この度『男と遊び』と題してPLANETSからの出版が決まった。まことにめでたい。私にとって、初めてのエッセイ集である。 思えばある鮨屋で私とPLANETSの宇野常寛の、『エッセイなるものを書きたい』『ならばうちでやるがよい』との会話から始まった連載だが、この安易さを悔いる事しばしばであった。いざ、書き出そうとすると、なんと言うか、怖い。エッセイというのは脚本や小説よりも生の自分が出るような気がする。料理で言えばフレンチや中華のようにソースや香辛料で味付けする事なく、和食の
時々、無性に中華料理が食べたくなる。それも、四川。辛い奴だ。 やや疲れ気味な時に、体が四川料理を求める気がする。炎の力と強烈な香辛料が元気をくれるのだ。ただし、とっても疲れている時は無理だ。体が四川のパワーを受けきれない。 私は辛い物に目がないが、実はトウガラシアレルギーで、その上、胃腸が弱い。従って、四川料理を食べる時は色々と大変である。抗アレルギー薬と胃腸薬を持参しなければならない。さもないと翌日が悲惨である。下半身の柔らかい所に湿疹が出来る。下痢になる。胃腸薬を飲
先日、仕事場で埃に躓いて転んだ。 意味が分からない、と思われるかもしれないが、文字通り埃に躓いて転んだのだ。 私はあまり掃除をしない。部屋がきれいだと落ちつかないのだ。だから埃が成長する。ころころと珠のように丸くなる。そいつに躓いて転んだのだ。 まあ、そんな事はどうでもよろしい。さて、今年もまた鮎の時期だ。私は鮎狂いなので六月になるとそわそわして来る。一刻も早く、一匹でも多く鮎を食いたい。出来れば日本中の鮎を胃袋に収めたいぐらいだ。 子供の頃から私は鮎に縁があった
先日、十円玉が立った。部屋で落とした十円が床に跳ね返って立ったのである。 これは、茶柱が立つより稀な現象ではあるまいか。きっと縁起がいいに違いない。 さて、今年の夏も友人たちと京都に行った。 京都は盆地なので、以前は東京よりずっと暑かったが、最近では様子が変わった。東京より涼しいくらいだ。これも異常気象のせいだろうか。 今夏の京都で印象に残ったのは鱧料理が少なかった事だ。夏の京都と言えば鮎と並んで鱧、いや、鮎以上に鱧であり、どの店に行っても必ずと言っていいほど鱧が
先日、地図を買った。日本地図である。なんとなれば私は呆れ果てるぐらい地理に弱いからだ。 昔から興味がなかった。自分は日本人だ、日本中、どこに行ってもそこは日本だ。それだけ分かっていればいいと思っていた。なにしろ広島は東北だと思っていたし、名古屋は『市』ではなく『県』だと信じていたぐらいである。 友達と旅行の計画を立てていても『長野と愛媛に行きたい店がある。昼飯は長野、夜は愛媛でどうよ』などと言って顰蹙を買う始末だ。京都奈良間も三鷹から吉祥寺ぐらいの距離かと思ってタクシー
今年も花粉症がひどかった。私は多くの花粉のアレルギーだが、中でも杉花粉が一番ひどい。 以前は医者に通っていたが、さほど効果がないのでやめてしまった。最近では市販の薬で誤魔化している。それも複数の抗アレルギー薬を一辺に飲む。薬剤師には止められるが、そうしないと効かないのだから仕方がない。 薬にせよ、サプリメントにせよ、私は飲む事に躊躇いがない。これは母譲りである。母は自分で薬を飲む事も子供に飲ませる事もほとんど考えなしだった。なにしろ赤ん坊の私と電車に乗る際、泣かれるのが