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ユーカリの森に生きる―アボリジニの生活と神話から


ユーカリの森に生きる―アボリジニの生活と神話から

 オーストラリアの先住民、アボリジニの文化や生活ぶりを、紹介した本です。
 一九九四年に出た本です。二〇一四年現在からは、ちょうど二十年前ですね。でも、現代アボリジニについて、よく書かれた本だと思います(^^)

 そもそも、日本では、アボリジニに関する資料が、極めて少ないです。
 その中にあって、本書は、貴重な資料です(^^)
 冷静な筆致で、アボリジニの歴史や、暮らしぶりや、彼らの語る神話などが、紹介されています。

 現在、アボリジニの大きな現金収入の源になっているのは、樹皮画です。樹皮に顔料で描かれた絵です。画題は、彼らの神話を反映しています。
 アボリジニの世界観などを知るうえで、樹皮画の理解は、欠かせません。この重要な樹皮画について、その誕生の経緯や、画題が、解説されています。

 アボリジニと一口にいっても、たくさんの部族に分かれています。部族ごとに、また、住む地域ごとに、文化も神話も違います。
 例えば、「アボリジニは、アリなどの昆虫をよく食べる」といわれます。けれども、本書に登場するアボリジニの方々は、昆虫を食べる文化を持ちません。

 本書では、オーストラリア北部のアーネムランドという地域のアボリジニが、取り上げられています。伝統的なアボリジニの暮らしが、よく保存されている地域だそうです。

 アボリジニの全員が、伝統的な生活をしているわけではありません。むしろ、そのような人々は、少数派でしょう。
 だからといって、逆に、全員が、多くの日本人のような都市生活をしているわけでもありません。独自の文化を体現している人々も、確かにいます。

 オーストラリアの自然の中で、何万年も生きてきた人々の文化からは、学ぶことがあると思います。

 以下に、本書の目次を書いておきますね。

はじめに

第一章 アーネムランド――アボリジニの大地
 一 アボリジニの世界
 二 アボリジナル・ランドの形成とむら建設の運動

第二章 ジナン族の暮らし――ガマディむらにて
 一 ジナン族の生活空間
 二 ガマディむらの人びとと領域
 三 ガマディむらの歴史――二人のアボリジニの生活史から

第三章 狩りと食糧――豊饒の儀礼と食物規制
 一 獲物の季節性と狩猟
 二 野生食糧は、どのように配分されるのか
 三 ドリーミングと食物規制

第四章 狩人たちの財産――ガマディむらと貨幣経済
 一 むら人の買い物
 二 むらとむら人の保有財

第五章 豊かなイメージの宇宙――樹皮画と彫刻
 一 故地【カントリー】を描いた樹皮画
 二 樹皮画が語る神話の世界
 三 彫刻と神話

第六章 精霊と人の交渉
 一 雨ごいと雨やみ
 二 ふたつの葬送儀礼
 三 星まつり

第七章 生きている神話――ジナン族の故地をめぐる論理
 一 神話と葬送儀礼
 二 人の魂と血と汗
 三 魂のいきさき――カントリーへの回帰

注と参考文献
あとがき



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