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青山泰文
2020年8月9日 14:58
田村一の器は、轆轤の回転から生み出される揺らぎとその息遣いが感じられるシルエットの美しさによって、日常の食卓を無二の楽しみへと一変させます。美食家や料理人、酒蔵などのいわゆる玄人からの評価も高く、国内外の有名レストランで採用され、また地元秋田の酒蔵とのコラボレーションも盛んに行っています。この言葉の羅列だけでは、ある意味で「当たり前」で「普通の良い器」のように響いてしまいます。しかしシンプル
2020年8月1日 19:08
「壺中天」と言えば”壺の中に飛び込んでみたら別の世界が広がっていた”という中国の故事にまつわる言葉です。飛び込んだ男は美酒と美味しい食べ物に溢れた壺世界を堪能します。別世界や新天地に希望を抱き夢見る心は今も昔も変わりません。しかし、この新たな世界は気づいていないだけですぐ近くにあるのかもしれません。この「壺中天」をタイトルに冠した特異な陶芸作品を代表作とする作家がかのうたかおです。か
2020年7月3日 19:52
不思議な事に、一般的に陶芸家はあまり自身の制作スタンスや思想、表現活動における内的な部分をあまり語らないようです。もちろん雄弁な方もいますし、多くを語りたがる方もいますが、例えば絵描きの方々と比べるとその数は少ないように感じます。分かりやすい例を挙げれば、Twitterの投稿がアクティブな陶芸家の数を画家と比較すれば一目瞭然でしょう。自身の語る言葉と外部からの批評において、文字として言語化さ
2020年6月9日 19:42
優れた問いは、優れた答えに勝る、と言います。「答え」とは既にそこに収束した帰結点であり、「問い」は可能性です。「優れた問い」は無数の「優れた答え」の可能性を含みます。伊豆野一政『林檎像』伊豆野一政さんはユニークな問いの立て方をする陶芸家です。彼なりの目標地点(もしくは通過点)が定まっているが故に、そこに至るまでの「問い」を作品と言う形でアウトプットするのが伊豆野式のようです。彼の作
2020年2月28日 17:04
地球上に於いて何十万年、何百万年という時の流れで様々な物質が生み出される自然のサイクルを、陶芸は人工的に加速させる営みとも言えます。木ノ戸久仁子「マグマ」木ノ戸久仁子さんはその陶芸の技法を用いて石を作っています。「稀晶石」と名付けて自然には出来上がらない色彩や形の不思議な石を作り出して、最新作はなんと発光します。地球のサイクルを彼女はちょっとだけ狂わせているのです。 木ノ戸久仁子
2020年2月16日 18:11
たった一音爪弾いただけで観客の心を揺さぶるギタリストがいる。ほんの一音鳴らしただけでグルーヴを感じさせてしまうベーシストも存在する。その一瞬で直観に作用する力には抗えない。 寺田鉄平「窯変織部茶碗」寺田鉄平さんの陶芸作品はそういったものです。もちろんそれは歴史的・技術的な裏付けも大いに有るのですが、そういった情報は二次的なものであって、まず最初に飛び込んでくる「印象」。とにかくここで