【ショートショート】目が覚めると
ベッドから起き上がるとそこは見知らぬ部屋だった。殺風景なコンクリートの壁と床、窓もなく、ベッドの他にはシンプルなスチールのテーブルとタンスがあるだけだ。なんの装飾もなく、TVもパソコンもカレンダーもない。もちろん僕の部屋ではない。そして僕の妻も息子もいない。
ここはどこだ。僕は混乱したままベッドを出た。ベッドの下には使い古された灰色のスリッパがあり、それは僕の足に奇妙になじんだ。とりあえずあたりを見渡すと、テーブルの真ん中に赤いボタンがあり、「緊急時に押すこと!」と書いてあ