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ミニミニで賃貸契約したらちょっと残念だった話

うかうか過ごしていたら、気づけば2019年も2月が終わろうとしていました。昼間の陽の差し方が春めいてきた気がします。陳腐ながら、年齢を重ねるごとに時間は早く過ぎていくとはこのことか……と、これまた月並みなアラサーOLは身に染みて感じ入る次第です。

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春といえば移動の季節です。巷では“引っ越し難民”なる人々があふれているとワイドショーが楽しそうにやっています。今年はヤマトの引っ越し子会社が行政処分を受けてしまい、受注停止となったことから引っ越し需要の受け皿がスコーンと抜け落ちているそうです。そのうえ、レオパレス21の施工不良問題で“引っ越し難民”増加に拍車をかけたとか。いつもは買いたたき上等な引っ越し業者も、今ばかりは売り手市場になっていることでしょう。

さて、そんな私も2月某日に引っ越しをしました。前の家からたった800メートルしか離れていない土地ですが、1週間に5往復以上歩く「駅までの通勤路」がちがうだけでも遠く離れた別世界へやってきた感じがして、やはりみずみずしい気持ちで新生活を送っているのです。

新しいおうちは30平米。学生時代から住んだ20平米の1Rから、アラサーに突入して住む30平米の1DK……。このまま独身貴族道(中流道かな)を堂々闊歩するのも悪くないと思わないわけがない。毎日ログインしていたティンダーももう15日は開いていないような気がします。

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なんと家賃は1.2万円プラスでこの環境反転の恩恵は計り切れません。前のおうちも設備のわりには格安だったのですが、今回もそう断言して相違ないでしょう。この2年間、毎日スーモとにらめっこしつづけて、「あと1秒早ければ……!」と何度も好物件を逃してきたある意味において“手練れ”でしたから、今回ばかりは機を見るに敏でさっと押さえることができました。実はまだ大塚経済圏にいますが、ジプシーでバイオレンスな大塚とはお別れし、平和で牧歌的なエリアへ移ることができました。

今回のお部屋は、12月某日にスーモの新着物件を見て、「これしかない」ときて、空きを問い合わせました。その仲介会社が不動産仲介大手のひとつである某ミニミニさん。駅前の店舗に前日夜にアポを入れたら、翌日朝に「本日お待ちしております」とメールの返信がありました。

さすが大手は早いなぁ絶対獲得するぞと勇ましく向かいましたが、お店に着いて、店内に入り、名前を伝えるもあまりピンと来てないようです。ここで「あ、あのメールの返信ってインサイドセールス的な人なのか」と気づき、そこでもさすが大手やなぁと一応なりました。

とはいえアポは入れさせてもらったので真顔で突っ立っていたら、「立て込んでいるので30分後の案内になる」と言われました。まぁ、私も前日のドタ参だったわけなのでそこは折れました。でも、その間にもあの好物件を誰かに押さえられたらタマらんっと思い、「自分でおうちまで行って、外観だけでも見てきていいですか?」と打診しました。大塚界隈はゴキブリ大量生産中のクソきたないエリアが所々あるので(最近は全般的にきれいです)、営業トークというバイアス抜きに新居の周辺も見たかったんですね。

某ミニミニの営業さんにはホットな顕在客とみなされることなく「as you like」的にあしらわれたので、ちぇっと思いながらもおうちを見に行きました。っという間に新居に着くと、もう周辺の街並みに惚れ込んでしまいまして、ミニミニにとんぼ返りです。すぐさま部屋を押さえてもらい、契約へと進みました。

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某ミニミニの営業さんはちょっとびっくりしていましたが、私のようなリードタイム激短な客は最高でしょう。

早速見積書を出してもらいました。これだけ優秀な客相手に仲介料を家賃1か月分提示してきたら咆哮をあげているところでしたが、半月分だったので、まぁヨシとしました。

あとは家賃前払い分、敷金礼金……。うんうんわかるよ。ですが、目に飛び込んできたのは「ミニミニライフサポート月額3000円」とかいうすまし顔で並んでいたなんかわかんねーヤツ。

え?
……え?
……管理費とは別に、え……?

このお部屋、「火災保険料なし物件!」とかドヤ顔で宣伝していましたが、どうやらこの制度が火災保険の代わりになっているようです。家財の保険、修理費用などが補償されている制度だそうですが、「いや火災保険って普通2年に1回更新で2万円強じゃないんすか!? 毎月3000円払ったら2年で7万2000円だよ!?」と頭が真っ白になります。軽くパニック状態です。ちょっとよくわかんないので、純粋な疑問として某ミニミニの営業さんに聞きました。

「このミニミニライフサポートって外せないんですか?」
「これは必須なんですよ〜」

その根拠を見せなることなく即切り返され、いや絶対必須じゃねーだろと思いながらも、ダメです、今ここで激情したら私はクレーマー客と見なされて部屋を貸してくれなくなります。しかもこの部屋は某ミニミニ独占物件のようなのです。他の不動産会社に頼んでつっついてもらいましたが、どうしても某ミニミニ仲介じゃないと契約できないようになっていました。

