス「RAG」にて、籾井優里奈のワンマンライブでした。

これがどういうライブで、どんな大事な意義があったかは、すでにアップしてある記事をご覧いただくとしまして(https://note.com/showky/n/n0e8c894fd46c)。

タイミング的に話題というか、ある種の判断を迫られたのは「無観客での配信」という流れをどう受け止めるのか。

「新しい生活様式」の一環みたいな流れで、ライブやイベントなんかも従来の固定観念に囚われず、with コロナの時代に合わせて、客を入れなくても成立するようなものにしましょうよと。

まあ、わかるんだけどね。

15年、20年前の僕なら(つまりfm GIGを始めた頃)、飛びついてたかなあ。

カメラを動かしたりズームにしたりスイッチングしたり、楽しいとは思うのよ。見る方もその方が飽きないのは確か。

それに配信だと、遠く離れた人も見れるし、定員は無いのも同然だし、可能性は無限だと言われれば、そんな気も。

ちなみにfm GIGは、2004年には映像の生配信を始めてます。早いな。

当時はまだネット回線も遅く(やっとADSLとか)、もちろんスマホはなくて、見てもらうにはパソコンが必要で、しかもQuickTimeが必要となるとハードルは高く、見てくれる人なんているんだかいないんだか。あくまでもラジオ放送の補助として固定カメラで配信してて、それでも日本各地から聞いて(見て)くれている人がいて、励みになったもんです。

その頃、生放送とは別に映像制作なんかも始めてて、ショートコントとか撮って、YouTubeとか無い時代なのでホームページに貼り付けたりしてたな。めっちゃ手間ヒマかけて編集して、あれはあれでとても楽しかった。

でもまあ、結局問題になるのは、それをいつまで続けられるかってことなのよね。
それはすなわち気力と体力と、何よりコストが問題になるわけで。

僕は当時、まだ今より若くてヒマがあって、金がそんなになくてもとりあえずなんとか生きていける状況だったから、ひたすら「楽しさ」を追求して、やたらと徹夜しながらいろいろやれたけど、今あれをまたやれるかというと、うーん。

さらには数年前にテレビの現場でいろいろ仕事をして、本職の方々の仕事ぶりを見てしまっているので、まあ凝った映像は、自分たちが力をつけて専門の皆さんにお任せできるようになってからでいいかなと、今は思っているのです。

なので、今だにfm GIGの生放送配信も、パームトーン劇場のFRESH中継も、基本1カメの固定。

それでいいんじゃないかと思ってたところで、ふとある記事が。詳細は文末のリンクを辿っていただくとして、僕が「したり」と膝を打ったのは、例えばこんなフレーズ。

“基本的にライブハウスで行われるパフォーマンスというのはお客様がいる正面のフロア中央から見るのが一番美しい形で設計されている(設計されているべき)ものなので、寄ったり上から見たりはパフォーマンスの想定外のアングルなんじゃないかと思っちゃいます”

“「ライブ配信」は足を運ぶライブの代替ではなくて「リアルタイムで収録されているライブ映像作品(Blu-ray、DVD)を観てます」みたいな気分になってるのかもしれません”

そうそう、そんな感覚。

例えば先日大きな話題となった、サザンオールスターズの無観客ライブ配信。

僕はリアルタイムでは見ていないのだけど、翌日のワイドショーなんかで紹介されていたいくつかのシーンを見て、なんかこう違和感というかひっかかりを感じてて。

やっとそれがなんだかわかりかけたような。

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