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Web3黎明期の今、なぜPacificMetaが投資を始めたのか
Pacific Metaは先日、投資部門「Pacific Meta Ventures」の組成を発表しました。
先日メインネットを公開した”Hana Network”や、Pudgy PenguinのIPを活用したカードゲーム “Vibes”、”0xPPL”への投資を発表させていただきましたが、実はその他にも水面下で数多くの投資を行っています。
突然の発表だったため、こうしたリリースを見られた方の中には、「なぜパシメタが投資を?」と疑問に思われた方も多くいると思います。
実際に、現在のWeb3業界ではVC等の投資家が関与したアルトコインに対して厳しい声もあり、投資でリターンを得るのは非常に難しいと言われているためです。
そこで、この記事では「なぜ"今"Pacific Metaが投資をするのか」「どのような領域に投資をするのか」について解説していきたいと思います。
また、領域を紹介する中で、グローバルに展開しているPacificMetaだからこそわかるクリプトのユースケースについても紹介していきますので、ぜひ最後までご覧いただければと思います。
なぜPacific Metaが投資をするのか?
私たちが投資を始めた理由はいくつかありますが、一番のきっかけは、海外のWeb3プレイヤーの多くが「日本ベースの投資家」を探していることに気づいたからです。
近年、多くのWeb3領域のグローバルプロジェクトが日本市場を魅力的に感じています。しかし、彼らは日本へのパイプがなく、土地勘のある投資家を探しているという話をよく耳にしていました。
そこで、日本でのマーケティングを強みとして成長してきた私たちPacific Metaも、投資家として参入できる余地があるのではないかと考えました。
ベンチャーキャピタル出身でCrypto投資を担当していた人材が多かったこともあり、Pacific Metaの提供機能を投資領域へ拡大することを決断しています。
もちろん、私たちとしても、有望なWeb3企業に投資をすることには多くのメリットを感じています。
私たちが投資したプロジェクトのマーケティング支援に成功すれば、その分、投資のリターンも大きくなり、投資したプロジェクトを日本からWeb3に挑戦する企業やプロジェクトに紹介することもできます。
こうした「投資機能だけではなく、ビジネス部分でもサポートができる」ことは、海外の投資家と差別化できるポイントになります。投資家がアロケーションをもらうことが難しくなっている中で、こうした強みを活かして、しっかりとWin-Winな投資を増やしていきたいと考えています。
投資家が関与したアルトコインが弱い今、なぜ投資を始めるのか?
A. 破壊的なイノベーション、"NEXT GAFA"はもう既に世の中に出ている可能性が高く、5年後、10年後の世界は想像できるようになってきているためです。a16zのレポートによれば、Cryptoの月間アクティブユーザーはインターネットの1998年時と同じであり、これはGoogleの創業年と同じです。
ということで、投資機能を開始したPacific Metaですが、今の市況が良いタイミングかどうかという論点は残ります。
これまでCrypto投資を経験した方々の中には、今Crypto投資をすることに対して懐疑的な方も多いのではないでしょうか。
現在、投資家が関与したアルトコインは市場においてヘイトを集める存在になりつつあります。
理由は単純で、リテールの投資家がこれまで取引所やVCの売り圧に散々な目に合わされてきたからです。
以下の画像は2024年にBinanceに上場したプロジェクトのパフォーマンス (11月4日集計) を一覧で可視化した表ですが、80%以上のトークンは上場時からの価格がマイナスで、半数以上は50%以上の価格下落を経験しています。
BinanceはいわゆるTop Tierの取引所で、相当なVCやPartnerが関与していないと上場することはできません。
そんな一握りのプロジェクトでさえこのような結果になってしまうのですから、新規上場の人気はどんどん落ちてしまいます。
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「ミームコイン」の台頭は、この取引所やVCによって権威を与えられた暗号資産に対するカウンターカルチャーの一種と言えます。
先ほどの表からもわかるように、錚々たる投資家が関与したアルトコインが、上記で述べたようなパフォーマンスを示す一方で、多くのユーティリティがない「ミームコイン」が高いパフォーマンスを見せています。
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もちろん、私たちもこのような現状は認識しています。
しかし、一方で悲観的になりすぎることも問題だと考えています。
その主な理由は、「クリプトのユーザー・ユースケースはもはや無視できないほどに成長しているから」です。
CryptoVCの権威であるa16zが発表したレポートによれば、月間のクリプトウォレットのユーザー数が過去最高を記録し、そしてそれがインターネットにおける1998年の人口と重なることが指摘されました。
1998年といえばGoogleやサイバーエージェントなど、世界や日本を代表する企業が誕生した年です。
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また、ブロックチェーンのユースケースは至るところで広がっています。
