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教育のプロが教える、社内研修を絶対忘れられない方法

私はコールセンターでSV業務をしておりますが、他の仕事そっちのけで、その勤務時間の大半を従業員育成に費やしています。

従業員のスキルがアップすれば、応答率や勤怠、各種KPIの向上が図れるため、未来の負担を減らすためにもハイプライオリティだと個人的に考えています。

基本私が携わったオペレーターさんは必ず課題にフルコミットしてくれますが、そこには前職での教員の経験が生きています。

恐らくコールセンターのみならず、研修を行う方には有益な情報かと思いますので是非ご覧ください。


このnoteは前半が事前知識、中盤は何をどう伝えるか、後半は忘れないための工夫、で構成されています。

ちなみにご存知かとは思いますが、研修する側をTrainer、研修される側をTraineeと呼びます。


1. 心構え

Trainerとして、絶対に使ってはいけない / 使わせてはいけないワードが存在します。

a. やってみないとわからない
b. 慣れたら大丈夫
c. 難しい

1つずつ解説します。


1. a. やってみないとわからない

この言葉は「研修は無意味」、「研修内容の複雑性」を意味します

やってみないとわからないのであれば、OJTで十分、研修に時間を取る必要はありません

また、「研修した内容を実践しているイメージ」がつかないことが要因でこのワードが使われるので、研修自体がわかりづらいことを意味します。

よって詳しくは後述しますが、研修内容はマインドのようなあやふやなものでない方がいいです。


1. b. 慣れたら大丈夫

裏を返せば、「慣れるまでは大丈夫じゃない」を意味します。

人によって習熟のスピードは違いますので、慣れるのを待っていてはいつまでも成長しません。

「いつまでに慣れさせるか」がTrainerの課題ですので、こちらから能動的に慣れさせるよう熱量を注ぎましょう。


1. c. 難しい

難しいからこそ研修するのでは...?

