四十男が、ある会社を辞めることになった。いくつか仕事を変わっている職歴。辞めることになった職場に適性的に向いているかどうか軸は、向いていないべクトルを指していると言わざるを得ない。だがそれとは別に、やる気軸というものがあるじゃない。そのやる気軸を上向き曲線に変えるのは、向き不向きとは別の本人の意識。
なのにその男ときたら。やる気軸も興隆させることはついになかった。
会社を辞めるにあたって猶予期間があり、あと2週間というところで休みがちになった。モチベーションの維持ができなくなったせいだと一目瞭然。おそらくこの業界には今後、二度と首を突っ込まないだろう。いわゆる痛い目に遭ったと本人が受け止めている節がうかがえるから。
だけどねえ。余すところあと2週間、最後だと思って歯を食いしばってでも「経験するんだ」と貪欲に腹をくくって突進すればいいものを。苦しさ、辛さから逃げてしまったんだね。
立ちはだかった壁に向かっていくのと、尻尾を巻いて逃げ出してしまうのとでは、これから向かう先が違う。
最後なんだからさ、せめて気概をもって加速して。
届かぬ言葉を宙に放った。
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