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忘年会で泥酔し大失態をさらした阿呆が、過去に成功した禁煙と同様のメソッドで、いざ禁酒に挑まんとす

こんにちは、令和元年末の会社の忘年会で泥酔し、大失態をさらした阿呆です。

今までにも数え切れないほど酒席での失敗を大量生産し、次こそは大丈夫、今度は絶対うまくやれると、現実から目を背け続けてきたのであるが、このたび自分は「酒量をコントロールすることができない人間」であることを率直に認め、はなはだ遅すぎた感は否めないが「禁酒」という決断に至ったその精神的経緯を記しておきたいと思う。

下戸のかたや、酒量をコントロールできる良識あるみなさまからは、酒で失敗するような奴は自業自得だ、自己責任だ、欠陥人間だ、不良品だ、糞尿でできた汚属性のゴーレムだと思われているに違いない。侮蔑と憐憫をたたえたそのまなざしから、魯鈍なぼくでもさすがにわかる。しかしながら、この自己嫌悪とも不甲斐なさとも遺憾とも異なる、複雑怪奇で名状しがたい寂寞たる想いを、同様の苦悩に煩悶するまだ見ぬ同士たちに届けたいと願ってしまった。

これは酒席のたびに鯨飲し、酒に飲まれ、意識と自我を混濁し、記憶と信頼を喪失し、実感のない罪業を糾弾され(すいません猛省しています)、会社の同僚や家族から愛想を尽かされ続けてきた、自分および同士諸君に捧げる全身全霊の鎮魂歌(レクイエム)だ。だいじょうぶマイ・フレンド、ぼくはあなたの味方です。ズトラーストヴィチェ。

大前提であるが、ぼくは決して開き直っているわけでも、やけっぱち、八つ当たり、自暴自棄になっているわけでもない。本当に猛省し悔悟し懺悔し慚愧の念に堪えない。そのうえであえて誤解を恐れずに言うと「やっぱりこんな危険きわまりない液体が、当然のごとく市井に流通しているのはまともじゃないだろう」と思うのだ。

ぼくとアルコールの関係は、たとえるなら技術不足で頓挫した高速増殖炉「もんじゅ」のようなものであった。ぼくがアルコールをコントロールするなどということは、思い上がり以外のなにものでもなかったからである。だから廃炉、もとい禁酒という決断は、都営三田線でいえば西高島平駅、自然な帰結であり必然であった。

禁酒することにたいしては、まったく不安や心配を抱いていなかった。なぜならば、ぼくには過去に禁煙をたった1回で成功させたという輝かしい実績があるからだ。よく「普段は吸わないが呑み会でだけ吸う」みたいな人がいるが、ぼくはこの12年間、そういった曖昧さに屈することもなく完全禁煙してきた。余談だが、くわえた煙草へジッポーで着火した瞬間に目が覚める夢は37回以上みている。

禁煙の成功の鍵となったのは、まちがいなく下記の本との出会いであった。

語り口は信用ならず、比喩はピントがずれていて、かなり胡散臭い。しかし、その根幹の「メソッド」は汎用的で有用だと思う。なので今回の禁酒にあたっても、まずその禁酒バージョンを読むことからはじめた。

基本となるメソッドは禁煙のそれと一緒である。そのメソッドをぼくなりに咀嚼し解釈し自分の言葉で以下にまとめてみた。

我慢は持続しない。その行為が自分にとって不利益でしかないことを心底理解し、やめるという自分の選択が得利であり有益であるということを完全に理解する。そして思い込む。だからたまにならオッケーとか適度に楽しむという選択肢はない。なぜならばその行為は損失しかない無益で有害な行為であり、我慢しているわけではないからだ。

まことに簡潔で明快な理屈であるが、実際にこれだけで禁煙が成功してしまったのだからしょうがない。しかし、このメソッドは喫煙や飲酒といったあきらかに「百害あって一利なし」的行為にはたいへん有用であるが、利が害を上回っている行為にたいしては無効である。まあ、そもそも利がまさっているのなら、やめる必要もないのだろうけれども。

また、以前から気になっていた下記の本も手にとった。

あいかわらずの町田節であり、まるで文章そのものが酩酊しているがごとくの千鳥足で、あっちへふらふらこっちへふらふらと路地裏ばかりをうろついており、kindleの進捗度が40%を超えても本道に出てこないので「これはこのまま主題に入らず終わってしまうのではないだろうか?」と不安になったほどであった。本書はあくまでも著者の断酒にまつわるエッセイであり、純粋な禁酒のために読もうという目的の方にはまったくもって向いていない。

ただ、やはり著者のいう「認識改造」がさきほどぼくがまとめたメソッドと本質的には同様の手法であり、終盤の「禁酒がもたらした利潤」についての文章は、単純に自分がくだした禁酒という決断が、まちがいではなかったことを保証されたようで勇気づけられた。

とはいえぼくはまだ禁酒に関してはたった10日目のひよっこであり、とても偉そうなことを言える身分ではない。しかし、「ああ、もう多分一生酒を呑むことはないんだろうな」という実感だけはある。

さいごに、本記事は人様に迷惑をかけない愛煙家、酒客のみなさまに禁煙、禁酒をすすめるような厚顔無恥な意図はなく、あくまでも個人的な「或阿呆の酒の失敗報告」であることをおことわりしておきます。

さあて、ようやっと書き終わったしストゼロで乾杯だあ!(冗談です)


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