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フェイスブックでイタリア人になりました

 もちろん、未だに全然やってない人はいますが、それでもSNSはもう世の中に広く根づいたと言うべきでしょう。自分の思っていることを書いたり、他の誰かとやりとりしたり、たまに大変なことになったり、とにかくこうしている間にも多くの人が使いまくっている。

 とは言え、初めては誰にもあるわけで、私だっていろんなSNSを初めて使った時があるわけです。例えば私、周囲からだいぶ遅れてフェイスブックを始めたんです。

 SNSのスタートと言えばアカウント作りです。自分のプロフィールなりパスワードなりを入力していく作業ですね。これが面倒なんです。「すぐに始められます!」なんて前のめりなメッセージを出してくれるSNSもありますけれども、そんなSNSも私の怠惰さを知らないと見えます。名前を何にしようか考えて、いろんなプロフィールを入力して、パスワードを設定する。この三段構えだけで私の心はバキバキに折られていくわけです。

 今はどうか知りませんが、同時のフェイスブックは本名っぽくない名前を登録しようとすると「入力し直してください」と怒られるシステムになっていました。どういう判別法を採用しているのかは知りませんが、適当に入力した名前が次々に弾かれる。適当に入力するからだよと言われそうですが、本名っぽい偽名でもなぜかダメなんです。アカウントを作るという目的などすぐに忘れて、いかに嘘っぽい名前でアカウントを作るかに集中してしまいました。

 とりあえず、本名に限りなく近い偽名でアカウントを作ったんですが、フェイスブックが「あなたの友達ですか?」みたいなノリで他のアカウントを紹介してきた時は驚きました。学生時代に仲が良かった人たちの名前から、当時の職場の知り合いまでズラッと並んでいたんです。我が人生の縮図を見せつけられたと言っても過言ではない。

 フェイスブックはどうやって判別してるんでしょうか。もちろん、私だって普段から油断と不注意を繰り返して生きている自覚がありますから、日々それなりに個人情報を垂れ流してきた自覚はありましたけれども、こんなにも垂れ流してますか。何ですか、こうしている間にも私の周囲ではフェイスブックの手の者が息をひそめて私の個人情報を収集しているというのですか。

 急に恐ろしくなった私、とても友達登録する気分になれません。これ以上、個人情報を垂れ流さないようにするため、まずは名前を変えなければと思いました。しかし、日本語の偽名がことごとく弾かれてきたのは記憶に新しい。じゃあ、他の国の名前を入力してやろう。というわけで、それっぽいイタリア人の名前をアルファベットで適当にパカパカ打ち込んだら、なんと一発OKじゃありませんか。安心した私、他のプロフィールも限界まで消しまして、どうしても入力しろというものは適当に入力してフェイスブックからログアウトし、以降は一度もログインせずに本日を迎えています。もうパスワードも覚えてません。

 きっと、私と本当に交流のあった方々のアカウントには、フェイスブックから謎のイタリア人を「あなたの友達ですか?」と繰り返し紹介されているに違いありません。本当にすいません、全ては私がよく分からない慌て方をしたせいです。そのイタリア人は完全に毒にも薬にもならないアカウントですので、適当にあしらってくだされば幸いです。

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