CASE.02 静岡県社会福祉人材センター【オトナインターンシップ】
※インターンシップ募集は終了しました。ご応募ありがとうございました。
はじめまして。
私たち社会福祉人材センターは、社会福祉法に基づき「福祉人材確保」のために都道府県知事の指定を受けて都道府県社会福祉協議会に設置されている公的な機関です。
社会福祉人材センターは、職業安定法に基づき厚生労働大臣の許可を得た「福祉人材無料職業紹介所」を設置して、「福祉の仕事を探している人」と「人材を求めている社会福祉サービス事業者」との橋渡しをしています。
<オトナインターンシップ参加の背景>
私たちが、数ある求人メディア・手段の中から今回「オトナインターンシップ」を選んだ理由についてお話ししたいと思います。
社会福祉人材センターでは、福祉・介護業界の魅力をPRしています。通常の求人広告ではなかなか伝えることのできない、「仕事のやりがい」、そして「異業種から転職し働いている方のリアルな姿を多くの人に知っていただきたい」と考えたからです。
その結果、福祉・介護業界の仕事は自分とは遠いもの、もしくは選択肢としてまったく考えたことのなかった方達に、「選択肢の一つとして興味を持っていただきたい」という想いで参加を決意しました。
今回のインターンシップ募集にあたり、実際に異業種から転職し、活躍しているスタッフ2名のインタビューを行いました。このインタビューを通じて少しでも興味をお持ちいただけた方は、ぜひインターンシップへのご参加を検討いただけたら嬉しいです。
<転職者インタビュー>
特別養護老人ホーム南風
介護職員 伊藤和正さん 40代
介護の仕事を体験できる「魅力体験ツアー」を通じて現在の職場を知り、異業種である製造業から入社。今では体験ツアーの受け入れを担当している。最近、介護福祉士に合格し、これからもスキルアップのためいくつかの資格取得にチャレンジしている。
社会福祉法人ほなみ会 特別養護老人ホーム第二南風
施設長 川島理恵さん 40代
※伊藤さんの施設の施設長(当日の受け入れから育成までを担当)。20歳で介護職に就き、他施設で経験後、ほなみ会の立ち上げメンバーとして入職。
社会福祉法人富水会 特別養護老人ホーム開寿園
管理課長 藤曲典子さん 50代
30歳頃から高齢者介護の世界に入る。現場の業務を通して、利用者と自分、職員と自分との間の人と人とのかかわりに価値を感じている。現在は職員採用等の業務と施設ケアマネジャーを兼務している。
転職の経緯について
− 異業種から介護業界に転職されたキッカケは?
伊藤さん:介護業界に転職する前は製造現場での品質管理の仕事をしていました。年齢が40代に差し掛かって人生の折り返し地点となり、これからの人生を考えてたんです。そのときに、親の介護も現実的になり、けれど介護の知識もないし、これからどうしようという不安や、このまま同じ会社で勤めていくべきかという葛藤がありました。今の仕事にこだわるのではなく、自分が何をやりたいのか?どう生きたいのか?を考える中で、介護業界に興味が湧きました。現在の職場を知ったのは、介護施設に行き職場体験ができるツアーに参加したときで、直感的にいいなと思い転職を決意しました。
− その際に川島さんはいらっしゃったんですか?
川島さん:私がメインで動いていました。県の事業だったんですが、コロナ前はうちに毎年20〜30人ほど施設見学に来られていました。うちは持ち上げない介護、体に負担のかからない介護に取り組んでいて、介護の紹介や体験をしたり、施設のご飯を食べたりしましたね。その後も施設見学は続いているのですが、今では伊藤さんにも手伝ってもらい転職した体験をお話してもらっています。
− 藤曲さんはどんなきっかけがあったんですか?
藤曲さん:元々営業や販売の仕事をしていたのですが、毎日電卓を叩いてお金の計算をすることに疲れてしまったんです。そういえば大学時代の就職活動中に介護もいいなと思っていたのを思い出して、介護業界に興味を持ち始めたのがキッカケです。
− 介護という選択肢はご自身と近いところにあったんですか?
藤曲さん:全然!祖父母と一緒に住んでもいなかったですし、そばにお年寄りがいたわけでもありませんでした。介護という仕事について具体的に何も知らなかったし、何もわからなかったけど、ちょっとやってみようかなと思ってそのまま転職しました。
− 現場から見て、異業種から介護職に転職される方は多いんですか?
