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カレーはソースを深掘り。

今月の『ダンチュウ』はカレー特集だ。先月の『ブルータス』もカレー特集だった。レトルトカレーの新商品もどんどん世に出てくるし、カレーブーム、エンドレス。日本人がこんなにカレー好きだなんて、きっと、インド人もびっくりだろう。

マレーシア人もやっぱりカレーが好き。それは日本人以上のレベルで、彼らは毎日カレーを食べている、といってもいい。たぶん、東南アジアの国々のなかで、カレー好きNo.1、かつ、もっともカレー“通”の国民は、マレーシア人だと思う。

というのも、マレーシアは、人口の約7%をインド系のマレーシア人が占めている。150年ほど前、彼らの祖先(約3代前)がもちこんだインド系の料理が、今ではマレーシア人みんなの普段のごはんとして親しまれているのだ。

たとえばベジカレーとご飯のセット「バナナリーフカレー banana leaf curry」、パン系の軽食「ロティチャナイ roti canai」「トーサイ tosai」「ムルタバ murtabak」。揚げもの「ワダ vada」、蒸しパン「イドゥリ idli」、炊きこみご飯「ビリヤニ biryani」など。これらの料理はすべて、地元のあちこちにある庶民派の店の定番メニュー。

どの料理も本場インドとほぼ変わらないレシピなので、スパイスの香りは豊かで、とってもおいしい。こんな環境で育つマレーシア人は舌も肥えており、店は彼らのために努力を重ね、さらにカレー文化が発展、という好循環になっている。


さて、以前 note 「マレーシアのチキンカレーについて。」で「マレーシアのカレーって、一品料理というより、万能ソースに近いのかも」と書いた。それについて具体的に紹介してみたい。

たとえばこれ。先に紹介したロティチャナイ。

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小麦粉をのばして作るサクサク食感のロティチャナイは、カレーをつけて食べる。カレーに具は入っておらず、まさにソース感覚。

麺にカレーをかけることもある。ここ数年、ヒットしているのが、オイスター系のソースをからめたワンタンミーのカレーがけ。焼きそばに近いソースとカレーの相性はバッチリグーで、日本でも横浜のマレーシア料理店でときどき提供。

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「チーチョンファン 豚腸粉」という食感やわらかな米麺に、カレーをかけて食べることもある。クアラルンプールで人気の料理で、マレーシア在住時代によく食べた。

そしてもちろん、カレーをソース使いする定番といえば、こちら。ご飯にかけること。

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ふつうにカレーを盛ってもいいのだけど、店によっては、カレーの汁だけ(具をとらない)だと無料という仕組みがあり、汁のみご飯にさっとかけることが多い。まさにソースづかいをする。

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このとき、1種だけじゃなく、2種、3種と複数のカレーをどんどん上に重ねていくのがマレーシア流。こんな感じに、チキンカレー、フィッシュカレー、ダルカレーなどの汁を上に上に上に。

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友人のアスリさんもこのタイプで「この前帰国したとき、惣菜店で端から端までのカレーを全部かけた(たぶん10種近く)。昔は無料だったのに、2リンギ(約60円)も請求されてショックだよ…。マレーシアも物価が上がったんだねぇ」と嘆いていらした。

お金がないとき、“惣菜店で白いご飯だけ頼んで、無料のカレー汁で済ませる”というのはマレーシアあるある話しなので、マレーシア人と話す機会があれば、話題にしてみてね。

たしかに、これだけいろんなカレーがあれば、毎日食べても飽きないな。

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マレーシアのカレー店は「ナシカンダー nasi kandar」や「ママッ mamak」とよぶ。全国展開のチェーン店が多く、24時間営業、店員さんはおそろいの制服を着用している。子ども好きの店員さんが多い。

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