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220225 名古屋旅行記⑤天竜二俣駅(最終日)

5-1 深夜の靴擦れ

目が覚めると深夜の2時。
東京へ帰る友人Aを見送った後、ホテルに戻ってすぐ寝落ちしてしまったようだ。

今回の旅行最終日は、あるアニメ映画の聖地に行く。
その聖地は、静岡県浜松市にある『天竜二俣駅』。

『天竜二俣駅』は、シン・エヴァンゲリオン劇場版:|| の第3村のモデルとなった。
第3村とは、世界滅亡の危機を生き残った者達が集まった集落のことで、
ストーリー上では、碇シンジがエヴァンゲリオンへの搭乗を決意をする、重要な位置を占める。

しかし、今日は名古屋から札幌へ帰らなければならない。
名古屋駅から天竜二俣駅までは、片道3時間かかる。
聖地では少なくとも2~3時間は散策したい。
フライトは17:50....

『始発で出るか...』

きちんと計算すれば、始発で出る必要はなかったのだが、
とんでもなく眠かったので、頭が回っていなかった。

名古屋初の始発は、6:09。

2時間ほど仮眠し、シャワーを浴びた後、ホテルをチェックアウトした。
寝ぼけた顔でバックヤードから飛び出してきたホテルマンに申し訳なく思いながら、キーを渡し、僕はホテルを出た。

外は雨は上がっていたものの、そのせいか空気が冷え切っていた。

名古屋駅まで約20分、僕は暗い栄の街を1人で歩き始めた。
外は誰1人歩いていない。

僕は、薄々気がついていた。
足が痛い。
靴擦れをしている。

初日、2日目ともに、その前兆はあったのだが、今あまりに痛い。
おそらく直前にシャワーを浴び、血行が良くなっているからなのか、
浮腫んでいたのかわからないが、ただただ痛い。

時間に余裕がないものの、コンビニによってスリッパを買おうか悩むほどだった。
チラリとズボンの裾を捲ってみると、靴下の踵は赤く染まっていた。

(靴擦れってこんな感じなんや)

僕は人生初の靴擦れを味わっていた。

(踵が痛むだけで、人はこんなに歩けなくなるモンなんやな。)

特に靴擦れのひどい左足を引きずりながら、僕は歩き続けた。

(なんか新鮮な気分...)

一緒に遊びに行く人が、その当日、靴擦れしていたら、
心配と同時に少し嬉しくなるだろうな。
新しい靴を卸して、会いにきてくれたのかな、と考えてしまう。

僕はこの名古屋旅行のために新しい靴を卸してきた。
この旅に誠実に向き合っている自分に、不思議な明るい気持ちになっていた。

ただ、足は痛い...

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ようやく着いた名鉄名古屋駅で、6:09の特急に乗り、僕は豊橋駅に向かった。

5-2 悪い思い切りの良さ

豊橋駅からJRに乗り換え、新所原という駅に降り立った。
この新所原駅から、天竜浜名湖鉄道に乗ることができる。
ちなみに劇中では、鈴原トウジが新所原駅を改築して、診療所としていた。

新所原駅からワンマンカーで天竜二俣駅へ向かう。
壁には『エヴァンゲリオンデザイン共通フリーパス 数量限定販売中』と
ヨレヨレのポスターが貼ってある。
映画の公開が昨年なのだ。もう残っていないだろう。

切符売り場で僕はチラリとそのポスターを気にかけたが、
後ろに"1秒も早く電車に乗りたいおじさん"がいたため、通常の切符を購入した。

電車に乗り込み、
(さっきのフリーパス残っているか確認すればよかったな。)
と若干の後悔の念が生じていた。

(記念になるもの買えたかもしれないな...)

一言確認するぐらいなのに、躊躇ってしまうのは昔からの癖なのだが、
最近はほとんど気にかかることは無かった。
しかし、こういう咄嗟の時にうまく振る舞えないのは、損だよな。
僕の悪い思い切りの良さだ。

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列車が動き出した。

乗客は先程のおじさんと僕の2人。
車窓から注ぎ込む朝日が非常に眩しい。
THE 田舎の心象風景 だ。

めちゃくちゃ楽しい。
初めて来るの田舎の鉄道に1人で乗ると、こんなにも心がザワザワするのか。

今日は初めての事ばかりだ。

天龍浜名湖鉄道は、その名の通り浜名湖の湖岸を沿って走る。

鰻やシジミやらが獲れる浜名湖。

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いいところだ。

5-3 天竜二俣駅(2時間)

9時ごろ、天竜二俣駅に到着した。

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この駅の最大の目玉といえば、転車台。
転車台とは車両の方向を変えるための機械のことで、
終点駅や車庫の前なんかにあるものらしい。
シン・エヴァンゲリオン劇場版:|| 内でも描かれ、印象的なシーンだった。

しかし、今は転車台を見学するツアーを中止しているらしい。
コロナで人が集まれないため、仕方ないのだが、さて困った。

とりあえず、駅の周りを散策してみよう。
どこかから転車台が観れるかもしれない。

しかし...転車台に近づけば、
『立入禁止』『発見次第、警察に通報します。』の看板が乱立。

先の観光客は何をしでかしたんや...?

僕は立入禁止場所には、入らないようにしながら歩き回っていた。

Q1 もしかしたら、隣の駐車場からなら見える...?
A1 見えない。

Q2 もしかしたら、近くの橋の上からなら見える...?
A2 見えない。

Q3 もしかしたら、近くの山の上からなら見える...?
A3 見えない。

見えない!!!!

無念すぎる.......

半分諦めながら、駅に戻ろうとした時、

(あれ、これ公道やん。)

細い道を見つけた。

なんとなくその道を辿っていったところ...

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(ん...?)

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転車台だ!!!!!
やっと見れた!!!

遠巻きながら、その姿を見ることができた。
帰りの電車の時間が迫っている中で、見つけた。

最高かいっ!!!!

完全に第3村じゃん...
シンジと綾波がトウジに案内されてたじゃん!!!


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共通フリー切符が、天竜二俣駅に残っていたので、買えた!
新所原駅で買うことができていたら、約半額で往復できていたのだが、
天竜浜名湖鉄道への寄付をした、と考えることにしよう。

何だかんだあったものの、天竜二俣駅での聖地巡りを満喫することができた。


5-4 名古屋旅行について

見たいものを見て、食べたいものを食べ、
会いたい人と会い、乗りたいものに乗り...

幸せな3日間だった。
新しい感覚にたくさん出会えた気がする。

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