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スティーブ・ジョブズ伝説のスピーチ 生声で聴きながら対訳を読むと心に刺さった!

今ぼくは1冊の本を前に、こうやってキーボードをカチャカチャと叩いています。横にはヘッドフォンを置いて。本の名前は『生声CD付き 〔対訳〕スティーブ・ジョブズ伝説のスピーチ&プレゼン』です。

ジョブズ氏が亡くなった時、スタンフォード大学でのスピーチは、伝説のスピーチとして、ニュースやYouTubeで何度も見ました。英語のできないぼくは、もちろん対訳付きで。たしか、ジョブズ氏自身の人生に基づく3つの話で、「点と点を結ぶ」、「Stay Hungry , Stay Foolish」といった言葉は今でもちゃんと記憶に残っています。

でも今回、CDの音声(ジョブズ氏の生声)と本(英語ページの右側に対訳が載っている)で、改めてそのスピーチを聴きながら読むと、これまでで一番、心に刺さりました。映像のない生声だからこそ、言霊を感じ取れたのかもわかりません。

いや、きっとそうでしょう。言霊ってやっぱり本当にあって、言語の壁を越えて、その声色で表情や仕草を想像して、脳のいろんな部分を刺激して、より心に刺さったんだと思います。

この伝説のスピーチ、もう皆さんは、ご存じでしょうけど、特にぼくが印象に残った点を中心に要約してみました。よろしければ、もう一度一緒に振り返ってみませんか。

1、点と点がやがてつながると信じよう

ジョブズ氏は大学を中退しますが、その後18ヵ月ほど、もぐりの学生として大学に居座ります。その間、中退していることを良いことに興味の持てない必須科目ではなく、もっとはるかに面白そうな科目にもぐりこんでいました。

そして、好奇心と直感に従い、掛け替えのない多くのものに出会うのです。当時は、それを人生で実際に役立たせようとはまったく思っていませんでしたが。

しかし、10年後に最初のマッキントッシュを設計しているときに、大学にもぐりこんで好奇心と直感に従い学んでいたことが、一気に脳裏に蘇ってきたのです。

もしもあの授業にもぐりこんでいなかったら、大学を中退していなかったら・・・。

もちろん、当時のジョブズ氏は、将来を見据えながら点と点を結ぶということなどできませんでした。しかし、10年経って振り返ってみると、とてもはっきり見えたのです。

ジョブス氏
「もう一度言いますが、将来を見据えながら点と点を結ぶということなど、皆さん(ここでは学生)にはできません。できるのは、振り返りながら、点と点を結ぶということだけです。ですから、皆さんは、点と点が将来何らかの形でつながると信じるしかないのです」。

そして、
ジョブス氏
「なぜなら、点と点が将来いつかはつながると信じることで、たとえそれが人並みの人生街道から外れることにつながろうとも、自分の心に従うことに自信が持てるようになるからです。そして、このことがもたらす違いは大きいのです」
と続けて一つ目の話は終わりです。

2、愛と失意の話

ジョブズ氏の才覚によりアップル社は大きく成長を遂げていきます。優秀な人材を雇い入れ更なる成長をはかりますが、皮肉なことにその優秀な人材たちにジョブズ氏はアップル社を追放されてしまうのです。

失敗者として衆目にさらされシリコンバレーから逃げ出すことも考えたといいます。しかし、ジョブズ氏はまだ自分の仕事を愛していました。それで、もう一度やり直そうと決心します。


ジョブズ氏
「そのときには分からなかったのですが、結局のところ、アップルをクビになったことは、私のこれまでの人生で最良の出来事でした」
と、まで言い切っています。

それは、
ジョブズ氏
「成功者であることの重苦しさが、もう一度駆け出し者であることの気軽さに取って代わられ、何事に対しても思い込みが薄れました。そのおかげて私は解放され、人生で最もクリエイティブな時期のひとつに入ることができたのです」
と言います。この時期は、NeXTという会社とピクサー(ご存じ、『トイ・ストーリー』の会社ですね)という会社を立ち上げ、後に妻となるローレンとも出会いました。

ジョブズ氏
「もしも私がアップルをクビになっていなかったら、これらのことは何ひとつ起こらなかっただろうと、私は強く信じています。(中略)時として人生には、れんがで頭を殴られるようなこともあります。それでも信念は失わないでください。私が前に進み続けてこれたのは、ひとえに自分の仕事が好きだったおかげだと、私は確信しています。皆さんも、自分は何が好きなものかを知る必要があります。それは恋愛においても仕事においても同じように言えることです」