2018年以降、特にトークン発行をベースにした資金調達やインセンティブストラクチャーが実装され、人気を博してきました。
しかし、現在のトレンドはポンジ・スキーム的にトークンを発行するプロジェクトだけではありません。
リステーキングやモジュラーブロックチェーンといった技術的に新しい取り組みや、Private CreditやInsuranceをプライベートブロックチェーンで行う取り組み、一部の海外金融機関が部分的に経済活動をブロックチェーン上で行う取り組みなど、実はさまざまなチャレンジやユースケースが多くの投資家や金融機関を惹きつけています。
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いわゆるRWA(実物資産)と呼ばれるような分野では、すでに全世界で200兆円以上のアセットがブロックチェーン上でトークン化されています。
もちろん、上記の通りそのほとんどはステーブルコインが占めていますが、非金融期間が行う融資、例えばPrivate Creditなどもすでに1兆円以上の市場規模を誇っています。
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技術的には、ここ2年ほどのトレンドであるモジュラーブロックチェーンが急速に成長しています。
今年9月にTGE(トークン生成イベント)を実施したリステーキングプロトコルのEigenLayerは、上場直後にもかかわらず、FDVベースで6,000億円相当の価格がついています。
また、DAレイヤーとしてモジュラーブロックチェーンのコア部分を担うCelectiaも、FDVベースで7,000億円相当、DVベースでも2,000億円を超える評価を受けています。
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そして、その期待値に呼応するように、これらのコンセンサス・DAレイヤーをベースとするさまざまなブロックチェーンやAVS (Actively Validated Service) が登場しています。
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もはやブロックチェーンの世界でも、BlackRock、JPMorgan、Grayscaleといった金融系の超大手機関の名前は珍しくなくなっています。
これらの企業は、オンチェーンプロジェクトへの投資を行ったり、自社で許可型ブロックチェーンを使用するなど、私たちがミームコインに気を取られている間にさまざまな活用方法を現実のものとしているのです。
ビットコインのサイクルに惑わされず、着実にこうした実需を生み出し、10年後の時価総額ランキング上位に食い込んでいくようなプロジェクトに投資をしていければと思います。
どんなプロジェクトに投資したいか
私たちは、原則として国内外を問わず、すべての投資機会に対してオープンです。
株式・トークン問わず、私たちのビジネスとの親和性やクライアント様のビジネスとの親和性、出口を見据えたロードマップの有無、そして何よりも、Pacific Metaが投資することでシナジーと価値向上が期待できるプロジェクトであれば、ぜひ一緒に取り組みたいというのが本音です。
ただ、投資予算というのは有限であり、全てのプロジェクトに投資する余裕があるわけではないというのが現実です。そのため、私たちは今後5〜10年で大きく成長すると見込まれる領域に絞って投資を行っていく必要があります。
以下で説明するのは、その中でも注目する市場や領域の一部です。
もちろん、この仮説は現在の情報に基づいたものであり、今後の市況の変化に応じて我々の投資対象は変わる可能性があることをご理解ください。
▶︎ モバイルに対応したWeb3コンシューマアプリ
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一般的に、Web3のアプリケーションへのアクセスはPCを通じて行われると思われがちですが、最近ではその限りではありません。
実際、モバイル経由のユーザー数は過去最高値を記録しており、特にアジアやアフリカ圏で大きな伸びを見せています。
これは、Stepnのようなモバイルゲームの普及や、Telegram mini Appのようにモバイルアプリと連携したブロックチェーン体験がきっかけとなっているかもしれません。
いずれにせよ、次の数億人のオンボードは、モバイルのようなより手軽なデバイスを通じて行われることが予想されます。
もし、LINEのmini appが公開されれば、その市場規模はさらに大きくなる可能性もあります。
▶︎ toB向けのWeb3ソリューション
先に述べたように、ブロックチェーンはすでに、一定の企業やビジネスモデルに対して価値を提供できる技術となっています。
そのため、ブロックチェーンの「相互互換性」や「24時間365日の利用可能性」、「プライバシー・セキュリティ」、「耐検閲耐性」などの強みを活かし、企業向けの課題を解決するソリューションを提供する企業がこの数年で増加すると考えています。
▶︎ RWA市場
オフチェーンに存在するアセット、または契約のトークン化は、間違いなくこの数年で発展する市場の一つです。
ボストン・コンサルティング・グループは、ステーブルコインや債権の市場が火付け役となり、2030年までに現在の1800億ドルのRWAマーケットが6兆ドル規模まで成長すると予測しています。
また、その他の証券、不動産、プライベート・エクイティ、保険などのトークン化にも注目が必要です。この市場は、技術革新以上に、金融商品取引法などの規制が成長のネックとなっているケースが多く、規制当局の動向をリアルタイムで追う必要があります。
