ユウサミイさん、初見LIVE!
ステージに男性が一人、真ん中に立っていた。周りにはドラムやベースギター、キーボードが置いてあるが、休憩中、といった感じで背景に溶け込んでいる。その男性は、白髪を天然パーマのようにふわりと広げ、黒いライブTシャツをラフに着こなし、ギター1本で歌っている。
1曲目は、少しおっとりとした曲だ。音楽のことはさっぱりわからないけど、弾き語りのギターのリズムが心地よい。一定の法則があるかのように、ゆったりと正確に音が響く。
2曲目は、ガラッと変わってアップテンポの曲になった。弦を押さえる指が複雑に動き続け、弦をはじく左手が激しく上下する。テンポに合わせて、肩を揺らしているが、手元を一切見ずに、観客の表情を楽しむ余裕がある。
かっけぇ~~~!!
釘付けになった。最近ギターに興味を持ち始めていたので、ギターの動きばかりが気になる。自然に体が動き、音に反応する。もともとライブはそんなにいかない方だけど、音楽に乗って体を動かすのは楽しい。
この男性の名前は「ユウサミイ」さん
「日本最高峰のギター弾き語り」
約20年間オーストラリアで移住生活中、たった一つ叶えられなかった子どものころの夢を叶えるべく、40歳で脱サラし、事務所もオンラインショップもすべて個人経営の完全フリーミュージシャンだ。ミスチルの桜井さんとも共演している。
人柄もよかった。
「持ち時間30分だから、MCなしでぶっつづけて歌おうと思ったけど、57歳にはキツイね!計画したら、だいたいつぶれるよね!」
ドッと会場が湧く。ライブが始まってしばらくしてからの登場だったので、すでに会場が温められ、観客もノリノリになっていた。
ペットボトルの水を飲みながら、
「ポールマッカートニーは、ステージ上で水を絶対飲まなかったんだって!何でか?って有名なロック記者が聞いたら“美しくないから”だって。余計なお世話だよね!」
また会場が湧く。けなしているようで、リスペクトがある、心地いいユーモアだった。
話題のビートルズの新曲「Now and then」の話になった。最新のAI技術を使い、古いデモテープからジョン・レノンの声を抽出し、完成させた曲だ。実はユウサミイさん、「Now and back then」というアルバムを2021年に発売している。
「“back”をつけなかったら、間違えて検索されてたかも!人間って些細なミスで損するよね」
“Now and then”は現在と過去を表わす。“then”が日本人には過去だとわかりづらいのではないかと思ってbackをつけたそうだ。それ以来”back”って言葉が嫌いになった、と冗談を言っていた。
「心に響く歌と、芸人のようなトークのギャップが神」という評価が書いてあって、まさにそうだと思った。音楽のレベルが高いだけでなく、”この人の曲を聞きたい”と思わせる人柄が、多くのファンを引き寄せるんだと感じた。
その日、残り15枚しかないCDを持参しているとのことだったので、いの一番に声をかけに行った。話してみると普通のおじさんだ。こう書くとがっかりしたのか?と思われるかもしれないが、逆にリスペクトが高まった。
昔、テレビのアシスタントをしていた同僚から、「本物の俳優って、テレビが回っていないときは全然オーラがないねん。でも演技に入ると引き込まれる。オンオフの切り替えがすごいんよ」
気さくに対応してくれて、名前入りのサインを入れてもらった。このCDは、昔の音源と今のギター弾き語りの曲がミックスされた、まさに”Now and back then”の意味が込められたCDだ。
このブログを書くにあたり、オフィシャルブログを探し、40歳で脱サラしたことを知った。今、自分は36。まだまだ、いろんなことをスタートしても遅くない年なんだと、ワクワクする未来を見せてくれた。
まずはギター1本、買ってみようか。
ユウサミイさんのオフィシャルブログはこちら↓↓↓
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