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ジョンソンが終わる前に

2024年6月中旬、2023年秋にスタートしたリンカーンの後継番組「ジョンソン」が僅か1年で終了するというニュースが世間を賑わせた。

今回のnoteでは、ジョンソンが終わる前にジョンソンを改めて振り返り、そして、ジョンソンに対しての考えや思いを書いていこうと思う。

そもそもジョンソンとは?

まずは、ジョンソンについての簡単かつ詳細な説明から。2005年秋にスタートし8年間放送された、ダウンタウンMC、さまぁ~ず・雨上がり決死隊・キャイ~ン(2009年春まで山口智充も)がレギュラーのバラエティー番組「リンカーン」。そんなリンカーンのレギュラー放送終了から10年経った2023年秋、かまいたち・モグライダー・見取り図・ニューヨークという実力派芸人4組をレギュラーメンバーに起用し、リンカーンの後継番組としてスタートした。この番組こそがジョンソン。ちなみに番組タイトルの由来は、リンカーンの次の大統領の名前かららしい。

各回の放送を振り返ろう

まずここでは、ジョンソンの各回の放送を簡単に振り返っていこうと思う。

#1 2023/10/23
「芸人大運動会2023」
※初回2時間SP

記念すべき初回は、2時間SPとしてリンカーンの人気企画であった芸人大運動会を放送。要所要所でジョンソン独自の要素を入れていたが、裏目に出ることも少なくなかった印象。ただ、タバコペナルティが引き金となったリレー以降の展開にはまだ希望が持てた。ちなみに、ジャンポケ太田がエルフはるに行った人間体重計がBPOに引っかかるという前途多難を暗示するスタート。

#2 2023/10/30
「強運No.1決定戦」

レギュラー初回はリンカーンを踏襲した強運王決定戦。自転車水ダイブや乳首洗濯バサミなど体を張った企画だった。この回のオチは、ともしげが優勝するのが仕込みであったということ。これには賛否両論あったが、個人的には意外性があって面白かった。そして、この回で一番面白かった場面は、屋敷の700万逆バンジー人間花火。もっと言えばジョンソンの中でも1、2を争う名場面だったと思う。

#3 2023/11/6
「ともしげ400万円強奪ドッキリ
/ウソみたいなホントの話」

この回のメインはともしげドッキリ。しかし、制作側がともしげをセオリー通りのポンコツに当てはめすぎたことが完全に裏目に出ている内容となってしまっていたように感じた。最後のカジノドッキリはバランスを取るためにやったっぽい。トークコーナーは心理戦要素を入れたかったんだろうな。上手いこと行ってなかったけど。

#4 2023/11/13
「芝の実家に泊まりに行こう!」

この回はモグライダー芝の実家がある愛媛県でロケ企画。8人のほのぼの旅ロケは仲の良さこそ見られたものの、お笑い要素は少なくガッカリした。訪れた射的屋でリリーが山内を狙い撃ちしたシーンが印象的。

#5 2023/11/20
「芝の実家に泊まりに行こう!完結編/芸人大運動会 未公開集」

この回は、芝実家企画完結編。ラストに翌日ラヴィットのある見取り図が12時間かけてアルファードで帰らされるどんでん返しがあった。強運No1決定戦・ともしげカジノ回を含め、オオカミ少年よりもオオカミ少年的なオチを用意しており、そういう方向性の番組にしたいのかなと思っていたほど。大運動会未公開は特に印象的な場面なし。

#6 2023/11/27
「俺のベストキス発表会」

伝説のベストキス回。放送前から不安視されていた企画だが、個人的にはあまりにも無策だったと思う。これまでの放送ではどんでん返しオチを用意していたのに、それがなければお笑いにならなそうなこの回は無し。発表順的にも嶋佐がおふざけに走ったのがきっかけにならず、その後もただただ真面目なベストキス発表に終始したことも残念。さらに、ベストキスをする様を裏笑いするような企画でもなかったから、本当にこの企画で笑うポイントがよく分からなかった。この放送で一番面白かったのは世帯視聴率1.9%を記録したことかもしれない。(これが後々ジョンソンの首を絞めることになるけど)

#7 2023/12/4
「男前カルテット3番勝負/確定演出サミット」

地味にベストキスの陰に隠れてひどかった回。濱家のハゲバレぐらいしか印象的な場面はなかった。加えて、(芝実家ロケも当てはまるかも)ベストキスからの流れで、レギュラー4組が好きなワーキャーファン狙いの番組に見えたのも痛手。朝までそれ正解!の後継コーナーである確定演出サミットは、議題が芸人寄りすぎて視聴者の共感が得られにくいのが良くなかった。