▶︎ 暗号技術 (zk / FHE等) を駆使した、スケーラビリティ・プライバシーソリューション
これらの技術は、より早く、より安全で、より安価な分散型ネットワークの実現には不可欠です。
すでに多くのプロジェクトが取り組んでおり、市場としては成熟しきっているように見えますが、実際には依然として研究開発が盛んに行われている領域であり、投資のチャンスもまだまだ残っていると感じています。
また同時に、こうした暗号技術に特化したFPGAやASICの研究開発も重要だと考えています。
▶︎ Actively Validated Service (AVS)
先に述べたように、Eigen Layerが圧倒的な注目を集めたことにより、さまざまなAVSが誕生しています。
2025年以降、この領域では、Web2のアプリケーションと比較してトラストレスな環境で複雑な計算やアプリケーションが実行できる可能性があります。
AVSと一口に言っても、Inco NetworkのようなL1 Chainから、Ava Protocolのようにクロスチェーンにおけるアプリケーションの自動化を実現する機能を提供するものまで、さまざまなタイプがあります。AVS同士を相互に連携させるためのAVSにも大きな可能性を感じています。
▶︎ クリプト AI
BlockchainをAIのインフラストラクチャーとして利用するプロジェクトは、5〜10年の長いスパンで確実に成長していくと予測しています。
AIのモデル自体を分散化させる技術や、学習プロセスの分散化、AI Agent同士が協力するための分散型ネットワークなど、一部の役割に特化したユースケースにも期待しています。
▶︎ Gaming / Social
私たちは日本市場をベースにしているため、エンターテインメント全般に対して、投資・マーケティング支援ともにポジティブです。
Ethereumだけでなく、Sui 、Solana 、 Baseといった多くのトランザクションを集めるチェーンや、Berachain 、Monadなどこれからメインネットを公開するブロックチェーンにおいて、新しくポジションを取りに行く戦略も全力で支援していきます。
これからのマーケットに期待すること
▶︎ 安くて便利なインフラストラクチャとしてのブロックチェーン
「Super Computer」をパブリックブロックチェーン上で実現することは、多くのクリプト民にとっての夢の一つだと考えます。
現在のブロックチェーンはまだ、分散性・スケーラビリティ・セキュリティのトリレンマから抜け出せておらず、様々なブレイクスルーを必要としています。
▶︎ RWA関連のユースケースと、それに適したレギュレーションの実装
先に述べた通り、RWAのユースケースは数多く登場しています。そもそも、法律で定義された価値・権利・契約がオンチェーンでトークン化され、取引されることが、所有者の経済活動をより自由に、より主権的にすることは紛れもない事実です。
しかしながら、このRWAが実際に流通した場合、さまざまなトラブルや困難が起こることも容易に想像できます。これを未然に防ぐには、やはり適切な法規制が不可欠です。積極的なユースケースの開拓と、それに適した規制の実装が早期に行われることで、より早いブロックチェーンのアダプションが実現し得ます。
▶︎ 収益性の高いアプリケーションレイヤーの台頭
特にTon Gameなど、ゲーム関連のプレイヤーはこれを達成しつつあると認識しています。
高い収益率とその維持は、トークンの有無にかかわらず、ビジネスにおける重要な視点です。この収益性が、ゲームやDEXだけではなく、決済アプリケーションやSocial領域、Metaverseなどでも再現性高く行えるようなナラティブが生まれることを期待しています。
▶︎ クリプト文化・IPの醸成
ミームを始めとしたクリプト独自の文化を、100年先も残り続けるような形に作り上げることが、この時代を彩るための大事なことの一つです。
それはおそらく、コミュニティが必然的に求めることであり、NFTやミームで生まれたIPが、さまざまなコンテンツでさらなる熱狂や郷愁を生みだすのは、そう遠い未来の話ではないはずです。
最後に
クリプトは現在、「どうなってもおかしくない」局面にいるのではないかと考えています。
どのトークンが高騰するか、暴落するかという話だけではなく、技術的なブレイクスルーやレギュレーションの変化がいつ起きるかによって、成長することもあれば、逆に停滞することもあるでしょう。
しかしながら、冷静に一つ一つのデータを見ていくと、すでにブロックチェーンがその本来の価値を発揮している事例が数多くあります。
ブロックチェーンだから生まれる体験、動かせるコミュニティ、下げられるコスト、高速化など多くの可能性が広がっています。
そこで重要なのは、「何が実現できていて、何が実現できていないのか」、そして「何が解決されれば、未実現のものが現実になるのか」を捉えていくことです。
Pacific Metaは、こうした価値あるユースケースが世の中に普及するために、またその流れに日本が遅れを取らないためには何をすれば良いかを真剣に考えながら事業を組み立てています。
Pacific Meta Venturesはその理想を叶えるための一つの手段として、非常に価値あるものだと考えています。
ブロックチェーンとその未来を信じる皆様とともに、この荒波を楽しみながら乗り超えることができれば幸いです。
Pacific Metaでは、ミッションである"To Create the Web3 Standard from Japan" をともに実現するメンバーを募集しています!
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