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「普通にとらわれずに生きることはできる」ロールモデルバトン|第5回ゲスト ちび汰

Paletteでは、社会に溶け込み、"LGBTQ+として"だけでなく、"ひとりの社会人として"自分らしく生きている素敵なLGBTQ+のロールモデルをゲストに迎えて取材し、仕事やプライベートについて深掘りながら聞いていく企画を行っている。

ゲストには最後に「あなたの素敵だと思うLGBTQ+を紹介してほしい」とお願いし、次のゲストにバトンを渡していく。

第5回目は、新宿二丁目で人気のアンダーウェア中心のアパレルショップ「wear_everxxx」で店長をされているちび汰氏をゲストに迎えた。

(インタビュアー:今井 慧)

アパレルショップの店長になったきっかけ

今井:色とりどりの素敵なアンダーウェアが飾られてますね。ここはどんなお店なんですか?

ちび汰:アンダーウェアが中心のアパレルショップで、アンドリュークリスチャンというアメリカのブランドのスペシャルストアとして運営しています。台湾やスペイン、イタリアのブランド商品も扱ってます。

今井:お客さんはどういう方が多いんですか?

ちび汰:やっぱりゲイの方が多いですね。でも最近はノンケの方も増えてきて、男女のカップルも来店されることがあります。

今井:誰でも入りやすい雰囲気のお店ですもんね。このお仕事をはじめたきっかけはなんですか?

ちび汰:高校卒業してから、アパレルの会社で働いてたんですけど、そこが4ヶ月くらいで経営難で潰れちゃったんです。そこから東京に出たいという気持ちがあって、こっちにきたんですけどまずは一人で生活できるようにならなきゃいけないので、仕事を選んでる余裕がなくて、テレアポやったり日払いの仕事をやったりしましたね。

今井:苦しい生活をしていたんですね。

ちび汰:その時、やりたい仕事っていうのはアパレルだったんですけど、クリエイティブ系の仕事にも興味があったんです。ちょうどそのタイミングで運よくクリエイティブ系の会社の社長さんと知り合えて、クリエイティブの仕事に興味あるって伝えたらバイトさせてもらえることになったんです。

今井:すごいですね。引き寄せましたね。

ちび汰:日中にそのバイトをしながら、夜はゲイバーで働いてました。1年くらいそんな働き方をしてたんですけど、Twitterでこのお店の求人が出ていたのを見て応募したのがここで働くきっかけですね。

今井:なるほど。色んな経験をされてきたんですね。

小さい頃から、異性へ恋愛感情はなかった

今井:小さい頃はどんな子どもだったんですか?

ちび汰:お姉ちゃんが三人いるんですけど、本当に女の人に囲まれている生活だったんですね。親戚も女の子ばかりだったんです。だから親も僕が生まれた時はやっと男の子が生まれたっていう感じだったと思います(笑)。小さい頃から女の子に目はいかなかったですね。小学校の時も女の子と遊ぶ方が多かったですね。

今井:そうなると男子たちにいじられたりはしませんでしたか?

ちび汰:身長が小さくて目立ってたっていうのもあって、いじめまではいかなかったですけど、ちょっといじられてましたね。

今井:なるほど。小さい頃ってちょっと人と違うってだけでいじられますよね。

ちび汰:小学校卒業した後は、私立の中高一貫校に行ったんですけど、中学一年生の時に同級生の男の子と、触り合いみたいなことをしたのがきっかけで、はまっちゃいましたね。でも当時はおかしいことだと思わなくて、普通のことだと思ってました。

今井:お互いに女の子には興味がないという感じだったんですか?

ちび汰:僕は女の子には興味がなかったんですけど、相手は男女のエッチなものに興味があったんだと思います。それからネットでいろいろ調べるようになりましたね。

今井:なるほど。性自認は早かったんですね。

ちび汰:出会い目的で当事者が集まる掲示板があったんですけど、それで人と会うようになりましたね。

今井:え?中学生の頃ですよね?早いですね!

ちび汰:早いと思います(笑)。初体験は中一の時です。

今井:それは早い(笑)。

ちび汰:当時、前略プロフィールっていう掲示板が出会いのきっかけになっていて、それを使っていました。

今井:流行ってましたよね。

ちび汰:でも、掲示板で悪口を書く人がいて、僕も結構いろいろ書かれましたね。掲示板がきっかけで会った人だと思うんですけど。

苦しかったネットいじめ、友達に救われた青春時代

今井:ネットいじめってやつですね。学校生活は問題なく過ごしていたんですか?

ちび汰:いや、校則が厳しすぎて、耐えられなかったんです。髪型にもうるさくて、荷物チェックもありましたし、7時間授業の後に2時間補修があったんですよ。しかも昼飯食べてから一切食事ダメだったんです。

今井:それは厳しいですね。

ちび汰:それだけ勉強してたらお腹空くじゃないですか。でも水しか飲ませてもらえなくて、挫けちゃいましたね。それで中学三年生の時に転校しました。

今井:中高一貫だと、自動的に高校上がれるのに耐えられなかったんですね。

ちび汰:そうなんです。地元の中学に転校したのはいいんですけど、小学校の時の顔見知りもいて、なんであいつこのタイミングで転校してきたんだっていう感じですよね。クラスを牛耳っているような奴らがいるグループにいたんですけど、いじめまがいなことはされましたね。なんとかやりすごしましたけど。

今井:中学生の頃っていじめ結構ありますもんね。高校はどうでしたか?