オーケー、今は我慢のとき。超好物件のためにここは臥薪嘗胆で行くしかないと人生で初めて腹をくくりました。

いったんミニミニライフサポートは置いといて、審査に進むことにしました。幸いにも営業担当が私の勤め先を知ってくれていたらしく、それもあってかとんとん拍子に進みます。

無事に審査に通り、申込金を払うとき。ここでもう1回聞いてみることにしました。

「あの、やっぱりミニミニライフサポート外してくれませんか……?」
「ダメなんですね~」

根拠は述べないけどこれ以上埒が明かない系のふわっふわな回答を1秒でもらいました。ふぁっふぁ。しかしまだ焦ってはいけません。ここで逆上して営業担当に嫌われたら「ちょっとオーナーさんがアラサーOLの方は受け入れてないそうで……」と断られかねないですから。ぐっと拳を引っ込めます。どうどう。

勝負はそう、初期費用という名の申込金を支払ったあとです。既成事実を盾にして逃げ道をなくす作戦です。お金を払ってしまったら某ミニミニさんも私のことを不当にバンできないはずですから、早いとこ申込金を入れてしまいます。

通常家賃の5倍ほどは見ておくように言われる初期費用ですが、スーモを2年間毎日見続けた中の好物件ですから価格破壊的な安さの20万円でした。この申込金を払った直後に「次は例の件をクロージングせなアカン」と奮起し、ミニミニライフサポートの利用契約書をやっと読むことにしました。遅い、すまん。

契約者はネットで検索。そしてCtrl + Fで「義務」「必須」と単語検索。しかし、義務や必須と検索してもこの契約が賃貸契約と並んで必須らしい文言は見当たりません。

次に上から目で文章を追っていきます。第4条加入資格の項目で「当社が加入を認めた者に付与する」と書かれていますから、もうここで「んァレ?」となります。「当社と契約する者は加入義務が云々」とかじゃないんですね。なんだか今日はイケる気がします。

極めつけは第6条任意解約の項目で、「予め1か月前に解約申入れをすることによって本サービスを解約することができます」と書かれていたこと。加入義務どころか自由に解約できるじゃないですか。アンガーマネジメントとかふざけんな一気に怒り爆発カッと目をひんむき怒髪天を衝き、速攻電話です。

「あの、何度もしつこくてすみませんがミニミニライフサポートの規約を読んでみたらどうやら加入義務はないみたいです」

と、真正面から切り出します。

するとどういうことでしょう。その一言で

「わかりました、オーナーさんに確認しますね」

と、営業さんガチャリ。そして、ミニミニライフサポートは無事に外され、まだ契約満了になっていない前のおうちの火災保険を継続することができました。

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まぁ、言えば聞いてくれるのは感謝しています。無事にミニミニライフサポートを外してくれましたし、私としては節約できてよかったです。でも、あの営業担当は本当にオーナーと話し合って、ミニミニライフサポートを契約しない私を例外的に認めてくれたのでしょうか。それとも、私が見過ごしていたら「ウッヒッヒ♪ 騙されてやーんのー♪」と詐欺師よろしくやっていたのでしょうか。

どうも不信感が募ります。某アパマンの消臭スプレーと同じ胡散臭さを感じずにはいられないのです。

契約書を読み込まなきゃ負けっていうのはわかっていますし、今回私はそうしましたけど、やっぱり金融会社のリスク説明ではないですが必須か任意かぐらいは説明してほしいものです。こういう不透明さが、ある一定の不動産屋さんをあやしく見てしまう色眼鏡になるよなぁと、いたって普通の感想を持ちました。

とりあえずまぁ、毎月3000円、2年で72000円の節約ができたのでヨシとしましたが、ちょっと残念に感じずにはいられませんでした。とりあえず不信感は募りました。

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それに加えて、新居に引っ越してもちょっとびっくりすることがいくつかありました。通常、ルームクリーニングで原状回復されるはずのお部屋ですが、電球は切れ放題だわ、エアコンはつかないわ、洗面台の電気はぶっ壊れているわ、細部にホコリがたまっているわで、残念感満載の仕上がりになっていました。

アンガーマネジメントとかふざけんな一気に怒り爆発カッと目をひんむき怒髪天を衝き、速攻電話したら全て対応してくれましたが、やはり気持ちのいい船出とはいかなかったような気もします。2月にエアコンつかないの普通にさみーし。

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結論、今の部屋には大満足しているのでオールーオーケーです。が、ミニミニライフサポートを外せるのか問題とか、前の火災保険を継続してもいいのか問題とかで悩んでいる方の参考になればと思い、今回私自身も「あ、交渉したら意外にイケた」ということがいくつかあったのでここに書き残した次第です。

“引っ越し難民”問題もそうですが、本丸の物件もテキトーなハッタリをかまされることなく、慎重に見極め、そして交渉しましょうね。みなさまの素敵な新生活をお祈りします。

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