見出し画像

盃つまんで Vol.48

「子供時代を訪ねて3」
旧わが家から小学校への通学細道をたどった。昔は両側は田んぼだったが今は住宅が並ぶ。それでも道筋は変わらず、このへんに小さな石橋があったはずのところにやはりある。松本から来るバス道路に出て右は百瀬商店という八百屋だったが今はない。その先の共同湯「港の湯」はまだあった。源泉がいくつもある浅間温泉の質素な共同湯はわずかな維持費を払うと簡単な手鉤が各戸に預けられ、それを持って戸を開けて入りに行った。わが家も風呂はなく一番近いここに通った。中は湯船があるだけで狭いが温泉は気持ちよく、父と入った帰り道の夜風は気持ちよかった。

ここから先は

826字
好評の「コラム」「フォト日記」に「太田図書館」「お便り交歓室」を加えた、太田さんの魅力たっぷりの品揃えです。 お通しの料金で、皆さまのお越しをお待ちしております。

全国の居酒屋をめぐり、数多の著作を世に問うてきた 居酒屋探訪家・太田和彦のオンラインマガジン。 毎月2回更新される「コラム」「フォト日記」…