川島さん:結構増えてきましたね。私たち施設では異業種からでも無資格でも安心して働ける環境を作り研修体制をしっかり整えています。十数年前の介護現場は、入社2日目には現場に出て、先輩の背中を見て覚えなさいというスタンスでした。今はだいぶ研修が手厚くなってきていて、「3年目までは新人」という括りになっています。お年寄りを24時間365日ケアするお仕事なので、1年一緒にいないとお年寄りのことはなかなかわかりません。だから1年目は見て覚える、2年目は見たことをやってみる、3年目は自分で考えてやってみる、そうして一人前になっていきます。4年目・5年目になるとプリセプターといって、先輩として教える側になります。
仕事に求めること
− 仕事の条件として譲れなかったことは?
伊藤さん:2つあって、1つ目は「業務の評価を数字だけでしないこと」です。前職である製造業の品質管理の仕事で1番言われたのが「製品の不良率を0に近づけなさい」「100%納期に間に合わせなさい」だったんです。しかし達成したとしても評価されるわけでもなく、99.9%でも叱られることもあり、数字を追いかけるだけにやりがいや生きがいを感じなくなっていました。この経験が「次の転職先では数字にとらわれない場所に行きたい」という決心に変わりました。2つ目は「異業種からの転職者の方がイキイキと働いているか」です。異業種から介護業界に転職するのは不安で仕方がなかったので、異業種からの転職者の方がイキイキと働いている姿が一歩踏み出すきっかけになりました。
− 藤曲さんはいかがですか?
藤曲さん:「正社員であること」ですね。私が転職した頃は、無資格の人は正社員で採用してくれない時代でした。でも正社員以外は考えられなくて、、。今の職場の前に違う介護施設で半年働いていた実績・経験を買ってくれたのでラッキーでした。
− 日々数字を追うことに対する心の疲れがあったんですか?
藤曲さん:そうですね。前の業界にいた時は常に売上を追わないといけませんでした。営業や販売の仕事と福祉の仕事の1番の違いは、「後ろめたさ」だと思っています。営業や販売の仕事は、売ってなんぼなので、売るためには多少無理をしてよく言わなきゃいけないことがあり、葛藤がありました。でも福祉の仕事は、絶対的に人のためになる仕事なんです。介護は後ろめたさを感じることなく働けることがいいところだなぁと転職して感じました。
転職前と転職後のギャップ
− 転職してみて、転職前とギャップがありましたか?
伊藤さん:介護業界の人手不足は慢性化していると耳にしていましたが、現場でより実感しています。入居先はあるけれど職員が足りなくてお年寄りが入居を待っているという状況を知りました。
川島さん:転職してきてもなかなか定着しないんですよね…。異業種からたくさんの方が来てくださったんですが、伊藤さんのように定着する人もいれば、合わなくてやめていく人もいます。
− 長く続く方の特徴ってあるんですか?
川島さん:伊藤さんのように、働く意義や目標を明確に持っている方は続きます。伊藤さんが言ってくれたことですごく心に残っていることがあって、「モノを作っているときはお客さまの評価が見えないけど、介護が上手にできなければ直接お年寄りに怒られる。逆に上手にできるとありがとうと言ってもらえる、それがやりがいなんだ」と3年目のときに言ってくれたんです。
− 対面で人の評価がわかるというのは介護の仕事ならではですよね。藤曲さんはギャップはありましたか?
藤曲さん:初めは厳しかったですよ、、(笑)。ただ、厳しいながらも基本的なことを学ばせていただきました。また、介護はずっとその人に関わっていけるところが良い意味でのギャップでした。たとえば、お食事が食べにくそうだから固形から液体にしたことが、半年後にその人の生活の意欲を奪っていくことにもなりかねないとか。販売や営業だと売るときだけの関係でしたが、介護だとその先まで関わっていけるので成果が後々実感できるというのがいいところだなと思っています。
介護に活きた経験やスキル
− 異業種からの転職で、介護に活きた経験やスキルなどはありましたか?
伊藤さん:コミュニケーション能力ですね。私の前職は製造業でしたが、モノを作るというよりもお客さまと話す時間の方が長かったんです。介護のお仕事って、お年寄りの性格は様々で全員が気持ちを素直に表現してくれるわけではないんですね。怒っていても、なぜ怒っているのか言ってくれないこともあります。そんな時は時間をかけてその想いを引き出すように心がけています。信頼関係を作らないといけないので、そういった点でコミュニケーション能力が活きていると思います。
− 信頼関係を築くために気をつけていることはありますか?
