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匂い

「はい、これ日本のお土産」と女子社員から貰ったはいいが・・・これ何だろう。中学生の頃に使っていた靴下のズレ止め接着剤(ソックタッチと言う名称だったような)に似ているが・・・。小瓶に液が入っており、ローラーのようなものが蓋代わりに付いている。 
「これ何に使うの・・・」妄想に耽るオヤジに一言「知らないの?これ、今はやりの加齢臭を押さえる薬よ。必要でしょ」と言い切る女子社員。それが何だか知らなかったショックよりも、加齢臭対策が必要でしょ・・・と言い切られた事がショックだ。

 加齢臭、自分には関係が無いと思い込んでいたが・・・。加齢臭といえばカレー臭などとオヤジギャグを考えるだけ空しい。そう言えば、我が愛するインドは町中至る所、カレーの匂いに溢れている。俺もどうせ臭うならインドの様にとことん・・・やけになるのは辞めよう。

 嗅覚は直接脳への刺激になるのか、タイで暮らしていてもカレーの匂いを嗅ぐ度に、インドでの嫌な出来事が走馬灯のように頭の中を駆け巡る。そういえばタイで使われている香水は主にインドから輸入されているらしい。
白檀、ジャスミン、貝紫、バニラなどの匂いはインドでは一般的だ。香料の多くは植物や動物の一部など極めてディープなものから出来ているらしい。確かに麝香はジャコウジカのオスの○○○○で出来ていると聞いたが・・・。恐ろしや~。

 場所は変わっていつものオフィス。休憩室から焦げたような匂いがしても誰も気にしない。ソムタム、ドリアン何でもこいの世界である。基本的にタイ人は匂いには寛容(鈍感)である。ネズミの死骸が浮かぶどぶの近くでも平気で食事が出来る、凄い才能だ。
 最近はやっと慣れたが、朝からニンニクの匂いをぷんぷんさせている中華系女子社員、彼女との朝一のミーティングは鬼門だ。また化粧の濃いお局社員との打ち合わせも朝は結構きつい。
 今日はお局様との打ち合わせをしなきゃならない日だ。ああっ憂鬱だなあと思って、アポの確認の電話をすると「朝のアポはキャンセル、午後3時にして」との事。化粧臭さも取れている頃か・・・ラッキーなはずなのに、打ち合わせ室はいつものようにプ~ン。

どうも最近化粧直しを覚えたみたいだ。こんなはずじゃあ・・・くっさ~。


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