非情報系企業でこそ、情報系技術で何かを成し遂げたい

まえがき 

私にとって、 #note書き初め でもあり、 #最初のnote でもあります。

さて、私の昨年最大の出来事として、昨年8月に、とある大手通信事業者の研究開発部門から、とある大手コスメ企業の研究開発部門に情報系技術の研究開発技術者として転職を果たしました。

転職自体は、元々は転職サイトへの登録を通して自分自身のキャリアとスキル、経歴の棚卸しを行って多角的に企業人と技術者としての自分の見直しができれば、という程度のモチベーションだったのが、活動中に色々とご縁があり、新しいチャレンジへの意欲が掻き立てられた結果として実際に転職に踏み出す結果となったものでした。

ではなぜ、実際に転職に踏み切ったのか、そして、なぜ非IT業界への転身を進んで選ぼうと思ったのか、この記事でシェアできればと思います。これから転職を考える人や、技術者としてのやりがいや生きがいを考えている人に、何らかの参考になれば非常に幸いです。

あ、念のため申し上げておきますが、退職エントリによくある、前職をディスるような趣旨は全くございませんので、悪しからず。

なぜ「非情報系企業」なのか?

まず、端的に。「情報技術を、そろそろ情報業界以外で本格的に使わないと、情報化の未来に限界が来るのでは」と気がついたのが一番の思いでした。

前職最後の1年は、情報通信業界では、5Gで実現する世の中の原画を描いていくというタイミングを迎えていました。5GではスマホやPC向けのデータ通信の大容量化に加えて、工事現場やクルマ、医療など、様々な事業の現場でのIT利活用を拡大していくことがユースケースとして盛り込まれています。このため、国内ではNTTやKDDI、ソフトバンクといった通信事業者や、楽天、LINE、DeNA、国内外ではGAFAや中国系大手など様々な情報系大企業が非情報系企業とのコラボレーションや、情報系企業の事業分野を越えた事業への進出がよく見られるようになっています。

しかし、異業種間の連携は、現実的には互いの技術分野やビジネス上の利害などについて、互いによく理解し合えるようになる必要性が生じます。そのためには「情報系企業が異業種に対して」「連携先の非情報系企業が情報技術に対して」互いの理解がどうしても避けられません。そのハードルは実際には結構高く、結果として「とりあえずコラボした」の先に進むことが非常に難しかったりするわけです。

このため、「IT化」「5G」「AI連携」といった、IT系のバズワードが、本当に情報系企業側だけの盛り上がりで終わってしまうことが多いのでは、と感じたのが、前職時代に何となく感じていたことの一つでした。いや、前職の業務に就いていた頃は明確には感じられていなかったのですが、転職を通して相対的に情報系技術者としての経験を見つめるようになって、そういえば、と思えるようになったのはあったりします。

ただ、情報系企業が非情報系企業を理解するには、新事業に進出するくらいの勢いになってしまうわけです。まあ、大手 IT企業であれば新業種に進出、というのはよくある話ではありますが...。それでも、結局、「IT化が情報系企業だけのもの」に終わってしまうと産業的には面白くない、そんなことを個人的には漠然と思っていたわけです。

それよりは、情報技術を良い意味で「自分に都合の良いツール」として使いこなせるよう、非情報系企業がスキルアップを果たすほうが、より地に足のついた成長につながるのでは...そんなことを、転職より前から何となく抱いてはいました。それこそが本当の「情報化社会」なのではないかと思うわけです。いわゆる情報系カテゴリの企業だけが情報化しても、「社会が情報化した」とまでは言えないと思うのです。

転職活動時点では最初はそこまで思い描いてはいなかったのですが、色々とご縁があり、現在の勤務先からのオファーという素敵な縁があったことがきっかけで、情報系技術者としてもっと他にできることという新しい発見に恵まれました。こうして、現在の業務と出会えたわけです。

非情報系企業にとって、厄介なこと

一方、情報系技術は、他業種側の観点からは、本当に信頼に足る結果を出せるものかどうかが厳しく見られることが避けられません。よく、AI・機械学習について、その業種での知見 ー 物理法則や生物学、化学、といった情報科学では語られない科学的根拠など ー の観点で、どこまで処理結果が信頼できるものなのかが哲学的な論争を巻き起こしていますが、そういったことが、非情報系企業でのITやAIの導入に対する抵抗感につながることが実際によくあったりします。

非IT系技術の知見、すなわち、物理法則や化学、生物学といったフィジカルな知見と、AI・機械学習などの統計・分析的な知見に代表されるIT系技術のギャップをどう解消していくか。そういった実践が、本当の意味での「IT化」には避けられない。そのことを、個人的には確信しています。たかが私個人という一介の技術者がどこまでできるのだろうとは思いますが、とはいえ、私自身は「ギャップを越えるための架け橋になりたい」といった、そんな思いで転職に臨んで、今に至っています。

おわりに 

単にコンピュータの中で閉じずに、人々の生活のために、もっと言えば、心や感性の豊かさや気高さのために、何か手助けができれば、それによって女性も男性も自分に自身を持てるようなことに繋がる仕事が情報技術を通してできれば。そんな思いを持って仕事ができれば、とても幸せではないかと素直に思っています。

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