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#AIR Management

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AIR(アーティスト・イン・レジデンス)を運営することについて。世界中のAIRの状況を学んで、活かしています。
運営しているクリエイター

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様々な違いがあることは、日本のAIRの豊かさを示している。

岡本純子(公益財団法人セゾン文化財団 プログラム・オフィサー) PARADISE AIRとのピアレビューを通じ、アーティストに豊かな時間を過ごしてほしいという目的は当財団とも一致しているが、手法は様々な面で対照的であることがわかった。 まず、PARADISE AIRは施設が個性的だ。元ホテルだったため、部屋ごとに内装が異なり、ファンタジックな部屋、カントリー調の部屋、ロマンティックな部屋など、バリエーションが豊かだ。また浴室とトイレが独立しており、風呂場が広いのがとても魅

個々のアーカイブから、事業評価を意識する

 今回ピアレビューのお声がけをいただき、知っているようでその実態を理解できないでいたPARADISE AIRの話も伺いながら、国際芸術センター青森 [ACAC] の過去・現在について、未来のことも考えつつ話すことができました。PARADISEとACACはロケーションやスタッフの規模・働き方、施設の設備やアーティストが滞在する目的も対照的ですが、これまで400名くらいのアーティストを受け入れてきたこと、予算規模が約3,000万円ほどであることなど、符号の一致が印象的でした。お互

事業評価をストレッチする。

PARADISE AIRは国内外のアーティストを対象に松戸拠点に、アーティスト・イン・レジデンスの運営を行っています。アーティストとしてただ街にいられるように滞在場所と制作活動への支援を提供することで、彼らのキャリアアップやリフレッシュの場となっています。また、滞在制作をきっかけに、行政、地域団体、市民との様々なつながりが生まれ、文化を育んでいます。運営主体は多様な専門性をもつフリーランスによって構成されるコレクティブ組織であり、彼らをはじめとする文化芸術従事者の新たなつなが

アッセンブリッジ・ナゴヤ×PARADISE AIR

フェスティバルからレジデンスへ 森:僕たちは、千葉県松戸市でPARADISE AIRというレジデンスを運営しています。なぜ松戸なのかというと、東京藝術大学のキャンパスが上野と取手にあり、それを結ぶ常磐線沿線でアート活動をしようという動きが2009年頃からあって、松戸市でも「アートラインプロジェクト」が立ち上がりました。  最初は遊休施設を使って、若手アーティストが展示やイベントをやっていたのですが、「展示が終わった後に街に何も残らないね」と街の方に言われたことをきっかけに、

セゾン文化財団×PARADISE AIR

「創造活動への支援」「長期的視点に立った継続的な支援」「資金提供のみでない複合的な支援」という方針の下、先例 のない助成プログラムや環境整備・人材育成プログラムを次々に生み出してきたセゾン文化財団。そのプログラム・オフィサーである岡本さんとともに、アーティストの制作活動をどのように支援し、成果を評価し、プログラムを更新していくのかについて考えます。 プログラムの変遷 森:千葉県松戸市で2013年からPARADISE AIRというアーティスト・イン・レジデンスを運営してい

青森公立大学 国際芸術センター青森×PARADISE AIR

アーティスト・イン・レジデンスといっても、場所や歴史、運営主体などによってその具体的なあり方はさまざまでしょう。首都圏の交通の要所にあり滞在を主な機能とするPARADISE AIRと、地方都市の自然の中にあり、企画・制作から発表・アーカイブまでをトータルに支援する 青森公立大学 国際芸術センター青森。松戸とは対照的な環境でアーティスト・イン・レジデンスを運営する慶野さんと村上さんとともに、市民との関わりの持ち方、運営組織の持続性などについて考えます。 レジデンスの立地、背景

【東を新たに想像する】パラダイスエア的ロシアへの道|PARADISE AIR(松戸)✕Vostok(京都)✕ZARYA(ロシア・クラスノダール)

公開ミーティング「パラダイスエア的ロシアへの道」 日程:2021年3月30日(火) 時間:18:00~20:00 会場:オンライン スピーカー:Vostok +パヴェウ・パフチャレク(キュレーター) ゲスト:アリサ・バグドナイト(ZARYA Center for Contemporary Art) モデレーター:金巻勲(PARADISE AIR) 通訳:田村かのこ 「Knot」はノット、結び目、結び方のこと PARADISE AIRでは今年度から「PARADISE Knot

