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ボディ・ボジティブと居心地のよさについて - 海外から帰って空港についた瞬間、なぜか腕の毛が気になった話

自分の身体のコンプレックスは、誰もが1つや2つ抱えているものでしょう。そしてこれから迎える夏は、身体の露出が必然的に増える季節。コンプレックスがいつも以上に気になってしまう瞬間が増えてきます。

たとえば、体型。
たとえば、体毛。

私たちの社会には、美しいとされる一定の型が存在します。そして、そうではない型であることは、"魅力的ではない"とされてしまうことも多々あり…。

そんな私たちの中に刷り込まれた"美しさの基準"へのプレッシャーは、そこに当てはまらないことへの危機感を煽る文化によってさらに強化されていきます。今回は、知らずのうちに受けとっている社会からのメッセージについて、漫画でご紹介します。

羽田マジック01

羽田マジック02

羽田マジック03

羽田マジック04

誰がどんな体型でも気にしない空気について

この文章を書いている私は、1年弱ほどドイツの首都ベルリンに滞在していたことがあります。いろんな文化の違いに驚き、様々な経験をした滞在期間でしたが、中でも「誰がどんな体型でどんな格好をしていても気にしない空気」というのには、かなり大きな衝撃を受けました。

私は、日本で生活する間はどんなに暑い夏であってもカーディガンを羽織っていました。決して"スリム"とは言えない体型で、腕を出すなんてどうやったってできない、と思い込んでいたのです。

「そんな体型じゃムリ」

そうやって自分自身に言い聞かせ、さらには「この太い二の腕や足を見せることはきっと誰かに不快な思いをさせてしまうだろう」とまで思っていました。

しかしベルリンでは、どんな体型の人でも堂々と身体のラインの出るドレスを着ていました。また高齢の女性が二の腕のがっつり出るノースリーブを着ていることもありました。

そんなベルリンで生活をするうちに、徐々に私も「もしかして体型をむりやり隠さず、もっと涼しい格好をしていいのかもしれない」と思うようになりました。私がどんな体型でどんな格好をしていても、それにとやかく言ってくる人はいないと、空気の中で悟ることができたからです。人生で初めて、ビキニを着たのもベルリンの湖でした。

誰かからの評価を気にせず、自分の居心地を尊重できたことで、自然とボディ・ポジティブな気持ちになれたのでした。

危機感を煽るダイエット広告について

ところで私は日本に戻って5年ほどが経ちますが、自分の身体については日々、ポジティブとネガティブのせめぎ合いの中で生活をしています。

ノースリーブへの抵抗こそ感じることはなくなりましたが、ベルリンでは着られていた身体のラインが出る服も「痩せてから着よう」とクローゼットにしまい込んだまま。さらにネガティブが深刻な日は、ダイエットサプリについて必死に調べたりもします。もうすぐ夏になりますが、今の気持ちとしてはとてもじゃないけどビキニは着られそうもありません。

なぜなら、街にはダイエットの広告が溢れ、YouTubeを見ていても自分の体型に対する劣等感や危機感を煽る広告ばかりが目に入るから。漫画の中にもありますが、そういう「美の基準に当てはまらなければダメ」というプレッシャーを、もれなく私も全身で受け止めてしまっているのですね。思えば、ベルリンで危機感を煽る広告を見たことは、ほとんどありませんでした。

・その醜い太もも、大丈夫!?
・太って彼氏に振られた!

「そんなこと、バカバカしい」と思い聞き流しているつもりでも、心のどこかに言葉たちは積もってしまっているのですね。自分の身体を肯定し、愛することがもっと容易な社会になってほしいと、心から思います。

また今回の漫画では、もう一つポイントがあります。登場するレイちゃんの格好に対して周りから投げかけられる言葉たちです。

「そんな格好男に嫌われるよ」という一言の中でも「女性は男性に愛されるべき/愛される格好とはこういう格好」などの価値観の押し付けが詰まっています。さらに、女性の服装が「誘ってる・関係性の同意担っている」という価値観は、性暴力や二次加害に繋がるもの。他人の格好へとやかく口を出す文化は、早く終わりにしたい、と強く思います。

肌の露出だけが正解ではない

ところで今回ご紹介した次の日に、パレットークではこちらの漫画も掲載しました。

子ども時代、スクール水着の露出の多さに傷ついたり、憂鬱だったりした方は多いのではないでしょうか。体型の変化も起こりやすい思春期には、特に水着はセンシティブです。

しかし最近では、スクール水着のスタイルも多様化し、男女問わず肌の露出が少ない水着なども増えてきているようです。着る水着のデザインや選択肢が増えることによって、きっと多くの子どもの心を守ることができるでしょう。かつて選択肢のない時代にプールの授業を受けていた私としては、とてもうらやましく、そしてこの変化を嬉しく思います。

さて、「最初の漫画ではどんな体型でも肌を出してもいいはずというメッセージだったのに、今度は肌を隠すべきというのは矛盾していない?」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、この2つの漫画のメッセージは決して矛盾しているわけではありません。「肌を露出するべき」なのではなく「自分が居心地のいい格好をしたいと思ったときに、他者からとやかく言われる筋合いはない」からです。「肌を露出したくない」と感じる人が無理やり露出するべきというわけではないのです。

自分の居心地のよさを尊重できる社会には、ファッションの選択肢がもっともっと広がり、そして無用なプレッシャーをなくしていくことで少しずつ近づけるのかもしれません。

(漫画:keika、編集後記:伊藤まり

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コメント (2)
そりゃキモオタデブのオタク男は日本では人間扱いされないから言いたいことはわからないでもないけれど、若い女性自身が自分のスタイルについてrestrictionをやっているのだから、自縄自縛というべきであろう。
すごく分かります。
20代前半の頃、「腕の毛剃らないの?」と同僚の男性に言われた事がありました。私は体毛は薄い方なのですが、「女性なら一本の産毛も無いのが普通」という意識がその男性(と、多くの日本人)にはあるのだと思いました。

今でも周りの目を気にせず好きな格好をしているので、洋服だと日本人だと思われないこともありますが、どう思われても自分の心地よい格好でいていいんだなと再認識できた記事でした。
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