Traineeに研修した内容を発揮してほしいのであれば、「やってみよう!」とポジティブに思わせることも必要です。

「少し難しいと思うんだけど...」と説明するよりは、「〜するより簡単でしょ!」とポジティブに説明してください。


2. モノを伝える手法

インターネットで調べれば出てくる内容でもありますが、Traineeの意識レベルによってどう研修するか、は変えた方がいいです。

手法は3種類あり、(Traineeの)仕事における意識が高い順に説明します。

a. セミナー型
b. ワークショップ型
c. 1on1型

こちらも解説します。


2. a. セミナー型

よくある学校の授業風景ですね。

先生が話して、生徒が聞く、みたいな。

メリット
・一方的に進行できるため、話したい内容がブレない
・想定した時間内に終わらせられる
・大人数でも対応できる

デメリット
・集中力が切れやすい
・Trainerが話し疲れる
・全員の理解度が確認しづらい

ご覧のように、余程仕事に対して意識が高い人でなければ集中力が保たず、居眠りやボーっとするTraineeが発生してしまいます。

セミナー型を用いるのであれば、仕事に対する意識でグルーピングし、上位の人だけで実施しましょう。


2. b. ワークショップ型

教材を用意したアクティビティや、グループディスカッションを用いて、Traineeに主体的に取り組んでもらう手法です。

メリット
・知識のインプットだけでなくアウトプットできる
・意見交換から、いろいろな見方考え方に触れられる
・リラックスした状態で研修が受けられる

デメリット
・効果的か否かはTrainee側のコミュニティに依存する
・想定よりも時間がかかる
・話が逸れることが多い

意識が高い人はアウトプットでき、意識が低い人はインプットできる手法です。

Traineeが主体となって取り組むので、サボりにくいのも良い点となります。


2. c. 1on1型

Trainer1人に対してTrainee1人で研修を行う方法です。

メリット
・Traineeにピンポイントな研修が行える
・Traineeはサボれない(Trainerにとってのメリット?w)
・理解度をしっかりチェックできる

デメリット
・とにかく時間効率が悪い

2、3人相手に研修を行う場合もこちらのメリットデメリットが当てはまるのではないかと思います。

効率は悪いですが効果は高いでしょう。


研修のTPOに合わせて以上3種類のどれで行うかを選びます。

複数回に分けて研修を行う際は、ある日はセミナー型、ある日はワークショップ型とミックスして使う方法もありです。


3. 事前準備

一番大事で、一番時間がかかる過程です。

大分類として以下の3つに分けます。

a. 研修で何を伝えたいのか
b. 研修をどう進行させるか
c. 研修後に何をするのか


3. a. 研修で何を伝えたいのか

研修のゴール設定です。

以下の問いに答えられるよう考えましょう。

・何の研修ですか?
・Trainer視点でなぜその研修を行わなければならないのですか?
・Traineeがその研修を受けるメリットは何ですか?
・逆にTraineeがその研修を受けなかった場合のデメリットは何ですか?
・Traineeのゴールは、研修後に何ができていればいいですか?


何の研修か、ですが、本研修はTraineeの言動・行動の改善のために行われるべきです。

1のaでも軽く触れましたが、マインド等効果測定できないゴールは研修には向いていません、OJTで刷り込ませましょう。


3. b. 研修をどう進行させるか

どんな資料 / 教材を使うか、どれくらいの時間配分か等を決めます。

以下の問いに答えられるよう考えましょう。

・Trainerは誰ですか?
・Traineeは誰ですか?
・いつ研修を行いますか?
・どこで研修を行いますか?
・資料 / 教材は何を使いますか?
・資料 / 教材の使い方をどう説明しますか?
・アクティビティを用いる場合、使用する時間は何分ですか?

最後にどういう流れでどのようなことを話し、どれくらい時間がかかったかセルフロールプレイングにて確認します。

流れに関しては、後述する研修の自己評価チェックをご確認ください。


3. c. 研修後に何をするのか

3のaで「Traineeのゴールは、研修後に何ができていればいいですか?」を考えました。

ここをもっと掘り下げて考えてみます。

・ゴールに向かうために、Traineeはどんなアクションをすればいいですか?
・そのアクションをどれくらいの頻度で行えばゴールに近づきますか?
・誰がアクション実施の有無を確認しますか?

最後にまとめて、

・誰が、どのくらいの期間、何をチェックしますか?

ここまで考えられれば準備は完了です。


4. 研修の評価チェックシート

研修の流れに沿ったチェックシートです。

手元に用意しておいて、この順番に話せば研修自体はバッチリだったと言えるでしょう。

i. 何の研修かを説明できた
ii. なぜ行わなければならないかを説明できた
iii. Traineeにとっての最終的なゴールを説明できた
iv. 資料の説明 / アクティビティの実施ができた
v. 実践することで得られるTrainee側のメリットを説明できた
 (実践しなかった場合起こりうるTrainee側のデメリットを説明できた)
vi. ゴールに向かうために、何をすべきかを説明できた
vii. 誰が、どのくらいの期間で何をチェックするか説明できた
viii. アクションについて合意を得られた
viiii. Traineeの理解度に合わせて、複数回不明点を確認した
x. 研修最後に全体を通した不明点を確認した


5. 研修後の後追い

チェックシートの7番目、「誰が、どのくらいの期間で何をチェックするか説明できた」はTraineeに自ら伝えることがとても重要です。

言ったからには責任を持つ、ということで必ず後追いしていきましょう。

そして、実践できていなかったらフィードバック

達成できるまでが研修です。

これが社内研修を絶対忘れられない方法です。


期間を終えても進捗が良くなければ、再度アクションの中身を変えて研修が必要となります。

アクションの考え方については以前noteにまとめておりますので是非ご覧ください。


6. 最後に

長文にも関わらずここまで読んでいただいてありがとうございます。

ぶっちゃけどれだけ良い研修ができても、人間なので忘れると思います。

大事なのは、研修した後にどれだけ終わったコンテンツに触れられるか。

後追いの数だけ部下のスキルがアップしていくということですね。


あなたの仕事が少しでも楽になりますように。

では、よい1日を。

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