【散文詩】FANG FANG FANG
はぐれないように強く握ったふたり
噛み切りたいのにちぎれない
なんども聴いた「夏祭り」
どっちがいいかはゆずったけど
須らくオリジナルを尊重派
耳元で歌っても太鼓に溶けたソフトクリーム
早めに抜け出した丘の上
体育座りで顔をうずめる
コーンをパリパリ食む食む食む
寂しそうなのは誰を反芻してるの
詰まらなさそうなのは隣にいるのがぼくだから
軟骨のような否定文に苛つくぼくは
優しさと無慈悲の混交を反復していたから
ひとりねこの額を指先で撫でる
冗談を弁えないふたりの
自律神経がピタッと停止して
手を取り合い強引に駆け出した