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知らなきゃもったいない!論文はまるで「宝の地図」だってこと

論文って難しそう。そう思っていませんか?

確かに論文は、一般書に比べて難しいところもあります。でも避けるほどではないし、コツさえつかめば素人でも読めるのですよ!そして研究者でなくても、論文を読むメリットはたくさんあります。

今回は、

1.一般人でも論文を読むメリット
2.論文の探し方
3.論文に苦手意識がなくなる「お守りマインド」

を順にご紹介していきたいと思います。

論文を読む、大きすぎる3つのメリットとは?

1つ目はズバリ、最新の情報が得られること。信頼のおける情報源を得たいと思った時の選択肢のひとつとして、その分野の専門家が書いた本が挙げられますよね。しかし大抵、専門家は本に書く前にまず論文を書きます。そのため論文にアクセスするほうが、早く最新情報を手にできるのです。

2つ目は、一般には出回っていない情報が手に入ること。専門家が本を出すとき、書き下ろしでない場合はいくつかの論文をもとに1冊の本にする場合も多いです。しかし論文を書いたものの、本の出版には至らないことも。そのため、情報収集時に論文を選択肢に入れることで、普通では手に入らない情報に触れることができます。「〇〇について知りたいけど、なかなか本が見つからない……」って時も、論文ならある、なんてこともありますよ。

3つ目は、手に入れた情報が信頼できるかを確かめる目が育つこと。論文に書かれる筆者の主張は、必ず根拠となる情報とセットで登場します。この「論文の型」に慣れ親しむことで、自然と「意見と根拠はセット」のマインドが身につくのです。この考え方は、普通の本や雑誌、インターネットで情報を得る時にも、とても役に立ちます。私たちは、書かれている情報を特に何も考えずにインプットしがちですよね。それが、論文を読むことで批判的思考力が身につくと、書いてあることが客観的な事実なのかただの意見なのかが意識しなくても分かるようになります。脳が勝手に根拠を探してしまうのですね。

情報過多の現代、この真実を見極める能力は欠かせません。論文を読むことで、専門知識だけでなく生きる力も身につくのです。

じゃあ、論文ってどうやって手に入れるの?

国内で発行された論文を探す時は、国立情報学研究所が運用しているCinii Resarchというサイトが便利です。

論文以外に、プロジェクトの報告書なども載っているため、幅広い情報を検索することができます。

Cinii Researchの検索画面

検索窓の「フリーワード」の部分に、興味のあるキーワードを入れてみましょう!Googleで検索するように、単語で区切って入力するとヒットする確率が上がります。

ここでポイントなのが「本文リンクあり」というチェックボックス。ここにチェックを入れて検索すると、オンライン上で無料公開されている論文のみを検索することができます。

「本文リンクあり」の検索結果

このように「本文リンクあり」の論文は、左側に黄色いアイコンが出てきます。今回はこの黄色い「機関リポジトリ」をクリックすれば、オンライン上で無料で論文が読める、というわけです。
(その横のDOIとは、論文1つ1つに振られた番号のことです。)

残念ながら学術論文は、その発行元の学会の会員になるか、大学などの研究機関に所属していないと手に入れることが難しいのが現状です(県立図書館などの大きな図書館では所蔵していることもありますが)。もちろん、どうしても読みたい文献などは図書館のレファレンスカウンターでご相談いただければ手に入れる方法はありますが、ちょっと興味があるな……くらいの熱意の場合は躊躇ってしまいますよね。こういう時に、この「本文リンクあり」のチェックボックスを活用してみてください。そうすれば、せっかく探したのに入手が難しいというフラストレーションから解放されます。

さあ、読んでみたい論文が見つかったら、難しいことは考えずにとりあえずダウンロードしてみましょう!次章では、論文を読むときに知っておきたいマインドをお伝えします。

論文に苦手意識がなくなる「お守りマインド」とは?

論文は研究者が読むものだし、なんだか難しそう。知識がないから、理解できるか分からない……。大丈夫!以下の3つのマインドを身に着けるだけで、自信を持って読めるようになりますよ。

1.理解できないのは、あなたのせいじゃない(場合もある)

私が卒業論文を書く時、指導教官から「高校生にも理解できるように書きなさい」と指摘されたことがあります。

必要のないところで専門用語を使わないこと。論文内で初めて出てくる専門用語には説明を入れること。言い換えられるものなら簡単な単語に置き換えること。簡潔な文章にすること。つまり、読む人にやさしい文章を心掛けなさいということです。

実際に卒論を読んだのは学科の先生たちのみですが、これはとても理にかなったアドバイスだと今でも思っています。研究者は狭く深く研究するため、例えば同じ「歴史」という分野でも、専門外のジャンルのことに詳しいとは限りません。また、最近は分野を超えた研究も増えています。例えば災害史が専門の研究者が、科学や地誌学の論文を必要とすることもあるのです。その時に、その界隈にしか通じない書き方がされていたら……。

論文に登場する知識は難しいかもしれませんが、文章自体は誰もが読みやすいものである必要があります。いい論文なら、素人でも用語や流れを調べながら読み進めることができるはずなのです。もし知識以外のところでつまづいてしまうようなら、もしかしたらその論文は読み手フレンドリーでない可能性があります(こんなことを言ったら怒られてしまうかもしれませんが!)。

2.最初は分からなくて当たり前!まずは数をこなそう

最初から全てを理解することなど不可能です。研究者になるのではなく、自分の勉強として読むのですから、100%を理解できなくても大丈夫。最初は知らない単語だらけで混乱するかもしれませんが、何度も同じジャンルのものを読んでいくうちに繋がりが分かるようになります。むしろ専門家向けの文章に、自分の知っていることが載っていたらすごくないですか?「あ、これ聞いたことある!」という事柄が出てきたら、ぜひ自分の記憶力の良さを褒めてあげてください。「どこかで聞いた」という事実を覚えているだけでもすごいことなのです。(聞いたことすら忘れている、なんて現象、よくありますもんね!)研究者が同じフィールドにいる世界では、自分自身は赤ちゃんも同然。ちょっとしたことを全力で褒め、モチベーションを失わないようにしてあげてくださいね。

そして、読むときはただ文章を目で追うのではなく、頭の中で前後関係を確認しながら読むのがポイント。頭も時間も使いますが、その分入ってくる情報も濃いです。やる気があるうちに、どんどん読み込んでいきましょう!

3.必殺!「『おわりに』で答え合わせ」の術

「100%を理解できなくても大丈夫」とはいえ、読んだものをちゃんと理解できているか不安になりますよね。そんな時は、論文の最後のほうにあるまとめの章「おわりに」を確認しましょう!どんな論文も、最後は必ず「おわりに」で締められているはず。ここは論文全体の筆者の主張をまとめて紹介している章なので、読んだ内容の答え合わせをすることができます。ここで内容の流れや筆者の主張のロジックを確認し、自分の理解とズレているところがないかをチェックできますよ。

まとめ

今回は、

1.論文を読むメリット
2.論文の探し方
3.論文を読むときの「お守りマインド」

の3つをご紹介しました。

知識は、専門家だけのものではありません。一般に公開されている以上、人類全体の宝物なのです。苦手意識さえなくなれば、あなたの世界は2倍も3倍も広がっていきます。一般に出回っている本は読みつくしちゃったな、という時や、新しい情報が欲しい時、論文はあなたの心強い友達になってくれますよ。そして、読み続けることで身につく批判的思考力は、この先の人生でずっと役に立つことでしょう。

この記事が、あなたの選択肢を広げる助けになりますように。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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