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Entôオープンに向けてインタビューしてきました【大人の島留学生レポート🎤】

「未来の島や未来の大人の島留学ってどうなっていくんだろう。」
大人の島留学編集部員はある日、思いました。
 本連載では、今いる大人の島留学生が未来の大人の島留学生に向けて、「こんなことができるかも」「こんなところで働けるかも」をお届けしたいと思います。

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こんにちは。大人の島留学編集部です!
今回は、島の観光分野についてその未来を考えていきたいと思います。
大人の島留学の舞台のひとつである海士町には、島で唯一のホテルがあります。現在(2021年3月)、ホテルは改装工事を行なっており、2021年7月には、マリンポートホテル海士から「Entô」(エントウ)に変わります。

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( 改装工事の様子 写真提供:株式会社海士 )

Entôは、隠岐ユネスコ世界ジオパークに佇む泊まれる拠点施設として、ジオにまつわる展示とホテルを掛け合わせた複合施設になります。

  今回は、ホテルを運営する株式会社海士代表青山敦士さんと大人の島留学生として同社に勤務する大澤こみちさんにお話を伺ってきました。

ホテルが変わることによる島の観光の未来はどんなものか、Entôのある島で働く大人の島留学生の未来を一緒に考えていきましょう。

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【お話を聞いた人】
青山敦士(あおやまあつし)さん(左)
株式会社海士代表。北海道生まれ。大学卒業と同時に、海士町観光協会に新卒就職。海士町14年目(取材当時)。海士町で結婚し、現在3児の父。観光協会在籍時に、子会社である「島ファクトリー」(旅行業、リネンサプライ)を立ち上げる。

大澤こみち(おおさわこみち)さん(右)
東京都生まれ。高校3年間を沖縄県久米島で過ごしたのち、和歌山大学観光学部に進学。現在大学2年生。2020年11月から大人の島留学生として、株式会社海士に勤務。主にホテルの事務仕事を担う傍ら、レストランのホールスタッフ、売店スタッフなどオールラウンドに業務を行う。

[インタビュー①] Entô(エントウ)と地域観光

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ー改めて、7月にリニューアルオープンを予定しているEntôですが、これからこの島のホテルはどのように生まれ変わっていきますか?
青山さん:
一番大きな特徴としてはホテルとジオパークの展示機能を持った、複合施設になるので、施設名に「ホテル」を冠していないことです。ホテルじゃないホテルになっていくようなイメージですね。いわゆるラグジュアリーなホテルを作りたかったわけではなくて、ラグジュアリーの次の価値観というか、もっと根っこの部分なのか、人が自分らしさに立ち帰れる場所、次の働き方や次の社会について、ジオを通じていろんな発見ができるような場所にしていきたいと考えています。
「ないものはない」が町のテーマになっているなかで、いろんな面白さや交流の刺激は町に出ると島中に転がっていて、そこはこの島に「ある」部分で面白いなあと思っています。
そこで、Entôという施設の役割として、島のフィールドにお客様を送り出すことと、帰ってきたお客様が「何もない贅沢」を感じること、自分の時間と自分の空間をゆっくり落とし込める環境をご用意することができると考えています。その環境を国内に限らず、海外のお客様含めて届けたいということが、新しい挑戦だと考えています。

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(イメージパース提供:株式会社海士)


ー全国的には、Entôのようにいろんな新しい価値観を複合するというのは珍しい取り組みなのでしょうか?
青山さん:
世界的には潮流になってきています。いわゆる「分散型ホテル」はイタリアを発祥に国内にもいくつか、地域丸ごとホテルみたいな、地域の中のリソースとホテル内のリソースを積み上げていきましょうというのは、観光業の新しい流れとしてきているなあと感じ始めています。
地域の力や地域の交流力で言うと、今もうすでに始められている地域に引けを取らないポテンシャルがこの島にはあると思っているので、独自の交流が生まれるのではないかと期待しています。

ー大きな変化の節目を迎えている今、新しく変えて行くところもある一方で、継承し守り大切にしていくこともあると思います。お2人は、今ある海士町の観光資源の中でここは残していきたいと思うところはありますか?
大澤さん:
はい。私は海士町に来て3ヶ月目ですが、人の暖かさというか、島の人のお人柄に独特な部分があるような気がしています。ウェルカムな雰囲気だったりもそうだと思いますが。私が今まで行ったことのある観光施設では、従業員と観光客という境界線がありましたが、この島ではあまりそういうのがなく、それが逆に新しいなあと感じているので、その距離感を大切にしていきたいと思っています。

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青山さん:
「残したい観光資源とは?」と聞かれると、やはり宿だと思います。ホテルに限らず、島にある旅館や民宿全てが大切です。この島は日帰りできないですし、隣の島(西ノ島)に行ったら世界に誇れる国賀海岸もあります。そんな中でこの島を味わってもらいたい、ゆっくりしてもらいたい、一緒にお酒を飲んで歌って、次の日の静かな朝を迎えていただきたいと思ったら、泊まることで、長い時間この島にいてもらいたいです。ですので、宿泊できる宿が最大の観光資源だと思っています。この仕組みをホテルだけが担うという意味ではなくて、旅館、民宿、ゲストハウス、シェアハウス含めても、島に宿泊や滞在できる資源は残していきたいです。
宿も時代に応じてどんどんどんどん変わっていかなければいけないですけど、根底で残していきたいのはこの島に「泊まれる、滞在できる」資源です。

