第18話「メンエス事件簿」#3 緊急出動(後編)
前編は「無銭メンエス」をしたお客様に電話をしようとした瞬間、担当セラピストさんから2度目の着信があったところで終わりました。
前編をお読みでない方は、事件の発端をこちらに貼り付けておきますのでご参照くださいませ。
「もしもし、どうしたの?」
(怒らせてしまった理由を思い出したのかな?)
「、、、、無言電話?」
いや違うかな?
「うっ、うっ、、、」
どうやら泣いてるみたい。
しかも、さっきよりもひどく泣いていて話せないようです。
なので、
「怖かったよな〜」
「でも、もう大丈夫だよ」
と声をかけて落ち着くのを待ちました。
頑張って何か喋ろうとするのですが、込み上げる嗚咽でなかなか言葉にならない様子。
そこをなんとか嗚咽を呑み込んで無理矢理喋ったものだから、聞いたことのない変な声が出てきました。
「違うんでええぇっすぅぅぅ!!!」
その大声と共に、感情が爆発して、さらに話せないほどの大泣きが始まりました。
ひとしきり泣いたのに、喋ろうとするとまた泣けてくる。
喋りたい!
と
泣きたい!
のバランスが整い始めた頃、ようやく途切れ途切れに喋りはじめました。
どうした?
何かあった?
・
・
・
「えーんオサイフ、、、えーんえーん」
はて?
「えーんえーんワスレテル、、、」
つなげると
「オサイフワスレテル」
変換
「お財布忘れてる」
え? なに!?
頭の中が真っ白になりました。
どういうこと?
・
・
え、そういうこと?
そうなんです。
「無銭メンエス」の犯人はなんと財布を忘れたまま帰ってしまったのでした。
なんという奇跡的な出来事なんでしょう。まるで、神様が見ておられたような鮮やかな因果応報。
しかし、そのせいでセラピストさんは恐怖の連想ゲームを始めてしまい、大泣きしてたというわけだったんです。
あの怖い人が財布を忘れた
↓
あの怖い人が財布をとりにくる
↓
あの怖い人に財布を渡さなきゃ
↓
誰が?
↓
ん?
私!?
↓
きゃーっ!
また会わなくちゃいけないの!
↓
どうしようー
やだー
えーんえーん
もちろんそんなことはさせません。
ここからはぼくがバトンタッチをすることにしました。
待つこと10分
きました!
その男からの着信です!!
どんな感じかな?
平謝りモードなんだろうな〜
それとも言い訳モードかな〜
電話にでるまでの数秒間にいくつかのパターンを想定しました、、、
がしかし!
「あ〜もしもし〜」
「さっきさ〜」
「財布忘れたんだけどさ〜」
声の感じを表現すると、
は〜?
だりぃな〜
ちっ
うぜぇな〜
とは言っていませんが、
今にも言い出しそうな気だるい雰囲気を醸し出していました。
俗に言うヤカラ感満載!
想定していたパターンの中には見当たらない新種で、例えるなら昨今流行りのブレイキングダウン風。
ならば、受けて立ちましょう
無銭メンエスニキvs.店主
メンエスブレイキングダウンのはじまりです。
カーン!!
そしていよいよ
第1ラウンドのゴングが夜の街に鳴り響き、正義を賭けた闘いの火蓋が切って落とされました。
果たして闘いの行方は
正義の拳は悪を成敗できるのか
涙に濡れたセラピストさんに笑顔は戻るのか
つづく、、、そしてごめんなさい
コメント欄では2回で完結すると大口を叩いておりましたが、なかなか短くお伝えすることができず、続きは次回にさせていただきたいと思います。
最後までお付き合いいただき本当にありがとうございました。