見出し画像

映画『世界は今日から君のもの』英国で巡回上映

 2月上旬、監督した映画『世界は今日から君のもの』がイギリスで開催中のThe Japan Foundation Touring Film Programmeで上映され、舞台挨拶と質疑応答のため、僕も現地に行ってきました。
 この映画祭はJapan Foundation UKが主催するのもで、毎年20本くらいの日本映画をイギリス各地で上映しています。重視しているのは「ロンドンだけでなく地方でも上映する」ことだそうです。

 今回も9日の間にロンドンで二回上映したほか、ダンディー、レスター、ダービー、カーディフという4都市で上映され、僕は全ての都市に舞台挨拶をしに行きました。ダンディーだけは遠いため一泊しましたが、他は列車で行きロンドンに日帰りで戻るというパターンです。毎年招待された監督はこのパターンで行動しており、「ドサ回り」と呼ばれているそうです(笑)。
 ちょっと疲れましたが、海外で自分の映画を見てもらい、意見を聞くのは貴重な機会です。特に外国の地方の人に見てもらうというのは他ではなかなか経験できないことでしょう。

画像1

写真は現地のパンフレット

 ロンドンでの上映会場はバッキンガム宮殿の近くにある現代美術館(ICA)という施設です。地方での上映は、いずれも駅から少し離れた場所にある文化施設で行われました。どの施設も同じように一階にカフェがあり、館内に映画館が2,3スクリーンありました。おそらくイギリスのどの町にもこういう施設があるのでしょう。

果たしてお客さんは来るか?

 ロンドンはともかく地方でお客さんが来るのか?というのが心配でしたが、どこも盛況と言っていいくらいの観客の入りでした。現地在住の日本人の人もいますが、ほとんどはイギリス人で性別や年齢も色々です。彼らはネットの告知や施設が発行しているパンフレットを見て、この映画に興味を持って来てくれているのです。隣のスクリーンで上映している『パラサイト』より多くの動員をした都市もあり、「『パラサイト』に勝った!」などと喜びました(あっちは毎日上映しているので実際は比較になりませんが)。

「共感した!」という声

 見た後の反応は思いのほか良く、皆この映画を楽しんでくれた様子でした。ロンドンの一回目の上映のみ僕も客席で見たのですが、笑いの数は日本での上映より多かったです。マキタスポーツさんの「そういう人もいる」というセリフでは大爆笑。
 上映後の質疑では「日本での『引きこもり』の現状は?」「日本での家族関係の問題は」など割と硬めの質問が多かったですが、それが終わってロビーに出ると、多くの人が話しかけてくれ「面白かった」「美しい映画だった」などという声を聞くことが出来ました。ヒジャブを被った女性が「共感しました」と言ってくれたのが強く印象に残りました。映画に国境はないということを強く感じた瞬間でした。

画像2

上映後の質疑応答の様子

画像3

上映後、ロビーにて

ポン・ジュノ監督の発言と同じことを実感

 折しもアカデミー作品賞を受賞したポン・ジュノ監督はマーティン・スコセッシ監督に言われた「最も個人的なことが最もクリエイティブなことだ」という言葉を述べました。この『世界は今日から君のもの』は僕の作品の中でも主人公に自分を投影した個人的色合いが強い作品ですが、まさに同じことを感じました。
 個人的なことを描いているのに海外の人が理解し共感してくれる……これは実際に現地で観客と触れ合うことでしか実感できないことでしょう。

『世界は今日から君のもの』監督・脚本:尾崎将也 /  音楽:川井憲次 / 主題歌:藤原さくら「1995」 / 出演:門脇麦 三浦貴大 比留川游 マキタスポーツ YOUほか

公式サイト

DVD&Blu-ray 発売中

各配信サービスでも見られます Amazon prime video  、hulu 、U-NEXT

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?