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[インタビュー②] 海士町の観光産業で働く

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ーそういったところに、例えば大人の島留学生だったり、新しく従業員の方が入ったりというところで、若手が会社にとってどういう刺激になっているのかについてお聞かせください。
青山さん:
今、大人の島留学生で来ている若い人たち(20代前半)は、従来型の観光を知らないので、新しい発想に対しても「こういうのもアリですね」「いいですね」って言えること、さらに新しいアイディアも出てくること、若手の素直な意見が観光業をアップデートしていきたい自分自身からすると大きな勇気になっています。

ーある種、今までのやり方を知らないから新しい取り組みにも抵抗なく取り組めるというのは若手の得意とするところかもしれませんね。青山さんは新しく来るスタッフに対して、どんなことを期待していますか?
青山さん:
大人の島留学の仕組みですごく良いなあと思っているのは、自分の所属している会社以外の人と、高頻度で関わっていることです。役場だったり、学校だったりと、自分のいる業界以外の人との交流の裾野が広いし、みんなが新鮮な視点で情報共有をしていることが伝わってきています。そして、幅広い交流から得た視点を現場に持ち込んできてくれたり、逆にいうと僕たちが伝えたことも他の大人の島留学生に伝えてくれているのではないかと思っていて、そういう横のつながりが、「面」として地域に勇気を与えてくれているし、そういうところに期待感を持っています。

ーなるほど。また一方で若手というのは経験や知識が未熟な部分もあると思っています。そんな若手を育てる上で、青山さんが大切にされていることはありますか?
青山さん:
一つは、観光ってフィールドは、矢印が外に向きやすい仕事だなと思っています。20代の時とかは、どうしても「自分はこれで良いんだろうか」と矢印が内向きになりがちですが、観光の仕事は目の前にお客さんがいれば、特に現場であればあるほど外に矢印が向く機会が多いから、自分のことについて考えているより、外に向いて実践し続けることで自分らしさが表出する場面が多いなと思っています。自分ってこれでいいんだろうかって思っている状態から、実践を通して視野が広くなって勝手に成長して自信がついていくというのは観光ってフィールドには多いんだろうなと思っています。
また、観光業って、地域のいろんな営みとか産業の出口だと思っていて、第1次産業もそうですし、文化、福祉、教育など、観光がいろんな取り組みの表現の場、編集して外に出せることができる場だと考えています。従来の観光は、ホスピタリティとか、その場限りのサービスが求められてましたが、今日では、地域の魅力の根っこを全部知っているチームの方がより魅力的なサービスを提供できると考えています。
だからこそ、人が育つとか成長というか、太くなる人やチームがより良い観光を作っていくという感覚はあります。そういう意味では、観光という分野は人が育ちやすい環境なんじゃないかなと思っています。

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ー地域を知り、自分とチームで太くなっていくことが大切になっていくんですね。では、実際に、7月にEntôがオープンしてからはどのような環境や業務内容が想定されているでしょうか?
青山さん:
ざっくりですけど、仕事には、縦軸の仕事と横軸の仕事があると思っています。
縦の仕事だと、サービススタッフ、フロント、予約を取る人、バックヤード(ベットメイクのようなクリーンサービス)、食にまつわる仕事です。
横の仕事だと、デザインで関わる(クリエイティブ)仕事や、横で情報の管理、流通を担ったり、横軸で2つのプロジェクトに携わったり、ガイド的に働くなどがあると思います。
うちとしては、まず、縦の仕事を大事にしているところです。まず、一人で現場を任されるベースを持つことがあった上で、そこで感じる様々な課題を次の段階で横軸で差して、マーケティングを施設越えてやっていこうとか、クリエイティブの部分でレストランのメニューだけでなく、地域全体としてどう影響するのかなど考えたりなどできるようになっていくと考えています。

ー確かに…!実際に(株)海士で働く大人の島留学生の様子を見ていても、最初の頃に比べてマルチに色々やっているなあと感じていたのですが、「まず、現場が大切」という意図があったのですね。
青山さん:
僕自身、観光協会時代に教えられたことでもあります。当時、まちづくりがやりたい思いで島に来ましたが、「まずはしっかり現場を守って、目の前のお客様に対して求められていることはちゃんとやる」というのを教わりました。それで、信頼をいただいてから初めてスムーズにことが運ぶと思うんですけど、それが順番間違えると「誰だお前だ?」という感じになりますし…
そういうところを若手のメンバーには勘違いして欲しくないですね。現場を守っている人へのリスペクトを持ってることがまず大切で、そこから横軸を差してもらいたいと思っています。そういう意味では、最初から幅広く活躍できるという職場ではないかもしれないですが、縦の仕事を大切にするというのは、横の仕事がクローズアップされる今の時代だからこそ逆に大切にしていきたいと思っているところでもあります。

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(イメージパース提供:株式会社海士)

おわりに

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今回は、株式会社海士代表取締役の青山敦士さんと大人の島留学生の大澤こみちさんにお話を伺いました。2021年7月にリニューアルオープンする「Entô」についてや島の観光についてお話しいただきました。また、そんな観光という分野で「働くこと」についても考えることができました。
少し先の未来の大人の島留学へのイメージを膨らませることができたら幸いです。

(文:岩見しおり、インタビュー:ロドリゲス拓海)

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【もっと知りたい方はこちらをチェック!】
▼Entô(エントウ)公式サイト

▼PRTimeプレスリリース

【大人の島留学について知りたい方はコチラ!】
▼大人の島留学公式サイト

▼大人の島留学公式noteガイド


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