【実のところ単なるアーティスト・イン・レジデンスではありません。そこに居合わせるあらゆる人が雑多に集まったコミュニティーなのです。】LONGSTAY Program 2018 + Comeback 2019|アリシヤ ・ロガルスカ

LONGSTAY Program 2018 SHORTSTAY Program 2019 という2つのプログラムを通じて、PARADISE AIRでの滞在を経験したポーランド出身のアーティスト アリシヤ ・ロガルスカから、2019年度のイヤーブックに寄せられたメッセージをご紹介します。 アーティスト・プロフィール  私がPARADISE AIRのLONGSTAY Programに参加するため初めて日本を訪れたのは、 2018年の9月でした。日本という国や文化、そして地元の

【松戸は単なる目的地ではなく、自分自身が踏み出すこととなったアートの旅路の出発点】LONGSTAY Program 2016 + Comeback 2019|プリン・パニチュパン

LONGSTAY Program 2016 SHORTSTAY Program 2019 その他いくつかのプログラムを通じて、PARADISE AIRでの滞在を経験したタイ・アメリカ出身のアーティスト プリン・パニチュパンから、2019年度のイヤーブックに寄せられたメッセージをご紹介します。 アーティスト・プロフィール 旅そのものとなった目的地 私が松戸の地に最初に降り立ってから、三年以上の月日が経ちました。松戸は、私をいつも呼び戻してくれる目的地であり、巡礼のように何年

【松戸は私のホームであり、インスピレーションの源】LONGSTAY Program 2015 + Comeback 2019|ヴァスコ・ムラオ

LONGSTAY Program 2015 SHORTSTAY Program 2019 という2つのプログラムを通じて、PARADISE AIRでの滞在を経験したポルトガル出身のアーティスト ヴァスコ・ムラオから、2019年度のイヤーブックに寄せられたメッセージをご紹介します。 アーティスト・プロフィール 楽園に戻って 最初の経験 ある街に滞在しながらその街についての作品を制作するという経験を初めてしたのが、2015年のLONGSTAY Programでした。三ヶ月

LONGSTAY Program 2019|bi- in PARADISEにまつわる二つの声と三つ目の声

2019年のPARADISE AIRのロングステイ・プログラムでは、605件の応募が集まり、その中から選ばれた3人組のアーティスト・グループ「bi-」を招へいしました。 滞在期間中には“PARADISE AIR内で独自のアーティスト・イン・レジデンス「bi-PARADISE」を開く”というアートパフォーマンスを開催。 アーティスト・イン・レジデンスの活動は目に見える分かりやすい事から、把握しきれない些細な事柄まで、さまざまに複合しています。主宰者である彼らもまた、分かること

LONGSTAY Program 2019|Two voices and a third one (and the fourth!) about bi- in PARADISE

PARADISE AIR's LONGSTAY Program 2019 invited the artist collective "bi-," who were selected from 605 applications received. During their residency, they held an art performance called "bi-PARADISE," an artist-in-residence program using Par

【自分のポジションにとらわれないように、お互いに受容すること】LONGSTAY Program 2019|bi-PARADISE 記録上映会

ロングステイ・プログラム2019では本年4月のアーティスト公募から始まり、7〜8月のリサーチ滞在、10月からは本格的な滞在をおこなってきました。「bi-PARADISE 記録上映会」では今回の滞在の様子を切り取ったいくつかの短編からなる記録映像を上映し、滞在アーティストのエンリコ・フロリディアとともにその内容を振り返るトークを行ないました。 PARADISE AIR LONGSTAY Program 2019 bi-PARADISE 記録上映会 日程:2019年12月8日(

【bi-の感染力、媒介としての価値】LONGSTAY Program 2019|bi-PARADISE 後夜祭

ロングステイ・プログラム2019では本年4月のアーティスト公募から始まり、7〜8月のリサーチ滞在、10月からは本格的な滞在をおこなってきました。今回招へいしたアーティスト・グループ「bi-」のメンバー3人全員が揃う最後の機会として、「bi-PARADISE 後夜祭」と題したイベントを開催しました。 PARADISE AIR LONGSTAY Program 2019 bi-PARADISE 後夜祭 日程:2019年11月16日(土) bi- トーク:17:30-19:00