ちび汰:県立の高校に行ったんですけど、だんだんSNSとかゲイのアプリとかが流行りはじめて、それらを使って色んな人と会ってましたね。

今井:高校生で学校以外の人と会うって結構すごいことですよね。

ちび汰:はい(笑)色んな人と会いました。そこでもネットで自分のことを晒されたりしましたね。写真が晒されたり、嫌な書き込みをされたりしましたね。

今井:なんでも話せる友達はいたんですか?

ちび汰:野球部の男の子と女の子の友達が二人いたんですけど、仲良かったですね。

今井:その友達にはカミングアウトはしたんですか?

ちび汰:高校三年生の時に、野球部の友達にカミングアウトしました。でも、「ゲイだろうがお前はお前だし別に気にしないよ」って言ってくれましたね。

今井:素敵なお友達!めちゃ嬉しいですね!

ちび汰:でも、野球部の仲良かった友達と一緒にトイレに行っただけで、それを見た誰かにネットで「あいつはゲイだからトイレでやらしいことしてる」みたいなこと書かれて、すごく辛かった記憶があります。

今井:最低ですね。

ちび汰:みんなが彼女作ったりしてるのに、僕は女っ気なかったんですよ。だから怪しいと思う人はいたんだと思います。ネットでそういうこと言われるのが一番辛かったです。

今井:誰がそういうことしてるのかわからないって恐いですよね。ネット全盛時代に思春期の当事者の方って、そういう辛さありますよね。

ちび汰:でも、いまの高校生くらいのゲイを公表してる子たちのSNS見ていても、その子たちに対する悪口や差別が減ったと思います。たまに差別的なコメントもあるんですけど、「いまさらそんな差別みたいなこと言ってるの古いよ」っていう個性を尊重するレスが多いんですよね。そういうのを見ると良い方向に変わっているなと思います。

今井:確かに、少しづつ変わってきてますよね。ちなみにご家族の方にはカミングアウトしてるんですか?

ちび汰:言ってないですね。両親には言わないと思います。実家に帰ると、結婚はまだなの?とかは言われますね。二番目のお姉ちゃんには気づかれてますね(笑)。看護師なんですけど、看護系って当事者が多いんですよ。

今井:二番目のお姉さんに気づかれたきっかけは何だったんですか?

ちび汰:僕が高校卒業してすぐ、ジムに通いだしたんですよ。女っ気ないしジムばっかり行ってるしで勘付いたんだと思います。それで呼び出されて、「あんたもしかしてゲイ?」って(笑)。でも、家族にはアウティングしないでいてくれてます。

今井:素敵なお姉さんですね。

ちび汰:両親には感謝してます。自分がいままで大学にも行かずに自由にフラフラしてたのに見守ってくれましたし、ここ数年でやっと自力で生活できるようになって、そんな成長した姿を見て「よく頑張ってるな」って言ってくれたんです。その時はすごく嬉しかったですね。

今井:なんて温かいエピソード。

普通にとらわれずに生きることはできる

今井:最後に、生きにくさを感じている人にどんなメッセージを送りますか?

ちび汰:他の人と何も変わらないよって言いたいですね。好きになるのは男でも女でもいいんです。いままでは男女の恋愛が普通でしたけど、そもそも普通ってなに?ということだと思うんです。自分はゲイだからって思う必要はないんです。

ノンケの人でも女装が趣味の人がいたり、世の中には色んな人がいるよっていうことを知ることで自分はなにも特別ではないということに気がつくと思うんです。いま辛い思いをしているのであれば、行動してみてほしいです。

その場所で生きにくいのであれば、環境を変えてみれば良いですし、本当に苦しいのであれば、我慢し続けるのではなく動くことは大切なんです。旅行をして、いろんな世界を知るのも大事だし、仕事も苦しくて耐えられなければ変えれば良いと思うんです。動き続ければ視野も広がって、もっと楽になっていくと思うんです。そういうことを伝えたいです。

今井:さて、最後に、次のバトンを渡す相手を決めます!ちび汰さんの素敵だと思うLGBTQ+の方を紹介していただけますか?

ちび汰:IRISという不動産屋を経営している須藤あきひろさんをご紹介します。

今井:須藤さん!実はいまPaletteのセールスもやっていただいているんですが、素敵な感性を持っていて、いろいろとお話を深く聞きたいと思ってました。すごく楽しみです!

パレットでは、引き続き"ひとりの社会人として"自分らしく生きている素敵なLGBTQ+のロールモデルの方を紹介していきます。 次回もお楽しみに!

(撮影:星野 泰晴

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「こうあるべき」を、超えてゆく。をテーマに、LGBTQ+、フェミニズム、多様性について、漫画やインタビューを通して発信しています。セクシュアリティやジェンダーにかかわらず、一人ひとりの選択肢が無限に広がる世界へ。12月の特集テーマは「#今年がんばったで賞をあなたに」。
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