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《都市×アート×テクノロジー》の括りでやってきたこと。

 都市をアーティストやクリエーターの表現の場にする仕事をしています。これまでに「teamLab Borderless」「Media Ambition Tokyo」などの企画・プロデュースをしてきました。

 この20年間はデジタルでの表現がリアル空間へと解放された歴史でした。PC画面の中に閉じこもっていたデジタルでの創作活動はモニターの外に飛び出し、それまでの平面的なモノから、リアル空間を使った立体的でインタラクティブな表現や、空間全体を使った体験をつくり出すといったことまで拡大してました。この変化によってアーティストはリアルの空間を手に入れないと新しい表現の作品づくりさえできない状況になりました。言い換えると、リアルの場所を持ち得たアーティストのみが、新しい作品(体験価値のあるアート)を生み出すことができるということになります。つまり、表現の自由度が高まる一方で、作品づくりハードルが上がってしまったんです。

 私自身も学生のころに体験型メディアートを作り、街をつかって発表しようと思った時に、その苦労を経験しました。その時に「これからは街がアーティストやクリエーターの表現の場所になる。しかし街を使うためには関係者から理解をもらい多くの制限をクリアーしないといけない。だったら自分が街を管理する側に入ることによってアーティストの表現を助けたい。」と思い立ち、アーティストの道を諦め森ビルに就職しました。その頃、森ビルは六本木ヒルズをつくっているところでした。

 それから10数年経ち、かつてのアーティスト仲間であるチームラボ、ライゾマティク等と一緒に「teamLab Borderless」や六本木ヒルズでの「Media Ambition Tokyo」を企画しました。私はまちの運営側として、表現者をサポートする役割です。20年前に思い描いていたことが実現となり、都市とアートとテクノロジーの可能性を確信した瞬間でした。

 これからの世界はリアルとデジタルが重なることが当たり前になってきます。ARのアート作品が街に溢れ、離れた場所からもVRによって参加できるようになります。また、マルチレイヤード・リアリティにより、リアルとデジタルがお互いに干渉する世界に突入します。アートを表現する手法も多様になり、それを受け入れる場(=リアルやデジタルの街)も対応していく必要があります。本当の意味で、生活空間のあらゆるシーンがアーティストのキャンバスになる時代が到来しつつあります。こうした時代の変化の変わり目にいることを楽しみつつ、次の時代のアートについて妄想をし続け、これからも《都市×アート×テクノロジー》の可能性を追い求めていきたいと思っています。


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https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/202402/202402b.pdf


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