ちょいと、名刺踏んでますよ。

コロナも私の日常3-84
84日目　6月18日（金）

家に帰る23時の銀座線の中で、何かが落ちているのを見る。しかもそれは、隣の人の靴によって踏まれている。よくよく見ると、誰かの名刺だった。
カズヒロ・ゴチョーさん。なんだか名前がカッコよいのでとても印象的である。全国のゴチョーさんに届け。あなたの名刺、踏まれてますよ。

どこの誰かも分からないゴチョーさんの名刺を見て、私は勝手に親近感を感じて、落とし物として拾って電話でもして届けてあげようかとさえ思ったくらいには親切心が湧いてきた。同時に、あなたの名刺にはほとんど誰も興味がないんだなということも知った。そこら辺に落ちているゴミと同じような扱いを、この名刺は受けている。確かにゴミだけど、ゴミじゃないような気もする。ちゃんと名前が書いてある限り、それは誰かのものとも言える。持ち物にはきちんと名前を書くようにって、小学校の先生も言ってた。自分の持ち物を踏み躙られて、いい思いはしないよなあと思ったりする。

そもそもこんなところに名刺を落とすとは何事か。個人情報漏洩事件ではないか。ゴチョーさん、今まさに、あなたのプライバシー、侵害されてますよ。私は勝手な想像に思いを膨らませる。きっとゴチョーさんは仕事終わりに銀座線に乗り、スマホを持ったまま眠ってしまったのだ。目的の駅で目を覚まし慌てて立ち上がった時に、ハラリとスマホケースに入れていた名刺が落ちてしまった。そう、まさに「名刺を落としただけなのに」の開幕である。だめだ、これではサイコホラーになってまう。
あるいは、サトウさん32歳独身会社員が、今日取引先で出会ったゴチョーさんという男と名刺を交換し、思いの外ゴチョーは嫌な奴で全然相手にしてもらえず腹が立ったので、腹いせにゴチョーの名刺を捨てた、かもしれない。でもこれは、あんまり考えられない。なんとなくだけど、この名刺からはそんな悪意を感じなかった。だって、踏まれているのにやたら綺麗だったから。雑草のようにしぶといこの名刺は、ある意味では芸術作品とも言えるかもしれない。私なら「毎日」というタイトルをつけてこの床に落とされた名刺の写真をデンと飾るな。私は勝手にこの名刺の境遇を想像し、勝手に親近感を抱いている。実は似たもの同士だったんだね、うちら。

あれ、おかしいな。こんなに名刺について話すつもりではなかったのに、いつの間にか1000文字くらい書いている。名刺ひとつでこんなに想像が膨らんでしまうので厄介である。ゴチョーさん、お気をつけて。あなたの落とした名刺ひとつのおかげで、あなたの知らないところでnoteが盛り上がっています。というより勝手に1人で盛り上がってる奴がいます、ここに。

名刺を拾う前は、普通に仕事帰りに彼女と会ってドライブしていた。記念すべき8ヶ月を迎えた私たちは、いつもの事だが別に特別な事をするわけではなく、鎌倉まで来てくれた彼女と会ってお花を渡す。同じことを考えていたようで、彼女もお花を渡してくる。かわいくて素敵なお花。彼女の最寄り駅で雨に降られ、私の折り畳みがようやく役に立つ時が来た。そのまま彼女の家の車で品川まで送ってもらうつもりが、別れが惜しくてそのまま彼女の家まで帰ってきた。ドライブのようでただの送迎だったものが、一気にドライブになった。明日は土曜だし、なんなら明日も会えるけど
、たまには遅い帰りでもまあいいか。そんな気持ちでハッピーに帰宅していた。

その前は仕事。だんだん慣れてきて楽しくなってきたこの仕事も、上司のことがよく分からない。優しいけれど、私には反応が薄い気がする。というか全体的に反応が薄い。もうちょっと部下にもオーバーリアクションくらいで接してくれても良い。反応がないよりは安心する、たぶん。うざいのも嫌だけど、反応がなさすぎてこっちが相手の気持ちを伺うなんてなんだかメンヘラ彼女みたいで嫌だ。絶対にやだ。そしてお願いだからちゃんと情報共有をしてくれと思う。前も言ったと思うけど〜ではない。前も言ったかもしれないなんて、そんな会話の中で儚く消えていってしまうような共有なら意味がない、ちゃんと紙を渡すとか資料を共有するとか報告するとかしてくれないとこっちは普通に物忘れの激しい人間なので忘れるし分からないしあなたが何を考えているかは知らん。やる事とやったことは部下にも教えてくれ頼む。という感じで、私が上司だったらこうするのに〜というのをいつも私に教えてくれる素晴らしい上司だ。ありがとう上司。

朝は気持ちの良い青空を見た。空気が澄んでいて、湿気がなくてカラッと冷たい。湿気がないとこんなに過ごしやすいんだなと改めて日々の湿気の多さに気がつく朝。

今日は初めて1日を終わりから書いてみたけれど、意外と結構楽しい。これからもちょくちょくこういう感じで書いてみようと思います。

ああ。今日は、半月を見た。

おやすみ。