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多数決デザインの罠

デザイナーでなくても、いくつかのデザインの中から一つのデザインを選択しなくてはならない機会というのは多くあると思います。

たとえば、会社のホームページやパンフレットなどを制作会社に依頼したとして、たいていの場合はデザイン案を複数提示されてくると思います。

そういった場合、陥りがちな罠として、多数決によるデザイン決定をしてしまう、というのがあります。社員や従業員にアンケートをとって、その結果をもとに票が多いものを採用する、みたいなやつです。

多数決はよく間違える

これがなぜ罠なのかというと、そのデザインを見る人・使う人と、アンケートに投票した人は、そもそもターゲットユーザーとしてずれている可能性が高いためです。

デザインは前者にむけてロジックが組み立てられ、最適化されて作られている必要がありますが、その検証としては不十分で、判断材料にならないということです。

そもそもアンケートの母数が少ない場合、統計的に意味がないというのもありますが、逆に母数が多い場合でも、ターゲットユーザーをきちんと絞り込まないと意味がありません。

デザイン決定のプロセスにおいて、特にビジュアル表現については顕著ですが、母数が増えれば増えるほど、誰にでも好まれそうな平均的な、中庸なデザインが選択されることになります。

結果、選ばれたデザインが当たり障りはないけれど、ターゲットユーザーに刺さらない悲しいプロダクトが世にだされることになります。

もちろん投票の結果は判断の材料にはなります。ですが、判断の軸として使うのは危険です。

誰のためのデザイン?

ではデザインの決定に必要な軸とは何かというと、ターゲットユーザーから導き出されるプロダクトのコンセプトです。

コンセプトというと抽象度が高いですが、デザインがどういったメッセージを伝え、誰の目に届き、誰の課題を解決するためのものなのか、そしてそのための表現として適切なのか、を判断の軸とする必要があります。

この判断には、ターゲットユーザーの理解とデザインのコンテキストの理解が必要で、この深度を多数の人に浸透させた上で意見をもらうことは往往にして困難です。

最終的にはデザインは、プロダクトのオーナーとステークホルダーの意思のもとに判断・決定されますが、常に「誰のための何なのか?」という考え方が大事です。

おわりに

ここまで、デザイン決定の材料として多数決による判断ミスがありますよ、ということを書いてきましたが、本当にダメな判断材料として

鶴の一声 <<<<<< 超えられない壁 <<<<<< 多数決 < ユーザー

というのがよく知られており、一番左のものを採用せざるを得ない場合は諦めましょう。





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