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実直で正しさにこだわる完璧主義な人「強迫性人格」

生真面目で誠実だけど、融通が効かないという人がいます。
責任感が強く、信頼できる人として重要な仕事も任されるのですが、行き過ぎると”困ったさん”として周囲をクタクタにさせます。
このタイプは、強迫性パーソナリティ(強迫P)に分類されますが、特性を理解し、偏りを輝きに変える方法はないのでしょうか。
探ってみたいと思います。

妥協できない、融通が効かない

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強迫性Pの偏りが強いと、責任感の強さゆえに信頼され、同時に、大変疎まれる存在になります。
決まった自分なりの流儀や秩序にこだわり、一切の妥協ができないので、周囲が気を使って歩み寄ることで、なんとか関係を維持しているといえます。
どんな特徴があるかを整理してみますね。

自分にも他人にも厳しい

自分にも他人にも厳しいのがこのタイプ。
「厳しい」と表現すると、生ぬるさの対極にあるので、肯定的な意味合いも帯びてきますが、実はこの問題は、周囲の状況はどうであれ、自分の欲求を押し通そうとするところにあります。
つまり、自分以外の価値観を受け付けないという、考え方の几帳面さやこだわりの強さが、時に問題を引き起こすのです。

理屈っぽく頑固

そして、自分の考えを押し通そうとする時に、方程式のような理屈を用いるのも特徴。
絶対的な「正しさ」を理屈で主張してくるので、結果的に周りが折れるしかなく、そうやって成功体験を積む事で頑固さが増していくのです。

「努力最重視」という几帳面さ

自分が努力家な分、他人にも相当な努力を求め、小さな不備も「努力が足りない」と厳しく責め立てる傾向を持ちます。
この思考の几帳面さに歯止めがかからないことが、周りを困らせる共通した要因となるのです。

過剰な責任感や義務感

思考の几帳面さは、責任感の強さと親和性が高く、仕事において強い信頼に繋がりますが、相手にも徹底した責任や義務を厳しく求める傾向を持ちます。
「〜すべき」という義務感から行動するのが基本姿勢で、会話もべき論が多くみられるのが特徴。

周囲に気を緩めさせない堅苦しさ

一度決めた計画やルールは、徹底して実行にこだわります。
そして、礼儀、義理、筋を通すことにもこだわるため、周りは気を緩めることはなく、常に堅苦しさを感じます。

全体より細部が気になる

強迫性Pの陥りやすい罠が、細かいことにこだわり過ぎて、完璧にしようとするあまり、全体を忘れてしまうことにあるといいます。
バランスよく、要領よく、というのが大の苦手で、素晴らしい理想を持っていても、かけ離れた現実とは合わないということがよく起こります。
「理想はそうだけど現実は違う」という声に対しても「努力が足りないからだ」という結論になり、周囲と軋轢が絶えないというパターンに陥るのです。

人に上手に頼れない

義務感が強過ぎるあまり、ひとりで背負い込み、人を頼らず、過度に無理をしてしまうこともしばしば。
うつ病や心身症が多いのもこのタイプだといわれています。

いつも周囲は窒息状態になる

最初は気をつけていても、いつの間にか自分流儀を絶対視するようになり、やがてあそびのない張り詰めた空気に、周りは窒息状態に陥るというパターンが形成されていきます。

いかがでしょう。
なんとなく全体像が掴めてきたかと思います。
では、なぜここまで行き過ぎた堅苦しさを持つようになってしまうのでしょうか。
その理由は、育つ環境が大きいようです。

折り目正しい厳しい親の存在

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遺伝的な気質があるものの、やはり養育の影響は大きいといわれています。
道徳的で倫理感の強い、折り目正しい親に厳しく育てられており、そのため、子どもの頃から言いつけをよく守る「いい子」として育っている事が多いのです。

