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ケルト神話・アイルランドの伝承あらすじ集【有料記事】

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日本語の本は全部読んだけど物足りない人、あらすじだけでも手軽に知りたい人などへ。 アイルランドの神話・伝説の中で、定番の有名な話から、既刊の書籍では触れられないような話まで、広… もっと読む
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記事一覧

フィン・マックールが率いた戦士団フィアンについて

これらの物語の近代の批判的読者は、すぐに次のように感じるだろう、この煌びやかな蜃気楼の中に、事実の裏付けを探すことは徒労であると。しかしその蜃気楼は、この種の文芸に対する極めて稀な才能を有する詩人たちと語り部たちによって作り上げられたものであるからして、かつてアイルランドとスコットランドのゲール人の想像の世界を深く支配していたのである。(Myths And Legends Of The Celti

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王たちのサイクルと「霊の幻視」あらすじ

王たちのサイクルと「霊の幻視」あらすじ

1.王たちのサイクルアイルランドの伝承では、「神話サイクル」、「アルスターサイクル」、「フィンサイクル」の三つのサイクルが有名です(拙記事参照)。しかし、実はその三つとは別の、あまり知られていないサイクルがあるのです。それが「王たちのサイクル」(またの名を「歴史サイクル」)です。これは、伝説及び史実上の諸王に関する様々な伝承群のことを言います。

「王たちのサイクル」の特徴は、他の三つのサイクルと

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ケルト神話・アイルランドの伝承あらすじ集⑤:鮭の話

みなさんこんにちは。 この一連の記事は、普通ではなかなか触れることの難しいケルト神話(アイルランドの伝承)の、あらすじだけでも簡単に読めるようにしてみようという試みです。既に書いた記事はマガジンの方から一覧をご覧になれます。

前回は鳥に関する物語をいくつか紹介しました。同じく生き物ということで、今回は鮭に関する二つの話の話をご紹介します。

鮭はアイルランドで特別な生き物と見なされており、〈知識

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ケルト神話・アイルランドの伝承あらすじ集④:鳥の物語三編

この一連の記事は、普通ではなかなか触れることの難しいケルト神話(アイルランドの伝承)の、あらすじだけでも簡単に読めるようにしてみようという試みです。既に書いた記事はマガジンの方から一覧をご覧になれます。

前回(③)の最後では、若さの神オイングスが、恋人カイルとともに白鳥となって飛んでいきました。今回はそのように、鳥というモチーフ、特に美しい鳥が共通する話を集めてみました。アイルランドの伝承の中で

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ケルト神話・アイルランドの伝承あらすじ集③:ディルムッドの養父、若さと愛の神の物語四編

知る人ぞ知る、かの有名な妖精の住処、ブルー・ナ・ボーニャ。アイルランドはニューグレンジの、ボイン河の屈曲部のほとりに実在する新石器時代の地下遺跡ですが、これはケルト人以前の巨石文化民の残したものであり、丘の中に通廊状の空間があって、横に開いた採光窓からは、冬至の日だけまっすぐ光が差し込むようになっているため、太陽祭祀と関連するのではないかと言われています。

図:ブルー・ナ・ボーニャの概観

さて

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ケルト神話・アイルランドの伝承あらすじ集②:駆け落ち物語二編

こんにちは。アイルランドの伝承あらすじ集、二つ目です。

「ケルト神話」というと、大抵の場合アイルランドの神話的・異教的な伝承を指します。これらの中には書籍に全訳・抄訳されている物もありますが、一方で日本語では内容が一切わからないものもありますし、手軽に読める形にしてあったら役に立つのではないか、という考えもあって、これら一連の記事を書いています。

今回のお話はそれなりに有名なので、ご存じの方も

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ケルト神話・アイルランドの伝承あらすじ集①:『マグ・トゥレドの戦い』、『侵略の書』

ケルト神話といえばアイルランドの伝承が主ですが、ケルト神話のなかで、アイルランドの伝承は日本語で読めるものがとても少ないです。全訳されたものはこれまで確認しただけでわずか四つしかありません(拙記事「邦訳されたアイルランドの神話・伝説」参照)。抄訳にしても、一冊の本に収められている話は大した量ではありませんし、基本的にメジャーな話が載ってます。(ちなみに、どういった媒体で読むことができるか、という話

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