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もやもやとパリと夏休み

こんにちは。

🇫🇷

Tカードを更新するため渋谷TSUTAYAに。もうすっかり7月の恒例行事になってしまった。そういえば上の階にまだ行ったことないや、とエスカレーターで上りふらふらと眺めて手にとった一冊。

…こうやって書くと優雅に感じられるが、実際の渋谷は感染爆発中。「宣言」は一旦止めたものの、来週から再度始まるかもしれないと噂されていた時期だった。

私は夏季休暇に向けて「ステイホーム」するため数冊まとめて購入した。フィクションを2冊含めるなんて珍しい。今年もどこかへ行くことができないなら、いっそ、物語のなかで済まそうと。事実、私もタイトル通り、パリに行ったことないので。

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第1部は年齢も住んでいる場所も境遇もそれぞれ異なる10人の女性による、それぞれの日常から始まる。
彼女たちはみな、生き方に「モヤモヤ」を抱えている。そのモヤモヤは家族や友人ら周りからの目線だったり、進路だったり、世間体だったり、固定観念だったり、誰しも不安で恐ろしく後ろめたくなるもの。特に、女性は共感度数が高めだと思う。もちろん、私も。読み進めていくうちに「あ〜、それ分かる」が増えていった。
そもそも日本から出たことがなかったり、暫くぶりの海外だったりする人たちなのに、パリに行くと決めると「モヤモヤ」が一皮剥がれるようだ。すごい。なんだか魔法にかかった感じ。

そして、第2部では、10人の女性たちが南仏のツアーで約1週間共に過ごす、というのだ。私は「あれ?パリじゃないの?」と困惑した。だって、あれだけおのおのが憧れて、悩んで決めたことだよ!タイトルに『パリ』って書いてあるじゃない!って。お盆の時期にパリに行ったことがある方は分かるだろうけれど、著者は行ったことがない人にもそこをきちんとフォローするように、8月のパリがどんな感じか描いている。だからツアーの行き先を南仏に移したのかと、納得できるように。

🌻

ちょっとネタバレになるかもしれないけど、海外未経験のあゆこがパリに移住して働いて気付いたことに、私も同じような想いを持っている。あゆこの言葉をここで少し借りる。

外国に住むなんて聞こえがいいし、パリに住んでいるというだけで格好がついているけれど、でもだからって、すべてが解決したわけじゃない。日本でうまくやれなかったから、出口を求めて、ここへ来ただけの話だ。

感染症が蔓延する以前は、旅行だけでなく、ボランティアやインターンシップ、(語学)留学、出張・転勤、結婚などさまざまな希望を持って海外に行っていたのだが、じぶんの人生に出口や答えを与えられるわけではない。むしろ、出口を「探す」ようになるのだ。かくいう私も、学生時代に海外留学を経験したからとって、順風満帆な人生を送っていない。下請け会社員だったり国家資格を取得したり人生を這いあがろうとぎりぎりに生きている。

どこにいようと「あゆこはあゆこ」のように、どこにいても「私は私」なのだ。ひと夏の旅だが、哲学的で背中を押してもらえる一生の友になった。


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□『パリ行ったことないの』|CCCメディアハウス