伊藤さん:必ず、入居しているお年寄りのみなさんに挨拶をするようにしています。あとは、お部屋に行って2人で話をしたり、自分の悩み事を打ち明けたりしています。
− 自己開示は大事ですよね!川島さんは信頼関係を築くために気をつけていることはありますか?
川島さん:介護の現場って、「お世話する人」と「される人」なので上下関係ができやすいんです。でもあくまでも人と人ですし、私たちはお年寄りの生活を支え自立支援をする立場なので、何でもお手伝いするのも違います。なので、専門職としてリスペクトを持って相手と関わっていくことを大事にしています。お年寄りって自分よりも大先輩ですよね。私たちの職員はお年寄りに相談したりして、とても甘えています。出勤時間になっても現れない職員がいて探していたら、お年寄りの部屋で失恋したと相談しながら号泣していたなんてこともありました(笑)。「あんたは若いんだからその人だけじゃないんだよ」なんて慰めてもらって、、。最初の研修で、お年寄りは人生の大先輩だということを忘れないように、という話をよくしています。
− お年寄りも頼られると嬉しいですよね。藤曲さんは介護に活きた経験やスキルはありますか?
藤曲さん:私はもともと話すのが苦手なのですが、「説明して言葉で伝える」という点に営業や販売の経験が活きていると思います。私の時代は、背中を見て感覚で覚える時代でした。でも曖昧なことってすごく怖くて、取る側によって意味が違ってきてしまいます。だからこそきちんと言語化していく癖づけは前職の経験が役立っていますね。
介護業界に転職する人はどんな人?
− みなさんのように介護業界に転職をしてくれる人はどんな人だと思いますか?
伊藤さん:イメージとしては「35歳以上の製造業」、「営業職の中間管理職」だと思います。私と同じような境遇の人ですね。人生折り返し地点でこれからの人生を考えたとき、本来製造だったらものづくりが好きで入った、営業職だったら人が好きで入ったはずなのに、本当にその仕事が好きなのかな?と悩む人っていると思うんですよ。そういう人生のターニングポイントにいる人、数字に追われている人、このままでいいのかなと思っている人は1度立ち止まって、いろいろな業界に目を向ける中の1つに、今までと違う評価をしてくれる介護業界を視野にいれてもいいのかなと思います。
− 確かに、人生を考え直すタイミングかもしれないですね、、。川島さんはどう思いますか?
川島さん:異業種から転職された方の中には、結婚後、シングルになって正社員で働きながら「国家資格を取るために努力する姿を子どもに見せたい」と言って転職した方もいらっしゃいます。父親がいない分、社会で働きながら努力する大切さを伝えるかっこいいお母さんになりたいと意気込んで来てくれたんです。本当にいろんな人がいるんですが、たくさんある選択肢の中から介護と出会ってやってみたいと思えるかどうかだと思います。
藤曲さん:介護や福祉の世界は、途中から入っても学べる機会がたくさんあります。私も働きながら介護福祉士の資格を取りましたし、その他にもいっぱい資格があるんです。学びたいと思ったものを学べる環境を選択していけるので、自分に自信を持てるようになります。自分が興味を持ったところに資格があるので、やりがいのある仕事だと思います。
− 役に立ちたい、力になりたいという気持ちはどの仕事でも変わらないですが、福祉は、より実感しやすい職なんですね。本日はありがとうございました!
<インターンシップのお題>
あなたの知らない福祉のシゴト
~異業種からの転職者が語る本音のトコロ~
インタビューに応じていただいた異業種から転職された伊藤さん(上司の川島さん)・藤曲さんとのトークセッションを開催します。
当日は福祉業界について具体的に気になること、入社後のギャップ、仕事のやりがい、業界イメージのウソホントなど、包み隠さず参加者のみなさんと意見交換ができる場をご用意いたします。実際に介護職に転職し、現場で活躍されている方が率直に語る機会は貴重です。ぜひご参加ください!
※インターンシップ参加後、ご希望に応じて事業所での職場体験の紹介&就職相談もご用意しております。
<参加資格>
以下の条件に満たしている方であればどなたでも参加可能です。
「インターンシップを経験して応募を検討してみたい」「転職に向けた準備の一環として参加してみたい」など、気軽な気持ちでご参加ください!