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微妙な日本語


 Tv番組で出演者の言葉遣いに「~させて頂く」を使い過ぎと揶揄されたり随分前から定期的に話題になっていました。「頂く」は謙譲語なんですが、丁寧語と混同している人が多いような気が致します。謙譲語は使い所が難しく、誤用してしまうパターンもかなり多い。相手との関係性に応じて複雑に変化します。従来の日本的な意味合いでの謙譲語「頂く」を使う場はそれほど多くない。もっとカジュアルに「頂く」を使っているのでしょうか。


 五輪前の特番でも現役アスリートに取材する同じ競技の先輩OBOGたちが「○○選手に取材させて頂きました」と語る姿は違和感が・・・。先輩が後輩に謙譲語を使うというのは、やや不可解。自分を下げて相手を上げるというテクニックは、かなり高度な知識も必要です。とりあえず頂くを使っておけば無難という事はありません。スポーツの世界なんて、縦の関係特に厳しいのに。


 そこまで先輩アスリートの皆さんもへりくだらなくてもと思います。でも見方を変えれば、視聴者サイドから苦情が来ないように取材者側にも相当気を遣っているという事でしょうか。昨今上から目線が嫌われる風潮にありますし・・・。そうなってくると謙譲語を使って上げている対象は後輩アスリートではなくて、世間一般の人という事になるのでしょうか。


 なにやら本末転倒な現象が起こっています。TVに出演して普通に後輩の取材をするだけでも、色んな方面にお伺いを立てなくちゃいけないのね。snsなどであれこれ言われる事を少し気にし過ぎでは。もっと取材したその人の口からその人にしか紡げない生きた言葉を聞いてみたいなぁなんて考えてしまいます。多少とちろうが、上手くいかなくてもその人らしい取材を見てみたいです。


追記 特定の人の事を言っている訳では無くて、割と最近「頂く」を頻繁に聞きます。頂くという言葉は本来の用法から離れて、使い勝手の良い言葉になるかそれとも元の使い方に戻るか気になります。もはや新しい日本語として受け入れていく事も頭の片隅にいれて、今日はこの記事を書きました。

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