見出し画像

13年ぶりの「ハケンの品格」でも、派遣社員は会社にしがみつくものと描かれていて愕然とした

ハケンの品格、13年ぶりに作る意味があるのかと思いつつ(他に見たいものもないから)視聴。

篠原涼子のキレキレっぷりだけは見てておもしろかったです。

それにしても、派遣社員が三か月契約更新してもらったら大喜びしたり、セクハラされても我慢して会社にしがみついていたり、13年経っても派遣のイメージってこうなんだとちょっと悲しくなった。

全くいないとはいいませんが、あんなふうに特定の会社や仕事に執着する派遣はあまりいません。

居るとしても、それは上(正社員)にうまく取り入って好き勝手できるから残りたい派遣とか(こーゆー派遣って、新しい派遣を追い出そうとしたりするんですよね。自分の場所を確保するために)、スキル以上の時給をもらっているから離れたくない派遣とか、仕事や性格がルーズだったりきつかったりしても「○○さんだから(苦笑)」と許されていて好き勝手したり言ったりがキャラ的になぜか許されているおばさん派遣とか、そんな特異なひとたちです。

普通の派遣は「ダメなら次」と思って働いているし、もっと言ってしまえば、「あー、もううんざりだな。辞めたいって言うとカドがたつから向こうから切ってくれないかな」なんて思って働いている。

経験したことがない人はわからないかもしれませんが、ある程度の社会人経験があれば、派遣仕事ってわりと容易くゲットできるんです。

それがどんなに不景気な時期でも。

たとえば、今このときも日本は大変な状況ですが、全業種全会社が全滅というわけではありません。

好調で人手が足りない企業もたくさんある。

そういったところが派遣社員を常に募集しているので、派遣の募集は正社員の募集ほど景気に左右されないんです。

時給(年収)も正社員ほど景気によって上下しません(これはもともとが低いっていうのもあるけど)。

なんなら景気の悪い時は企業は派遣で人手を賄おうとするので、派遣の募集が増えたりもする。

テレビでは、派遣切りにあって大変なことになっている派遣の方が取り上げられていたりしますが、あれももちろん嘘ではないんでしょうが、実際はもっとライトだと思います。

だから、ドラマに出てたようにあんなふうにセクハラされてまで我慢してる人ってほんとに珍しいと思う。

ただ、正社員が囲んで派遣社員をつるし上げ、問題のあるおかしな人間に仕立てようとしていたシーンがありましたが、あれはリアルです。

あんなふうにあからさまに囲んでやるということはありませんが、気に入らない派遣をみんなでよってたかって悪く言い、仕事の能力や人間性に(まったく問題がなくても)問題アリと仕立て、派遣会社に通報するケースはぜんぜんあります。

あんなところだけリアルに描かれていて悲しい。

正社員五人とか六人のチームに派遣という異物として一人で飛び込むわけです。

なかなか馴染めなくても不思議はありません。そして、おかしな関係のまま我慢して働いた挙句、おかしな人間に仕立て上げられて追い出されることも珍しくないのです。

正社員の間でもいじめが頻発してるような会社とか、いつリストラが起きてもおかしくない業績の悪い会社とか、正社員がフラストレーションを密かに抱えている会社は、派遣にそれが向かいやすい。

そんなハイストレスの会社で働いていたら、今回のドラマの派遣みたいにちょっと肩に手をまわされるどころか、どっかに連れ込まれてまわされてしまうかもしれないので、さっさと逃げたほうがいい。

冗談じゃなく、大きな会社のなかにも、驚くほどおかしな人間が多くいます。

某大企業で派遣で働いていたとき、ロッカーの中を荒らされたことがあったな。

貴重品は残してなかったから何も盗られなかったけど(たぶん)、高い給料もらってても手癖が悪い人間っているんだなと思った(単なる嫌がらせだったのかもしれない)。

煙草を吸ってさぼってても残業代は全部もらい(これは派遣にはできないこと)、大企業に就職できたからと仕事に見合わない給料をゲットしていて、それでもストレスがたまって悪癖が抑えられなかったり、弱い立場のものに嫌がらせをしたりしてるような人間でも、ツボをおさえて要領よく生きていけば幸せになれるのだから日本ってほんとにおかしなシステムができあがったなと思う。

ちょっと話がそれましたが、派遣で安全に働きたければ、コールセンターのように派遣十人を社員一人で束ねているような仕事がいいかもしれません。

あの形態だと、派遣が集団で社員(正社員だったり契約社員だったりするのですが)を血祭りにあげたりしていて、派遣が社員にいじめられるということが少ないです(結局、職場って大人数のほうが強いんだなあ)。

ただし、「なんで安い給料で働いてんのにこんなこと(クレーム)言われなきゃなんねーんだよ」といったストレスをためた気の荒い派遣たちの中で居場所を作るのはそれほど容易ではないですし、休憩はここからここまで、トイレもこの時間に、というふうにお仕事マシーンのように扱われる毎日は慣れるまでに多少の忍耐と努力が必要です。

それでも、仲の良い派遣友達を見つけることができれば、こういった集団派遣型の仕事は長く続く人が多いです。

派遣として充実して過ごすには、仕事選びが非常に大事になってくるんですよね。

でも、どんなに注意したところで、職場の雰囲気がいいか悪いかは入ってみないとわからない。

いまは正社員でも、いじめを受けているような人も多いですよね。

派遣から見てても、いじめをすることでストレスを解消している重役の攻撃対象にならないよう、みんなでボールを回すように「いじめられ役」を必死に押し付けあったりしているような職場がゴロゴロある。

そんな職場に当たったりすると、「ハケンだから逃げやすくて良かった」と思ってしまいます。

ドラマに話を戻すと、いちばん興味深かったのは、登場人物の年収。

社会人経験のあるアラサーの派遣社員が年収277万(だったかな)に対し、まっさらの新入社員が340万(たぶん)となっていました。

どんなふうに扱われるとか、三か月ごとに殺されそうになる(契約が切られそうになる)とかそういったことは、あれを見ると大した問題でないことに気づく。

いかに派遣が安く使い捨てにされているかがはっきりとみてとれました。

同一労働同一賃金のことにもドラマの中でさらっと触れられてましたが、今回のコロナの不況であっさりとなかったことにされるんでしょう(大企業にとっては好都合だ)。

もっとも派遣を雇っている側からすれば、「もっと払っているよ!」ということになるんでしょうが、それは派遣社員には関係ない。

そうやって考えると、間に入ってお金を抜いていて、派遣社員が勤務先の社員とトラブってもまったく守らず(派遣は代わりがいっぱいいるので使い捨てにできるが、クライアントは代わりがきかないから大事にするというのが派遣会社のスタンスです)、社員にはしっかりボーナスも交通費も払っている派遣会社が、実は最もこの問題をややこしく大きくしている存在なのかもしれません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?