#8 2023/12/11
「メンバー8人考案企画リレー」

2023年最後の放送は、レギュラー考案企画リレー。芝考案のお笑い鬼ごっこは企画として成立出来そうではあった。濱家が連れてきたクロスバー直撃渡邊センスの口シャンパンがこの回のMVP。

#9 2024/1/22
「100万円争奪!課金ゴルフ」

元々は2024年元日の深夜枠で放送される予定だったが、能登半島地震の影響で放送延期。このため、前回の放送から1ヶ月半(6週)ぶりの放送となった。課金アイテムを使って有利に戦うという企画設定自体は面白いしワクワクしたが、中身をしっかり詰めてそのハードルを越えたかと言われると微妙。後述する放送回で発掘した空手JSを、本来の趣旨と異なる使い方で遊んだ場面が面白かった印象。

#10 2024/1/29
「深夜特別企画!罰ゲームアップデート委員会/確定演出サミット」

元日放送予定だったが、延期となった放送回。今後のジョンソンで使えそうな新たな罰ゲームを考案する企画だったが、深夜の放送でこのレベルの攻め方しか出来ないのか…とガッカリした。屋敷のおっさん罰ゲームに至ってはオンエア出来ないレベルなのもダメだろと。

#11 2024/2/5
「タイムアタックレストラン」

ゴールデン番組らしいグルメ要素を取り入れた回。これまでの放送回の中で一番ゴールデンに媚びたと言える企画という印象。また、レギュラー陣がプレイヤーで進行が山添だったが、山添ってニューヨークの直属先輩だから見づらさを少し感じた。

#12 2024/2/12
「Wikipedia陣取り合戦」

#13 2024/2/19
「Wikipedia陣取り合戦 完結編」

2週跨ぎで放送された企画。Wikipediaの閲覧数が多い有名人に会ったチームが勝ちという企画設定が面白い。更に、千鳥ノブ、霜降り粗品、M-1王者なりたての令和ロマンと引きのある出演者を呼べたのもインパクト大。個人的には、チョコプラ・三四郎・さらば(森田)・ハライチ(岩井)など、ジョンソンレギュラー以外の6.5世代芸人がたくさん出演したのが激アツだった一方で、個人ページのないコンビの片方(たしかトム・ブラウン布川)だけしかいないのにコンビの閲覧数がカウントされるのはルールの詰めが甘いのでは?とも思った。(せっかく来たのにゼロの方が芸人としておいしいと思う)

#14 2024/2/26
「豪邸トレジャーハンター」

年明け以降チーム戦の対決方式で鉱脈を見つけかけたジョンソン。この回は豪邸にあるお宝を探し出す企画だったが、結果としては大失敗。その原因として真っ先に思いつくのは豪邸の家主が逮捕されて見逃し配信が停止されたことだが、それ以外にも、陣取り企画で上向きの状態に水を差す50分短縮放送(その影響でラストが駆け足すぎた)やこの企画だけなぜか濱家進行だったチグハグな点も含め、ジョンソンの寿命を縮めてしまった回と言えるだろう。

そして、この回をもって総合演出が交代。

#15 2024/3/11
「タイムアタックレストラン/新しい言葉を作ろう!」

総合演出交代1発目の放送だったが、また50分短縮放送。後半の新しい言葉を作ろう!では、写真でマウントを取るという意味の写ウントが話題に。この写ウントをきっかけにジョンソンが一枚岩になったように感じたが…

#16 2024/3/18
「青春を取り戻せ!ジョンソン修学旅行」

#17 2024/3/25
「青春を取り戻せ!ジョンソン修学旅行 夜の部」

2週跨ぎで、ジョンソン修学旅行と題し嶋佐の地元である山梨県を訪れた。印象的だったのは嶋佐の母校で生徒の前にサプライズ登場した際、新しいカギの学校企画と比べて歓声が少なかったシーン。後はともしげVS嶋佐の相撲とか。ジョンソンって相撲好きよな。

#18 2024/4/6
「見取り図の宣材写真を撮りたい/確定演出サミット」

深夜特別編としての放送。見取り図宣材写真企画がゴールデン不適合のため、深夜に回された回。

#19 2024/4/15
「抜き打ち!春の健康診断」

3週ぶりの放送は健康診断企画。ただ、健康診断×お笑いは内さまやさらばYoutubeという成功例が既に存在しており、それを超えたかと言われると違う。ただ、可もなく不可もなくみたいな回。

