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盃つまんで Vol.46

「子供時代を訪ねて1」
年齢七六歳となれば、体が動くうちに行っておきたい地が浮かんでくる。多くは、幼い頃に住んでいた所だ。
 私の一家=父・母・兄(昭和一九年生・二歳)・私(昭和二一年生・零歳)は、昭和二一年三月、敗戦後の北京から故国日本への引揚船に乗った。生後三週間の私は、底までぎゅうぎゅう詰めの船内ではもたないだろうと言われ、父は水葬に使う新品の日の丸旗を用意したが、幸い使われることなく長崎佐世保に入港。長崎大村の母の実家に落ち着いた。母は母乳が足りず、向かいのお宅に私のもらい乳に行った。戦後の大混乱期に子供を守ってくれた両親には感謝あるのみだ。

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670字
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