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糸電話。

2023年元旦から24時間勤務。
勤務→明け→勤務→明け→勤務の繰り返し。
2日の朝、帰ってきたら妻がお雑煮を作ってくれていた。
僕の父親の生まれは九州だからか知らないが関西風の白味噌ではなく、醤油と昆布ベースの出汁となっている。
白菜と鶏肉とお餅のシンプル。
だが、これが美味しい。
そういえば、お父さんは正月以外でもお母さんにお雑煮を作らせていた。
いえば、お味噌汁感覚だった。

勤務明けだから僕は寝ていた。
その間に妻は実家に帰っていた。
妻の実家には、もう10年以上行っていない。
向こうも何も言わないし、行こうとも思わない。
行ったって、窮屈な気持ちになるだけだ。
子供がいたらそうもいかなかったんだろうけど。

妻は何も言わない。
無理に会わせて自身も嫌な思いをするのがわかってるのだろう。
同居する話があっても妻は断固として断った。
わかっていたからだ。

僕が色んな職種を変えても妻は何も言わなかった。
我慢してくれた。
妻の実家から僕の事を言われていようがだ。

僕がその間に身につけたスキルは『コミニケーション』だ。
だが実家や離れた身内とのコミニケーションは、時にはツラく重苦しくなる。
ならば無理に合わせなくて良い。

狭い田舎だ。
たまには運転中に会う事もある。
会釈をする。
それで良い。
冷たいようだけど、それで良いんだ。

僕の実家にも随分と帰っていない。
もう合わせる事に疲れているからだ。
兄や姉の家族に合わせるのがツラい。

自分勝手な人間だけど良いんだ。
僕は今の生活で満足してるんだから。
だって僕の人生だから。

孤独とも思っていない。
むしろ自由だ。
寂しい想いなんてない。
それは距離感を保っている妻がいるからだ。

妻は今日から仕事である。
僕も仕事。
時間差で同じ玄関から別々に出て行く。
明日、僕が24時間勤務から帰ってきたら、妻はまた仕事に行っている。
僕は自分の時間を大事にする。
僕が勤務中は、妻が自宅で一人の時間を過ごしている。
たまに顔を合わせば「大丈夫?」と声を合わせる。
それで良いんだ。

籍は入れてる、同居はしてる。
だが、付かず離れずの関係。
距離感を大事にしている。
自立した者同士。
それもまた『夫婦』の形の一つである。
好きなのには変わらないんだから。

僕達は細くても繋がっているんだろう。
「聞こえる?」
「聞こえるよ」

そうだ、もうすぐ妻の誕生日だ。
一緒にケーキを食べよう。
二人だけの時間だから。

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