#20 2024/4/22
「富士山はどっちのものだ!? 静岡VS山梨 巨大綱引き合戦」
※2時間SP

初回以来の2時間となった春の2時間SP。富士山を巡って、山梨チーム(ニューヨーク・モグライダー)と静岡チーム(かまいたち・見取り図)に分かれ、町の人を集めて綱引き合戦などを行う企画を2時間に渡って放送。嶋佐の出身くらいしかフックがなく、SPにしては理由づけは薄いと感じたが、カギの学生のように、地元の人を巻き込んで対決するという方向性ならば生き残れるかもしれないと思った。しかし、初回以来の帯番組ジャックで宣伝したにもかかわらず、視聴率は2%台と低迷。ここで堪忍袋の緒が切れたと思われる結果に。

#21 2024/5/20
「エクストリームスポーツマンNo.1決定戦」
※2時間SP

この回はSTARTO ENTERTAINMENT所属のアイドル軍団と、スポーツマンNo1決定戦の競技をアレンジした競技で対決。ゲスト効果でXのトレンドに入るなど、話題にはなったが、軽トラを鼻フックで引っ張る競技が大批判を浴びた。内容としてもそれほどの面白さはなかった印象。ラストに山内が「ジョンソンは安泰です!」と叫んだのが一番面白かったかも。

ここから9週連続で放送無し。この間には9月での番組終了報道が出た。

#22 2024/7/29
「ジョンソン・イン・ザ・ワールド」
※2時間SP

#23 2024/8/5
「ジョンソン・イン・ザ・ワールド/豪邸トレジャーハンター」
※2時間SP

9週間の放送休止から明けたと思えば、まさかの2週連続2時間SP。パリ五輪期間真っただ中で視聴率が望めないこともあってこういうスケジュールになったと思われる。このSPのメイン企画は、メンバーが世界各地でバズリ動画を撮影し、動画の再生回数に応じて賞金を獲得出来るという企画。芝のワイプツッコミが冴えている割にビッグスモールン動画が死ぬほどおもんなかったのが面白かった。各々の再生数が個人やコンビの人気を如実に表していたと感じた。また、2週目の終盤にはやらかし企画でお馴染みの豪邸トレジャーハンターを放送。

#24 2024/9/9
「豪邸トレジャーハンター」
※2時間SP

直前に9月をもってレギュラー放送終了が正式発表。その状況で豪邸訪問2本立てというのは正直がっかり。1軒目は豪邸トレジャーハンターとして内容を試行錯誤していたようには感じられたが、2軒目はレギュラーメンバー及びジョンソン自体が社長に媚びるだけに終止していたのがもう末期中の末期。更に、訪れた豪邸がオドハラと被ってたのマジでさぁ…屋敷が最後に発した「下品な有吉の壁」という言葉が全てなのではないだろうか。
個人的には、ヨイショ役兼MCはレギュラーメンバー全員よりも先輩の吉村ではなく、逆に後輩芸人を置いた方が(例:リンカーンのおぎやはぎ)立場を生かした笑いもとれるし良かったのでは?と思わされた。

ジョンソン失敗の原因

TBSが社運をかけたのにも関わらず、視聴率低迷などの理由で僅か1年で終了となった最大の理由は、

ダウンタウンとリンカーン
のハードル

これに尽きると思う。ジョンソン開始報道、初回の運動会直後、ジョンソン終了報道時のいずれにも存在したダウンタウンやリンカーンと比べる勢の存在に、ジョンソンは苦しみ続けた。
まず、ダウンタウンのハードルは、ダウンタウンが還暦を迎えても尚、芸人界の天下に君臨していることや、松本の性加害問題を発端に可視化された松本擁護過激派がいることが発生の原因と思われる。こっちに関してはどうしようもないのでこれ以上は言及しない。
ただ、個人的に越えるべきだったハードルは、レギュラー陣のハードルだと考える。終了報道直後、現場は当初さらばをレギュラーにしたいと考えていたというニュースが出た。ちなみに、さらばの代わりがモグライダーだったらしい。個人的に、リンカーンレギュラー陣のハードルは、レギュラー陣のメンツが豪華という面も含まれるが、一番重要なのはさまぁ~ず・キャイ~ンとダウンタウンの共演というリンカーンでしか見られない独自性のある座組である。
では、かまいたち・モグライダー・見取り図・ニューヨークという座組が、ジョンソンでしか見られないものだったか?と言われると、答えはNO。さらに、モグライダーOUTさらばINなら尚更。(どの組み合わせも関係性が強い)かまいたち軸と仮定する場合、見取り図ニューヨークを2組両方起用した時点で、独自性はもう存在しなくなる。ジョンソンの座組でこの独自性をモグライダーが全て背負うには荷が重かった。ジョンソン開始前のnoteでも述べたように、6.5世代芸人としては及第点のメンツを揃えたのだが、化学反応という面においてリンカーンを大きく下回ったのが失敗の原因と言える。