多くの人にとって仕事が人生の大きな部分を占めるようになるが、真の満足を得るための唯一の方法は「素晴らしい仕事だと自分で信じることをやる」こと、そして素晴らしい仕事ができるための唯一の方法は「自分の仕事を愛する」ことだとジョブズ氏は言います。

もしもまだそれを見つけていなければ探し続けるよう、
そして、
ジョブズ氏
「あらゆる恋愛がそうであうように、それを見つけたときには自分でも分かるものです。そして、素晴らしい恋愛関係がいつもそうであるように、それも年を重ねるごとにどんどんよくなっていきます。ですから、探し続けてください。落ち着いたりしてはいけません」

3、死に関する話

ジョブズ氏は17歳の頃に感銘を受けた言葉から、毎朝鏡をのぞき込んで、こう自問してきたといいます。「もしも今日が人生最後の日だとしたら、今日やろうとしていることをやりたいと思うだろうか」と。
「その答えが『ノー』の日があまりに多く続く場合には、何かを変える必要があるのだと、必ず分かります」と。

そして、死を意識しておくことは、人生の重大な選択をする際に役立つツールとして重要だといいます。なぜなら、ほとんどすべてのこと(外部からの期待や自分のプライド、混乱や失敗に対する恐れ、といったもの)は、死に直面すると消えてなくなり、真に重要なことだけが残されるからだと。

自分も死に向かっているのだと意識することは、自分には失うものがあるという思考の落とし穴を避けるための策として、最善であり、皆さんはすでに何も身に着けていない状態なので、自分の心に従わない理由はない、と。


このスタンフォード大学でのスピーチの1年ほど前、ジョブズ氏はすい臓がんを患いました。一度は「長くても3ヵ月から6ヵ月しか生きられないと思いなさい」と医者から余命宣告まで受けます。しかし奇跡的に「非常に珍しいタイプのすい臓がんで手術で治せる」とわかり、復活を果たしました。

これがジョブズ氏にとって最も近く死に直面した経験で、こうした経験を乗り越えた今、死というものが知的概念でしかなかったころよりも少しだけ強い確信をもって皆さんに次のように申し上げることができると。

死というものは全員共通の終着点で、そうあるべきもの。なぜなら、死はほぼ間違いなく生命に関した唯一にて最高の発明だから。それは生命の変化の担い手。古いものを排除し、新しいもののために道を開く。

今ここでは、新しいものは皆さんですが、今からそう遠くない時期に、皆さんも徐々に古いものとなり、排除されることになる。
かなり劇的でお気の毒だが、これはまったくの事実です。

そして、
ジョブズ氏
皆さんの時間は限られていますから、他人の人生を生きて時間を無駄にしてはいけません。ドグマにとらわれないでください。それでは、他の人たちの思考の結果に従って生きることになります。他人の意見という雑音によって自分の内なる声がかき消されてしまわないようにしてください。そして、最も重要なことですが、自分の心と直感に従う勇気を持ってくださいあなたの心と直感は、あなたが本当は何になりたいのかを、どうしてだかすでに知っているのです。他のことはすべて二の次です」

Stay Hungry, Stay Foolish

ジョブズ氏がスピーチの最後に伝えた言葉が「Stay Hungry, Stay Foolish」です。対訳では「ハングリーであり続けろ、愚か者であり続けろ」となっています。これは、ジョブズ氏が若いころに読んだ本(雑誌)の最終号の裏表紙に書かれていた言葉で、このお別れのメッセージをみて、自分自身もそうありたいと願い続けてきたそうです。

ジョブズ氏がスピーチのなかで伝えたかった3つのこと。
それを聴いたあとに、この「Stay Hungry, Stay Foolish(ハングリーであり続けろ、愚か者であり続けろ)」と言われると、なんだが心が奮い立たずにいられません。
きっと、スピーチをきいた学生たちもそうだったと思います。

点と点がやがてつながると信じる、アップルをクビになったことも人生で最良の出来事だと思えるほど「自分の仕事を愛する」、そして、心と直感は、本当は何になりたいのか、どうしてだかすでに知っている、ということ。
その上で、「ハングリーであり続けろ、愚か者であり続けろ」と。

今やっとこのスピーチの本当の良さを理解できたように思いました。








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