
可能性に蓋をしない!~介護現場から学ぶマネジメント論~
こんにちは!Paddle株式会社編集長・星野(@Asakusa_999)です。
少子高齢化が進む日本社会において、
介護現場の人手不足は深刻な社会問題になっています。
私は以前、個人的な活動で介護施設の人手不足問題解消に向け、
現場のリアルを知るべく、いくつかの介護施設を訪問しました。
今日はそんな介護現場訪問で得た学びから
組織マネジメントについて考えてみました。
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▼ 人手不足施設を見分けるポイントは?
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ある施設への訪問で
施設長さんから面白い話を聞くことができました。
介護現場の施設長さん目線からすると、
人手が足りてるかそうでないかが、一目でわかるポイントがあるそうです。
みなさんお判りになりますでしょうか??
そのポイントは「壁」だそうです。
"あー、なるほど。
人手が足りている施設は対策や掃除が行き届いているので、
認知症やボケが進んでしまった方への対応として、壁が綺麗なのか…!"
そんな風に思った方が多いのではないでしょうか?
私も当初はそう感じた身でしたが、実際は逆のようです。
人手が足りていない施設ほど、壁紙が綺麗なのだそうです。
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▼ 壁が綺麗なカラクリ
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なぜ、壁紙が綺麗なことが人手不足の証になるのでしょうか?
そのカラクリは以下のようです。
従業員が足りていない施設では、
仕事をなるべく合理的・効率的に回す必要がある
⇒従業員総出でなるべく入居者を部屋で寝かしつける
⇒フロアに人が居ない状態が多くなる
⇒認知症の方は人が周りにいないと不安になり不穏状態になる
⇒大きな声を出したり爪を立てて攻撃したりする「他害」状態になる
⇒壁にあるモノや掲示物を破損・誤飲する危険性
⇒「他害」状態が出ても事故が起きないように壁を綺麗にする
とのことです。
シンプルに言えば、管理監督がしきれないため、
いつ「他害」状態が出ても良いように壁を綺麗にしているとのことです。
一方、人手が足りている施設は、
従業員が各認知症の方に不安を与えないよう
密にコミュニケーションをとり、
そもそも「他害」状態が出ないような取り組みをしているとのこと。
そのような施設ではそもそも壁からモノをなくす必要がなく、
掲示物や工作品など、活気溢れる装飾が施されているそうです。
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▼ 可能性を解放するマネジメントを
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問題解決の思考において、とても勉強になりました。
壁からモノをなくすことも
もちろん立派な「認知症の方への対処」だと思いますが、
「もう一段視座の高い配慮」が存在しました。
これは、介護現場云々の話というだけではなく、
私達が日々接するビジネスの現場にも置き換えられる学びだと感じます。
何かを取り上げたり、抑制したりして、
小手先の対処をするよりも、
本質的な課題を解決することが大切だと思います。
例えば、営業の外回りでサボる営業メンバーに対して
GPSなどを持たせて監視する事が抜本的な課題解決に繋がるでしょうか?
約束の時間をオーバーして親にゲームを取り上げられた小学生が、
反省をせず親の不在時にゲームの隠し場所を探すのと同様に、
GPSを持たされた営業メンバーも"抜け道"を探すことに必死になる姿が容易に想像できます。
できないことに蓋をして、
抑止するようなマネジメントには
いつかハレーションが起きてしまうでしょう。
できない事を「できない」としたまま小手先の対処をする前に、
できない事を「できる」に変えるにはどうしたらよいか?という解決策を思考する事が大切だと思います。
可能性に蓋をするマネジメントではなく、
可能性を解放するマネジメントを。
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