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クリエイターにとって全てのアイデアは悪臭を放つゴミで作品だけが原石になる

どんな人生を生きたいかと言われたら、創りつづける人生がいいなって思っています。すごく裕福でもなく、売れっ子なわけでもないですが、創ること専業でほそぼそ暮らしていけているのはありがたいなって思います。

最近は毎日のように、悔しい悔しいとつぶやきつづけているんですが、それでも創作でいきつづけるために、改めて自分がやるべきことをメモしておこうと思います。

アイデアは基本的にゴミ

現在、自分は1日3つはその日の気づきやアートの企画、物語のアイデアなんかをメモし続けています。企画段階まで考えることもあれば「言語はその性質から、他者に伝えようとする力が内包されている」みたいな、今後、作品をつくる上で参考になりそうな気づきをメモすることもあります。

コロナが猛威を振るい始める2020年までは、他に毎月、平均2本くらい英語でアートの企画書を書いて海外のレジデンスに応募しつづけていました。これはアートの企画を考えるだけでなく、どんな作品をどうやってつくる予定なのか、コンセプトを英語でまとめる訓練にもなっていて、海外でディレクターと相談する時に役に立ちます。(自分は英語が得意なわけではないので、ものすごく簡単な短文を並べてやりたいことを分かってもらうみたいな手法を取っていますが、そういうやり方を身に着けられたのも、この企画制作のおかげです)

展覧会の機会をいただくたびに、これまでの自分のステートメントから進めた作品をつくって出そうとしていますし、既存のシリーズも一歩進めて出すようにしています。

その中で、膨大なアイデアが生まれるし、何事も起こらずに消えていったものもたくさんあります。

実感として思うのは「創作のアイデアは基本的にゴミ。ほっとくと悪臭を放つ」です。というのも、アイデア段階のものって、なんか素敵に感じてしまうんですね。こんなアイデアを思い付いた、自分は天才なのかもしれない!みたいな。

でも、実際に作品として創り上げてみると「あ、ぜんぜんダメ・・・」みたいなことがけっこうあって。頭の中に収納されているアイデアは、妄想バイアスがかかってキラキラして見えてしまう分、とても危険だなと感じます。

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なんかで読んだのですが、村上隆さんがカイカイキキで若手を育てる時は、確か「毎日1つ、完成品」をつくらせていたと思うんですね。作品として自分が完成と思えるものを毎日です。これ、ほんとにすごく鍛えられるなぁって思うんですが、アイデアを出すのは膨大にできても、完成させるってけっこう大変なんですね。

クリエイターとして地力がつくのはやはり「完成した作品」をつくることだと私も思っていて、アイデアを出してラフをつくるくらいのところまででは、力がつかないんじゃないかと思っています。(ラフまでが仕事の場合は力になるはず)

それどころか、アイデアを持っているだけだと、そのアイデアが最高に思えてしまい、自分のことを世にまだ知られていない天才みたいに思ってしまいそうになります。(自分だけか)

なので、私はアイデアは常に死ぬほど出して、そもそも覚えていられないくらいにしておきます。もっといいアイデアが必ず思いつくと自分を信じて、バンバン捨てるようにしている感じです。

捨てることと我慢することが大事

作品をたくさん完成させることと、アイデアを捨て慣れるようになってきて、ようやく創作物としては質が上がってくるのかなと思っています。

創作物はおもしろくなくては何も起こらないです。そこは本当に平等な気がしています。おもしろいのに見つかってないものもたくさんあると思いますが、おもしろくないのに売れ続けてて人気があるものってたぶんないと思うんですね。人を惹きつけているものは、どこかに魅力があるものです。

作品をつくるというのは、自然界の成り立ちと近いなーと思うことがありますが、膨大な作品の死の上に、1つの作品が生命のように成り立っていると私は思っています。

少しでも創作し続けてきた人なら、目の前の作品の裏側に、どれだけの試行錯誤があったのかは分かると思うのです。1つの作品を活かすために、どれだけの作品(完成品)が養分となって地面を豊かにしてきたか、みたいな。

もう一つ、創作をつづけていく上で大事だなーと思うのは、おもしろい作品をつくるまで「我慢」ができるようになるということです。

私はもともとめちゃくちゃ飽きっぽい性格なので、アート作品も2時間で完成できないとイヤな人だったんですね。それ以上は飽きてしまうし、そもそもタッチが変わってしまうこともある。でもそれだと、2時間以上かかる作品がつくれないんです。つまり、2時間以上かからない浅い作品だけしか生まれないことになります。

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ただ、初めての個展の時に、ギャラリーUNAC TOKYOのオーナー海上雅臣さんが機会をくださったおかげで、8か月かけて制作したことがあったんですね。一番最初がこれだったおかげで、私は時間をかけて制作発表することに対する忍耐力がついたと思っています。今は数年かけて創るとかでも割と結果を焦らずに細々やりつづけられるようになりました。

逆に、文章のほうは相変わらず忍耐力がないままなので、重厚な長編小説がほとんど書けないんですね。30分くらいで書き上がる短編を書くのは、考える時間もほとんどいらないし、楽です。でも楽をしている分、複雑に伏線が絡み合うような作品が書けないでいます。

・思いついたアイデアに価値をおかない
・もっとできると自分を信じてダメなものは捨てていく
・複雑で時間がかかるものを創り切る忍耐力をつける

創りつづける生活が死ぬまででき、死んでからも創作物を通じて世界に貢献できたら、こんなに嬉しいことはないなって思っています。それでは。

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