闇夜のブラックホール。
さしもの闇夜のカラスでさえ月明かりにはボウとその姿をあぶり出されるが、そいつだけは、同じ黒い姿をしていてもほかとは違っていた。闇夜と見分けがつかず、ほかの息をする者とは明らかに異なっている。
まるで眼球だけで生きているかのように、対の目玉が一定距離を保ったまま動きまわる。
まさか、こんなところに在るとはな。
と、その道の識者が息を呑んだ。
名は、韻でクロアナ。
漢字表記で黒穴。
音もなく忍び寄り、あらゆるものを呑み込んでいく。
たとえそれが光だとしても。
そいつは二つ目のブラックホール。