しかし、ジョンソン開始前に書いた「ジョンソンを考える」というnote内でも述べたように、ジョンソン側の選考が下手というよりも、6.5世代芸人4組かつかまいたちトップで考えると、そもそも選択肢がそんなになかった。しかも、ウエストランド・ランジャタイはそれぞれ片方が不祥事を起こしてしまっているのを踏まえても、ジョンソンはどう転んでも厳しい未来だったように思う。
ただ、ジョンソンという番組で褒められるべき唯一の要因は、6.5世代芸人をメインにしたお笑い番組を作ってくれた点だろう。第5世代及びミレニアム世代と第7世代の狭間で立場のない世代だったこの世代の芸人をメインに据える行為は相当な賭けだったはず。自己破産レベルの大損をこく結果にはなってしまったが、意気込みだけは素晴らしいと感じた。
加えて、ジョンソンを見ていてずっと思っていたことなのだが、かまいたちが軸なのか、それとも4組8人が横並びなのかどっち付かずな印象があった。もしも4組8人横並びならば、かまいたちよりも先輩の6.5世代芸人を起用することも可能だったし、もっと化学反応が発生する座組を作ることが出来たのではないか。逆にかまいたちがトップと考えているのなら、もっとかまいたちと心中する覚悟が欲しかった。更に、多分メインキャストであろうかまいたち単体についても、ジョンソンでしか見られないかまいたちを引き出せていたのかと言われると、決して良い評価は出来ない点からも、ジョンソンという番組は化学反応が足りなかったと言えるだろう。

また、かまいたちをトップにすることがジョンソンの絶対条件に感じるため、実現可能性は無いに等しかったであろうが、もしもリンカーンの座組に近づけることを重心するならば、かまいたちのポジションを千鳥にすると良かったのでは?とは思う。そうすれば、そんなに絡みはないモグライダー(相席-1グランプリぐらい?)、大阪吉本だが世代が異なる見取り図との絡みはジョンソンならではのものになっただろう。一方、ニューヨークは華大千鳥でも見たことあるし、芸歴的にももうちょい上の芸人を起用できただろうからここはチェンジかなと。しかし、ハライチ・三四郎はレギュラー共演経験があるから吉本以外となると候補がいない。絡みがないのはオードリーだが、オードリーを入れる場合はオドハラのような2組横並びの番組にした方が引きがある。吉本で考えるならば、現実的ではないがシソンヌなら化学反応が発生しそう。(じろうがそういうタイプの番組に出るイメージは全くないが)しかし、かまいたち→千鳥、ニューヨーク→シソンヌに変更しただけでは焼け石に水。結局はレギュラーメンバーが生きる企画を産み出すことが重要である。

次は、リンカーンという番組自体のハードルについて。レギュラー陣のハードルに比べ、リンカーンという番組自体のハードルは高くない。リンカーンは、「4番だらけを集めて上手くいかなかった番組」と例えられることが多いが、個人的には「長打力のある選手(実質的には4番タイプ)を集めてホームランでしか点を取る気のない番組」という例えになる。良くも悪くも大味で、当たり外れの大きい番組、それがリンカーンだったように思っている。
その上で、ジョンソンが失敗した理由の大きなウェイトを占めるのは、制作陣がリンカーンとはどういう番組かという解像度が低かったことが原因だろう。ジョンソンの企画内容を見るに、馬鹿馬鹿しさに振り切った「芸人の芸人による芸人のための番組」を目指しているようには見えなかった。結局、このメンバーでゴールデン番組をやるのは弱いから、リンカーンの後継番組という箔をつけるためにリンカーンの看板を利用したかっただけなのでは?と邪推したくなる。更に言うと、大運動会というキラーコンテンツをダウンタウン無しでもやりたいと思ったTBSが、後継番組を作ることで大運動会をやる大義名分を得るためにジョンソンを始めたのでは?とも邪推したくなる。
最後に、これに関しては個人的なエゴだが、そもそもリンカーンはドリームマッチ05をきっかけとしてレギュラー放送がスタートした番組であるため、ジョンソンメンバーでドリームマッチ的なシャッフルコンビネタを見てみたい気持ちはずっとあった。ここまでの傷を負ったので特番はない可能性が高いし、あるとしても最低限の視聴率が計算できる運動会企画だけだと思うが、いつかジョンソンメンバー+6.5世代の人気芸人でドリームマッチ的企画の特番をやって欲しい。

もちろん、他にも失敗の原因は様々あるが、それに関しては後継noteである「オドオド×ハラハラが終わる後に」で述べていこうと思う。

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