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海外の美術教育事情~フィンランドの公立中学校のゆるさ

世界17カ国でアートのワークショップをやってます。海外の活動先は現地に行ってからメールで交渉してる感じなのですが、だいたいインターナショナルスクール、アートスクール、現地の人と友達になってできそうなところをどこでも紹介してもらう、みたいな感じで場所探ししています。

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現地の人からしてみると、謎の日本人が画材も全部もってきてワークショップしてくれ、折り紙をただで配って作り方を教えてくれて漢字とかも書いてくれるので、だいたいどこでもすぐにOKしてもらえます。

実を言うと、一番実施が難しいのは日本の公立学校(大都市)なんですね。

以前、台東区の小学校でワークショップをさせていただいた時には、調整に約半年くらいかかりました。海外滞在の場合は一か所に半年いることはほとんどないので、このくらい時間がかかってしまうと実施が難しいです。

ワークショップはだいたい美術の時間として実施させていただく感じですが、日本の場合は、カリキュラムがかなりしっかり決まっているため、私がワークショップをさせてもらう時間の分、ほかで学ぶべきだった項目を学ばないといけなくなるので飛び入りが難しいという事情があります。

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私は美術の時間として2時間いただきましたが、ワークショップの前に墨田区の重度障がいの子どもたちの施設の施設長さんに頼んできてもらい、子どもたちに重度障がいについて話してもらいました。(子どもたちの写真を見せながら、こういう状態なんだけどみんな普通なんだよっていう話をしてくれました)

公立の学校を説得するのは難しい、と思っていましたが、大分県の中津市でさせてもらった時には割と突発的に活動させていただきました。少子化から体育の先生が美術の授業も受け持っていて、美術の授業としてやらせていただけてとても楽しかったです。

(ニューヨークで開催された現代アートのフェアから、これが芸術???と思ってしまいそうなアート作品の写真を選抜して持参して、生徒さんたちに見てもらいました)

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アメリカやデンマークではインターナショナルスクール(私立中学)で開催させていただきましたが、割と自由にやらせていただいた感じです。私立の場合はこういうイベントがあると学校の売りにもなるので、交渉しやすい印象です。(すでに世界各国での活動実績があるので、ホームページと写真を見せると納得してもらいやすい)

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とても興味深かったのは、フィンランドなんですね。ちょっと田舎のほうの公立中学校だったのですが、何回きてもいいよ!と言ってもらえまして。

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日本だとカリキュラムの関係もあってワークショップを何度もやるのが難しいんですが、そういうのはないんですか?と美術の先生に聞いたところ、フィンランドでは、基本的にはこれをやりましょう、というカリキュラムはあるけれど、それに必ずしも沿うかどうかは、美術の先生の裁量に任されているんだそうです。

なので、もしもワークショップをやりたければ好きにやっていいとのことでした。

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あともう一つ、興味深かったのは、フィンランドの学校の一部のクラスでは「子供が暴れた時に押さえる役割の先生」が1人いたこと。

私が中学生だった時も、そこそこ学校が荒れて学級崩壊みたいになってた時期があったんですが、専任の先生が常駐してるっていうのはすごいなぁ思いました。

実際の授業では、1人の男の子が授業の最初からずっとイライラしながらペンを投げ続けていたんですが、折り紙を折る段になったら、とてもハマったようで、一人で折れるようになろうと必死に練習しまくってくれました。

数時間ですが、いろんな国でワークショップする機会があるので、日本に興味を持ってもらったり、他の国の考え方とかを知ってもらったりできるといいなと思いつつ、今のところ試行錯誤中です。

人生で1回だけ、数時間の出会いですが、少しでも出会った人たちの糧になるといいなと思ってます。

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