Vol.7(11/15) ジャイアント馬場に学ぶ、ステージング術

こちらは冴沢鐘己 公式メルマガを記事ごとにアップしたものです。
価格:¥550/月(税込)
毎週 火曜・金曜日(年末年始を除く) 発行予定
形式: PC・携帯向け/テキスト・HTML形式
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プロレスかF1か野球で例えるなら、どれが一番わかりやすい?

そりゃもちろんプロレスよね。

よく、プロレスは台本があるとか八百長とか気にする人がいるけど、そんなことはどうでもいいのです。大事なのは、面白いか、面白くないか。

ボクシングにもK-1にも凡戦は山ほどあって、それらを見せられるなら、僕は1983~85年の「PWF認定世界ヘビー級選手権 ジャイアント馬場 vs スタン・ハンセン」を何度でも見るぞ!(もちろんボクシングやK-1でも、大好きな名勝負はたくさんあります)。

格闘技に限らず「勝負」と名のつくものは文字通り「勝ち」「負け」が大事なんだけど、それと「面白い」は必ずしも同義ではないのです。そして僕らは「勝負」そのものよりも、そこに至る「過程」を感じ、楽しみ、そして「感動」にたどり着く。オーケイ?

いろんな偶然やタイミングが重なって、結果的にとても感動的な名勝負が生まれることももちろん多いんだけど、「スター」の称号を与えられる一流選手は、自らのテクニックとセンスと経験をフルに生かして、意のままに「感動」を生み出せるのね。

では、ここで問題。

あなたがレスラーだとして、30分の試合をするとなった時、どんな作戦を立てますか?基本的な技は10個くらいとして。

たぶん5分もたつと、何をやっていいかわからなくなると思う。ただ闇雲に技をだすだけ。そのうちお客さんもシラッとしてくるぞ。仮に何か打ち合わせや段取りがあったとしても、一度白けた空気はもう戻ってこないので、唐突に決め技を出して勝ったところで、送られる拍手もまばらだな。

何百人、何千人、何万人の注目をずっと集め続け、巧みに緩急をつけつつ緊張感を持続し、最後のクライマックスへ向けて興奮状態を作り出し、ラストに会場が一体となる感動を残す。その先に、スターと呼ばれる栄光がある。

そう。

これはプロレスに限らないのです。F1でも野球でも、そして僕らのライブでも同じ。

最初に「手四つ」と呼ばれる組手からスタートした後は、流れるように技を繰り出し、一瞬たりとも気を抜かず、息を整える時でさえ「何か」を感じさせ、もちろん無意味な笑顔を見せないし水を飲んだりもしない。指の先、つま先の動きにさえ緊張感を持たせてこそ、クライマックスの笑顔が意味を持つ。

そんな風に、僕らもステージを作っていきたい。1曲目からアンコールのラストまで。

なんて大変なんだろう。それで1時間とか2時間のワンマン、ほんとにできる?逆に言えば、そんな自信を持てるようになって初めて、そんな大舞台がやってくるのだとしたら、今できることは?


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