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17.【最終回】おわりは何かのはじまり 長野ゲストハウスヘルパー体験記

2021年8月15日 長野から帰ってきて、早くも1ヶ月が経った。善光寺が懐かしい。

 これまで16話書いてきた、長野市のゲストハウス1166バックパッカーズでのヘルパー体験記、宿のみなさんとのやりとりは現在もあるが、これで一旦、最終回にしようと思う。
 体験記の『1.はじめに』で、「わたしはヘルパー期間の1ヶ月でなにか得ることができるのだろうか」と書いた。だから、2021年6月6日〜7月12日の長野での日々を振り返り、得たものについて書きたい。

 たくさんあるが一番は、「好きなことを好きだと言えるようになった」ことだろうか。
 思い返せば、長野に行く前の自分は、ごく個人的な物事に対してさえ、自分がそれを好きになる資格はあるか?好きになって然るべきか?好きになっていいのか?というのをいつも気にしていた。
 例えば、いいなと思ったバンドがあるとして、でも、このバンドは活動開始してしばらく経ってるし、わたしより前から好きな人はたくさんいて、ファンになるにはシキタリとかもあるんだろうし、メンバーの出身地とか重要なエピソードとか知らないし、それをなんでも知れる自信がないしそこまでの情熱はないから、好きになっちゃダメだな、と思ってしまう人だった。(ちなみにこのバンドとはMr.Childrenだ笑。)

 バンドでなくても、読書、映画、山登り、料理、手芸、服や部屋のコーディネート、なにか書くこと…その他いいな、面白いな、と思うことはたくさんあるが、〇〇〇の分野ですでに活動している人はいっぱいいるでしょ、色んなシキタリ・ルールあるでしょ、当然知らなきゃいけないことあるでしょ、が始まって、わたしは色々なことを知らない、“浅い”自分をすごく厳しく監視していたのだった。

 しかし、1166バックパッカーズに集まる人たちは、どこまでも自分の好きを許している人たちだった。実体のない誰かと自分の、好きな気持ちの深度を比べることなく、好きなものは好き、だからやっちゃう!と、素直に夢中になっている人々ばかりだった。
 だからやっと、自分の気持ちに素直になって色々なことを好きになっていいんだということが分かった。

 岩手に帰ってきて、これからなにをしていこうかと考えているが、好きな気持ちを誰かと比べなくていいとなってから、(色々経て)だったら自分でなにかやってみたいなと、考えられるようになった。
 単純にピンとくる求人に出会えていないというのもあるが、自分の好きな気持ちにぴったり来る仕事は、自分でつくらない限り一生ないんだと気づいてしまった。

 これから何をしていけばいいか全然分からないから、ヒントを得られるかもしれないと思ってやってみたゲストハウスのヘルパーだったが、ヒントは大いに得られたし、なんなら人生の転機になったように感じる。やってよかった。ヘルパー募集を見てすぐに応募した、2月のわたしナイスだ。

 宿の役立てたかという視点では、スタッフのみなさんにインタビューし記事にし、体験記を書くことで、「働いている人はこんな人、宿の中身はこんな感じ」ということを発信し、それに興味を持ってくださった方が泊まりにきてくれた……という実感は残念ながらなく、どんな形でかは分からないが、これからもっと役に立てればいいなと思っている。
 単純に1166バックパッカーズが好きだから、色々な人に知ってもらいたいし、体験してもらいたいし、その協力がしたい。

 最後にスタッフのみどりちゃん、ももちゃん、すーさん、オーナーの織絵さん、心からありがとうございました。今後もずっとつながっていたい、と思っています。
 宿でお話してくださった皆さま、そしてこの体験記を読んでくださった皆さまにも、心から感謝しています。そしてそして、1ヶ月間長野に送り出してくれた夫、本気でありがとう。

 旅を心ゆくまで楽しめる日々に、早くなることを願って、おしまい。


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