思考の几帳面さの向かう方向を変える

ところが、生真面目で融通の効かない強迫性Pですが、偏りが修正され魅力を発揮するようになると、誰もが信頼を寄せる存在となります。
正義感が強く仕事は正確。
それでいて寛大で、柔軟性に富む人物ですから、周囲の尊敬を集め、包容力溢れる貴重な存在となります。
どうすれば、偏りを生かすことができるのでしょう。
本人の気づきが最も重要ですが、周りの理解も必要です。
そのポイントをまとめてみました。

のめり込むのを切り替える

いったんスイッチが入ると、一つのことをやり続ける傾向が人一倍強く、疲れ果てるまでやり続けてしまうので、切り替えのトレーニングが必要です。
散歩やジョギング、ショッピングや絵画鑑賞など、仕事や生活から離れた体験を持つ事で、切り替えがしやすくなります。
また、余暇活動にのめり込む傾向もあるので、ほどほどの練習を積むことが目的だということを忘れないことです。

固定観念から自由になる

強迫Pを克服するためには、自分を縛っている固定観念から自由になる必要があります。
こだわって信じていることも、実はそれほど重要ではないことに気づけたら、相当楽になるはずです。
自分なんてちっぽけで、大した人間でもない。
やれることもたかが知れている。
ひとりで頑張ろうとせず、みんなの力を借りればいい。
助けてもらうんだから謙虚でいよう。
たくさん感謝を伝えよう。
と思えたら、相当楽になるはず。

人は自分にとって楽な思考を選択するものです。
正しさを追求しているつもりでも、実は「正しさ」という仮面を被ったエゴかも知れないのです。
周囲の人は、さり気なくそのことを助言していく。
時間はかかりますが、少しずつ受け入れてくれるようになるかも知れません。

人の協力を仰ぐ

全て自分の思うとおりに事を運びたいという強い欲求を抑え、人に委ねる事をあえてする、助けて欲しいと素直に頼る事をあえてしてみるのです。
このタイプは、それはとても苦しく、相当な勇気を必要としますでの、多くはいろんな理由をつけて徹底して避けるはずです。
でも、律儀な人が、委ねる、頼る、頭を垂れる、ということに、自分のこだわりを向けられたら、周囲の評価は一変することでしょう。
難しいでしょうが、そのことを助言できるといいですね。
厳しい修行をされるお坊さんの中に、時々手本となる方がいるなと思いますので、参考になるかもしれません。

自分の基準を押し付けない

白黒はっきり、きっちりかっちり、という思考の几帳面さがいき過ぎてしまうわけですから、自分が思う以上に、相当のことを押し付けているんだろうなと思って丁度いいです。
これも本人に気づいてもらうしかありませんが。

こだわりを尊重する

関係をスムーズにするためには、こだわりを尊重し、正面からぶつからないよう気をつけることです。
否定したり、無理強いすると、このタイプは不信・怒り・不安に襲われ、意地でも受け入れなくなります。
腫れ物に触るような感じになる危険も伴いますが、こだわりに敬意を払いながら、横に並んで、知恵を貸すように関わることです。

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いかがだったでしょう。
どのタイプも、ほどほどであれば
才能として輝きを放つようになります。
ところが、行き過ぎると害を生む。
その境目は一体なんでしょう。

一言で表現すれば「幼さ」にあります。
才能を生かすためには、肥大した幼さを
手放すしかありません。
ところが、幼さを許す人が傍にいれば
変わらず幼いままでいられる。
でも、その結果、困った事態はくり返されるので、その人のためにはならないのです。

困ったさんとの関係に苦しんでいるという人は、自分の成熟が問われているんだなと思って、これまでのパーソナリティのパターンを参考に、関わり方を変えてみてください。

関係性の悪化は、どちらか一方の問題ではありません。
関係性とは、いつからでも変えられる、必ず変化するという、希望を秘めたものなんだとご理解いただければ嬉しいです。

鶯千恭子(おうち きょうこ)

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